□粉雪
1ページ/1ページ






粉雪

舞い散れ

(わたしの心とともに)

舞い散れ

(そしてあなたに届きますように)












雪の降り積もる銀世界。

極寒の大地に発展を誇る街テノス。




「あ"〜」

寒さを物語るのは少年の呻いた声。

「なぁ、アンジュ」

「なぁに?」

不良少年スパーダ・ベルフォルマ、
教会の聖女アンジュ・セレーナにさりげない提案。


「抱きしめてくれ」

さりげなくもなく大胆に、

彼女に向かって大きく腕を広げる。
(愛を込めて)


アンジュはやんわりと。
「スパーダ君?エルみたいなこと言わないの」

スパーダはむっとする、

フン、鳴る鼻。

と、お得意の悪戯顔でにやりと笑顔!

「じゃあ抱きしめてやるよ」
それはそれは屈託のない笑顔で。




「……は」

アンジュの雪景色に映える綺麗な白い頬、

そこにひとひらの恋の色をした花びらが舞った。






どき。

どき。


どき。





重なる恋の音色。





「…アンジュ」

「ひぁ!」


ばふっ!!
「え?」
転んだ。
アンジュは
真っ白な雪の上に尻餅。







真っ赤な聖女。
カット!!今の無し。


「ぁ、…ふっふざけるのはよしなさい、なに考えてるの?」
無意識に早口。


スパーダ
半ばに呆れるのは、

意外なアンジュを可愛いと思う自分。






正直に可愛いのだから、
「ふざけるかよ」




もう一回、

軽く抱きしめてみた。








はじめて君に触れた。

























(あたたかい、

あなたを想う心まで)

















(どうか雪のようにとけないで)





fin

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ