08/07の日記

22:22
雨降って地固まるA
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何処へ と言う訳でもなく、歩いていると

つい、いつもの昼寝の定位置の丘に行き着く


ひとまず、腰を下ろし
雲を眺める



長い沈黙の後



シカマルが、テマリに向き直り

「…すまなかった…」

と、頭を下げた


テマリは、視線を シカマルには向けず 
夕暮れ迫る雲を見ながら

「…理由って、なんだ?」

と聞いた



シカマルは、なんのコトだか 分からずにいると

「お前、理由があって…
どうしても… て、言われたんだろ…」

バツの悪そうな表情になるシカマル

頬を掻きながら、言い淀んでいる

「…どうしても…言わなきゃダメ…か?…」

暫しの沈黙の後

重い口を開いた

「…何度か、任務組んだ女だった… 今度…
… 色任務に就かないとならないらしく…
俺のコトが…前から…」

「もういいよ… 分かったから…」

テマリが、静に シカマルの手を 握りしめた

「なんにせよ… 俺が悪い… 本当に、ごめん…」

テマリの手を、握り返しながら呟く

「もういいって…」

少し潤んだ瞳を、見られないように
顔を背ける


隣で身動ぎする
シカマルの気配を感じたかと思うと
引寄せられ、
後ろから抱きしめられる


「俺… 嬉しかった…
テマリが、『傍に居たい』…って、言ってくれて…」


抱きしめる腕に力が籠もる


「五代目が言ったコトは、2人でゆっくり考えよう…
急ぐコトでもナイしな…
俺は、お前の言葉だけで
充分だ…」

「…そんなコト…言うな…」

消え入りそうな声で、テマリが呟く

「そんなコト言われたら…
折角した決心が…
鈍るだろ…」

えっ?!

シカマルが、テマリを自分の方に向かせる 

テマリの、今にも 零れ落ちそうな雫を讃えた瞳に 
心臓が、跳ね上がる

「…そんな顔して…泣くなよ…」

涙を、指で拭おうとすると
テマリは、また 顔を背けてしまう


「こっち向いてくれよ…
頼むから…」


シカマルが、切なく 囁く

「…うる…さい…」

と、小声で呟き

こちらを向こうとしない
テマリの、意地っ張りなところさえも
愛しく思え 
思わず、笑みが洩れる


シカマルは、テマリの耳元に唇を寄せ


「なぁ…
プロポーズぐらい…
ちゃんと、顔見て したい
んだケド…」


そう囁いた後

テマリの頬に手を添え 
そっと、自分の方に向かせる


テマリの顔は、今日の夕日より 真っ赤で
滴り落ちる雫が、頬を濡らしていた


そんなテマリの、潤んだ瞳をしっかりと見つめながら、言葉を続ける


「…一生、俺の傍に 居て欲しい
…俺と、結婚してください」


テマリも、シカマルの漆黒の瞳を 見つめる

余り、聞くことがナイ
甘い言葉に 

耳まで紅いシカマルの表情

思わず、笑いが洩れる

「…何、笑ってんだよ…」

シカマルの眉間に皺が寄る

“…あっ、いつものシカマルの顔だ…”

また、笑いがこみあげてくる


「…確かにめんどくせー ケド
…俺は、お前を一生繋ぎ留めておきたい…」


その言葉に、テマリが 小さく頷き

「私も、…ずっと お前の傍に居たい…」

自分の頬にある
シカマルの手に、自分の手を添える


「…ハズ … い…な…
…でも、凄い嬉しくて…
泣きそうだ…」


シカマルが、自身の紅い顔と 真っ赤な瞳を 手のひらで覆い隠す



この関係が、とても辛くなっていた

何度、見送りの門の前で
「帰るな…」と、言い掛けたか分からない

いっそ、連れて逃げてしまいたい! と思ったコトも
一度や二度じゃない

何度抱き締めても、埋まらない距離に 苦しくなっていた



「…俺だけ…かと
…思ってた」

シカマルの呟きに、テマリが 
“どうした?”と心配そうな表情を向ける


シカマルは、テマリを強く抱きしめた


「……五代目に、感謝しないとな…」

と、テマリと2人、優しく微笑みあった







そのころ


街中のいたるところで
シカマルの浮気話をしている 
キバ


その話しに、今までモテモテだったエリート中忍シカマルの株は、大暴落


女子達が「え〜っ!!シカマル先輩、そんな人だったんだー! 幻滅!!」

などと、騒ぐなか


「だよなぁー!シカマルなんか止めて、オレにしておけっ」

と、爽やかスマイルをふりまき

ナンパしまくる、キバの姿が あった




end

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