□幸せなとある日
1ページ/1ページ

 幸せ。

 一人でいることが幸せ。


 気のままに食べて、起きて、そして眠って―――…。

 音楽を聴きながら、洗濯とか掃除とか料理をする。

 一人で。


 そういう時間が幸せ。

 一人になって、初めてわかった。
 一人で過ごす時間の幸福さが。

 一人になって、よくわからなくなった。
 人と過ごすことの意味が。


 愛しさも憎しみも、何かに執着することはとても煩わしい。
 生まれもった本能は捨てることは出来ないけれど、人への執着は捨てられるんではないだろうか。



 否、人から逃れることは一生出来ない。



 私が食べるもの、読むもの、過ごすこの部屋、全てが人の手によって作られたもの。

 生きる、ということは人からは逃れられないということ。



 終わりにしたいとは、思わない。

 けれど、特別に続けたいとも思わない。



 『続ける』ことの意味は?



 時々ニュースで目にする、戦地での悲惨な状況。

 その時に、自分がなんて恵まれているのかと、痛感する。



 だけど―――…、



 生きることの意味がわからない。
 それを探すことの意味も理解できない。


 けれど本能は『生』を求める。


 逃れられない。

 生きている限り、ずっと。

 もしかしたら死んだ先もずっと―――…。






 どうにもならない感情を持て余す。

 幸福さを持て余す。






 気のままに食べて、起きて、眠って―――…そしてもう、目覚めなければいいのに。


fin.


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ