‡過去夢‡
□その2
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姫君へ捧ぐ絵
今現在、秀麗と静蘭はとある邸のとある室にいた。
霄太師に「そのうち数人ぐらいならくるじゃろうから、その客人をもてなして下され」と頼まれたので、その客人が来るのを待っているのだ。
「静蘭〜…どうしよう!すごく緊張するわー///」
秀麗は静蘭にしがみついている。
「大丈夫ですよ、お嬢様。いつも通りでいいんです」
「そう?」
「そうですよ!」
静蘭の笑みを見て、秀麗は何とかなりそうな気がしてきた。
「そうよね!うん、がんばるわ!!………って、うぎゃ!!!」
秀麗はそばにいた人物を見てとび上がった。
「ぁ、ぁぁぁ…あなた!いつからそこに?!」
かなり動転しているのか、秀麗は指を差して言った。
その問いに「さっきから」とサラッと答えるのは姫君だった。
「も、もしかしてあなたが霄太師がおっしゃっていた《客人》ですか?」
違いますように…と祈りながら聞く秀麗。
しかし、姫君は秀麗の祈りを見事に打ち砕いた。
「そうみたい」
姫君がそう言うと、秀麗の顔がみるみる青ざめていった。
「も、申し訳ありません!!私ったら何て失礼なことを……」
「気にしてないわ」
にっこりと笑って言う姫君。
「それよりも…これ、食べてもいいですか?」
そう言って指差したのは秀麗が作った饅頭だった。
「あ、もちろん!あなたのために作ったお饅頭ですから…どうぞ」
「ありがとうございます」
姫君は受けとり、ぱくっとそれを頬張った。
「〜っおいし――vVこんなにおいしいお饅頭を食べたのは初めて!あなた饅頭作りの天才ですね!」
姫君はそのお饅頭がとても気に入ったようで「そんなことないです」と言う秀麗に「そんなことあるわ」と言いながら、ぱくぱくと食べ続けた。
にこにこと本当においしそうに笑いながら食べる姫君を見て嬉しくなり、秀麗も笑顔になっていた。
その場に穏やかな空気が流れる。
その微笑ましいとも言える様子を、静蘭は少し離れた所から見守っていた。
―――が、そろそろお別れの時間だ。
「お嬢様、そろそろ仕事の方に行かないと…」
「あっもうそんな時間?いけない!遅れたらまた清雅に嫌味言われるわ!!」
秀麗は慌てて仕事に行く準備を始めた。
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