08/05の日記

22:20
雨降って地固まる@   →シカマルの浮気
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ある麗らかな昼下がり


火影室前…



急に突風が吹いたかと思ったら


物凄い轟音と共に 建物が軋む音が響いた


「テッ…テマリッ!…」

すっとんきょうな男の声と共に



その異様な物音に、火影室側の上忍待機室から
何事か?!
と、顔出す 待機中の
アスマ・紅・カカシの上忍3人と 
任務報告に来ていた、キバ
の4人が見た光景に

「シカッ…シカマル… お前… 」

くわえタバコを落としそうになりながら
アスマがつぶやいた



火影室からも
綱手と、手伝いに来ていたサクラが 出てくる

綱手は、眉間のシワを深く刻み

「何の騒ぎだ!!…」

と怒鳴りながら 
上忍達の視線の先を辿る



そこには、



ひび割れた柱と



ベストとアンダーシャツを脇に抱え
上半身裸 
ベルトが緩みズボンが腰まで下がった姿のシカマルが、顔面蒼白で汗をダラダラとかいていた



おまけに



シカマルが今まで仕事をしていたであろう書庫から 
ほぼ半裸で、慌てて身なりを整えながら駆け出して行く女…



最後に



頭を抱える上忍達に一礼し
扇子を畳みながら
ゆっくりと 火影室に歩いて来るテマリの姿だった




綱手の顔色が、みるみる変わり

「…シカマルーッ!!」

怒気を含んだ声が響き渡った



その後

綱手に片耳を引っ張られながら、ズルズルと火影室に連行されていくシカマルと

そのシカマルに、
『助けてっ…』
と目で訴えられる男衆3人 

テマリの心配をする
サクラ 紅 

総勢7人が、狭い火影室に入り乱れる



アスマが慌てて綱手を宥める

「五代目…あの…こいつも反省してるようですし…」

汗をかきかき、恐る恐る進言してみるも

「だいたいお前の監督不行届きだろ!! 今まで何を指導してきたんだ!!」

と、逆にギロリと睨まれ
怒鳴られる

紅も、ここぞとばかりに

「そうよ!アスマは、ろくなコト教えない!自分の女癖の悪さを、弟子にまで伝えてどうするのよ!」

アスマは、苦い顔

「ばっ!…ばか!オレは、別に…
昨日のあれは、お前の誤解だって」

「どうだか…」

紅がアスマを睨み付ける

アスマ撃沈



カカシは、可哀想な同僚を助けるべく 口を開く

「まぁ、まぁ、紅
今は、痴話喧嘩はそのくらいに…」

言い終わらぬうちに、サクラが横やりを入れる

「そうですよね〜 カカシ先生なら、女の人は手当たり次第 シカマルの気持ちも、分かり過ぎるホド分かると、」

「サッ…サクラ…
先生は、別にそんな…」

サクラに白い目を向けられタジタジ

カカシ撃沈



もうすっかり、男(浮気男)を 許さない女連合が結成され 
太刀打ちができなくなっている



綱手が、ヒートアップする女性陣を制し口を開く

「シカマル…言い訳があるなら、言ってみろ!」

皆の目が、シカマルに集中する

「…… あれは…たまたま…言いよられて…俺は、付き合ってるヤツが居るから…ったんだケド…
理由があって…どうしても…て…脱がされて…
……
……
イヤ!… 俺が悪いっス…すんませんでした」

頭を深々と下げる



長い沈黙の後


キバがポツンと呟く

「…でも… オレ、男として気持ち…分かるな…」

その言葉に、紅・サクラが牙を剥く

「「ナニ言ってんの!キバ!」」

キバは、ビビリながらも続ける

「だって…シカマルと砂の姉ちゃん
たま〜にしか逢えないだろ?
その間、男が ずっと我慢してるのは、かなりキツイ事だと思うから…
たまに、美味しそうなもんが転がってたら…
フラフラと行かない自信なんて、正直ナイよなぁ…」


アスマ・カカシ 激しく同意し2人して首を縦に、ブンブンふっている


しかも、綱手までもが

「まぁ〜、シカマルも成長期真っ只中で 我慢しろって言うのも、酷か…」

などと言いだすので


アスマ・カカシが、ほくそ笑み 嬉々と表情を変える

しかし、紅 に睨まれ

再度、撃沈



「綱手様!!それじゃあ、テマリさんの気持ちがっ!」

サクラが、涙目で訴える

「そうだなぁ…」

綱手は、腕組みをし
今まで蚊帳の外だった
テマリに、視線を向ける


「で… テマリは、どうしたい?」


今まで、押し黙っていたテマリが口を開く 

潔く澄んだ瞳でハッキリと
「別れます」

と言うと、淋しげに笑った

その笑顔に、誰もが心を痛める


「…いや…俺は…」

何かを言い掛けるシカマルだが、それを遮ってテマリは 続ける


「私達の間に距離や色々な問題があるのは、最初から2人共 分かっていたし、覚悟していたんです… 
ただ… 最近は…
その覚悟が、甘かったように思います
逢えないコトの辛さが、
傍に居れないコトの辛さが段々お互いを苦しめているようで…
もう…
潮時なのかと…」

笑顔で話すも、
やはり どこか苦しげな表情に


綱手が溜息をつく

「…分かった
お前らの間の距離が、問題なんだな」

「いや…それだけでは…」

「じゃあ、後は何が問題なんだ」

「里が違うコト…とか」

「後は?」

「守るものが違う…」

「はぁ?!
…まぁーいい!他には?」

「………」

綱手とテマリの会話が続くなか

サクラが口を開く

「1番肝心なコトは?」

テマリが、言葉の意図が分からず 首を傾げると

再度ゆっくりとサクラが続ける

「シカマルが好きか?ってコトよ
テマリさんは、一緒に居たいか?ってコト」

サクラの確信をつく言葉に、再度沈黙が訪れ

「いや…あの…」

沈黙に堪えきれず口を挟んだシカマルに

「シカマルは黙ってて!」
と、サクラがピシャリと言い放つ


力なく座り込むシカマルの肩に、アスマの手がやさしく置かれる

「まぁ、黙って見守ってろや…」

カカシと紅も、意味ありげに微笑む


答えを促される空気に

テマリは、
意を決して、心の奥底に秘めていた想いを
静かに口にする

「…シカマルが好きです
…傍に居たいです」

彼女の強い意志の表れである瞳が 揺るぎなく真っ直ぐシカマルを見つめていた


紅い顔のシカマルを、キバがニヤニヤしながら肘でつつく

シカマルは、テマリの言葉をかみしめながら 
自分の内の体温が、どんどん上昇していくのが分かった 


カカシから

「何か言わなくいいの?」

と声をかけられ、現実に戻ると

シカマルは、1つ大きく深呼吸をしてから

テマリの翡翠色の瞳を真っ直ぐ見つめて話す

「…俺も、傍に居たい
ずっと、… できれば… 一生…」

しばしの沈黙の後、

綱手が豪快に笑う

「決まりだな!テマリ、木ノ葉に嫁いで来い」

「イヤ…それは…」

シカマルが、口を挟んだ途端

「なんだ!イヤなのか?!おまえ、今 一生 って言ったじゃないか」

「それは、俺の勝手な希望であって…
テマリは、砂の里を大切に思っているのに…
なのに…
砂を捨てて 木ノ葉に来いとは…」 

「言えないか?」

綱手の顔が、シカマルに近づき
顔を覗き込みながら 頭を撫でる

「お前のこの頭は、ダテについているのか?
IQ200が、きいて呆れる…」

「木ノ葉に住んだからって、砂を大切に出来ない訳はナイだろう
守るモノが違う?
守るモノなんて、移ろっていくもんだ
両親や兄弟から
愛する人(恋人)へ
そして、子供にと…
里だけが、1番じゃないぞ」

「それに…」

悪戯っぽく笑う綱手

「いつ、お前があいそうつかされるか 分からんだろ?
その『めんどくさがり』なお前の性格で、
砂の姫さんを ずっと繋ぎ留めておけると思っているのか?」

シカマルの苦虫噛み潰したような顔に クスクス笑いながら

テマリの方に向き直り

「イヤになったら、いつでも離縁していいのだからな!」

と、豪快に笑う


「…綱手様…」

紅が、哀れむように
シカマルの背を撫でながら 溜息をつく


綱手の手が、テマリの肩を叩く

「お前らは、難しく考え過ぎだ!
そんなんじゃ、疲れるだろ〜
取り敢えず、風影殿には
話をつけておく
以上、解散!」


皆が、あっけにとられる中

「私も、暇じゃないんだ!」

など、ブツブツ言っている綱手を見て


その場の誰もが


『強引だなぁ…』


と、苦笑いした




火影室より、ゾロゾロと皆が出ていく中


テマリとシカマルは、残る

「…あの… 火影様…」

何か言いたげなテマリの言葉を遮り
綱手が、口を開く

「余り、あれこれ考えるな…
自分の気持ちに正直になれ」

と、優しい眼差しで テマリを見た


「…あの… ありがとうございました…」

シカマルのおずおずとした言葉に

今度は、物凄い形相で

「シカマル!お前 金輪際このようなコトがナイようにしろ!
次に 同様なコトがあれば、二度と子孫は残せないようにしてやるぞ!」

綱手が、拳を握り締めながら 額に青筋をたてる


シカマルは、イヤな汗が背中を伝うのを感じたが

「…こんな めんどくさいコト、もうしませんよ…
これ以上、大切なヤツを
キズつけたくもナイですから…」

と、頭を掻きながら応える


綱手は、シカマルの首に腕を回し
耳元で小声で呟く

「今回のコト、貸しは 高いぞ…」


途端 シカマルの げんなりした顔に、
綱手が笑い声が響き渡る




火影室からの帰り道


1度 上忍待機室に顔を出し、迷惑をかけたコトを詫び
一通り冷やかされた後




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