SF・ホラー・ファンタジー
□仮2
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「ねぇ、舐めて」
痛みよりも、私にとってはレオンが大切だった。
「…………」
「いいから、もったいないわ」
私の傷口からはどくどくと血液が溢れ、脚を伝って流れていく。
彼は一瞬躊躇うようなそぶりは見せたものの、私の促しに迷わず傷口に唇を這わせた。
「……っ…」
ぴりっとした痛みが走る。けれど眉ねを寄せながらも、アンはその光景にみせられていた。
愛する人に触れられる喜び。愛する人に与えられる喜び。例えそれが自身の体に苦痛を与える行為だとしても、彼女は――――…
「…感じてんの?」
不意に顔を上げたレオンはアンの表情をみて笑う。「ねぇ、このまま全部もらっちゃいそうだから、そんな顔しないでくれる?」
恍惚とした
私が彼から奪った。