10/09の日記

18:36
15の夜 〜学パロ〜
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「シカちゃん シカちゃん!なんで他校の奴らに呼出しクラッてんのよー」


校舎の渡り廊下を歩く俺に、自分のクラスの窓からデカイ声で叫ぶキバ


放課後の校舎は、どこか落ち着きがなく
行き交う生徒達の喧騒で
どんなにデカイ声で叫んでも、そう目立つ事は無い気がした


さっきまで、クラスの窓際で叫んでいたキバが
窓を飛び越え、傍まで走って来て
俺の顔を覗き混みながら


「何しちゃったのよ?」


とニヤニヤ笑ってくるから


「うっせぇなぁー
ただ端に、絡まれてた女
助けたダケだよっ」


持っていたカバンを、肩に担ぎダラダラと歩きながら話す


「ひゅ〜 やるうシカちゃん!さすが、フェミニスト王子だなっ」


俺を肘でつつきながら、ゲラゲラと笑うキバに
頭にきて持っていたカバンで、頭を叩く

「いてぇなぁ」頭を擦りながら、睨んでくるキバを
無視し


「しょうがねぇだろうが、家の家訓なんだからよー」

と、ゲンナリとした顔をする


“男たるもの、女性を大切に扱うべし”


我家のクソ親父が、俺が小さい頃から
ずっと言い続けている、言葉
擦り込みってぇのは、恐ろしい…
俺は、知らず知らずの内に
その訳の解らねぇ親父の教えを、叩き込まれていた


頭をガシガシと掻きながら
「めんどくせぇ」と呟くと


「シカマル〜!キバ〜!」


ナルトが校舎の2階から
先程のキバより、更に大声で叫びながら手を振っている


後ろから、「聞いてるかっナルト!」と担任のイルカの怒鳴り声がする


「職員室から、叫んでんじゃねぇーよ」


俺とキバは、知らんふりしてやり過ごそうとするが


職員室の窓から飛び降りたナルトの姿に、


「2階から飛び降りたぜっ
…あのバカ…」

呆れ果て、その場で
額を押さえてうなだれた


「ナルト〜っっ!!」
窓から身を乗り出し、イルカが怒りを爆発させている


「イルカ先生〜 今日は、野暮用があんだってばよ!
わりぃ〜 また今度なぁ〜」


職員室に向かって手を振り
俺達の肩に手をかけ、走り出す

つられて走る俺達に


「で、何時に何処だってばよっ?」


と勢い込んで、聞いてくる


「おまっ…ナルトにも言ったのかよっ!」


キバを睨む
キバは、悪びれる様子も無く

「俺ら、三位一体だろ?
シカちゃんのピンチに、俺らが黙ってらんねぇだろ〜」

と爽やか面して、笑ってやがる

俺は、頭を抱えた


「おまえらなぁ〜!別に俺は、ケンカしに行く訳じゃなくて、穏便に話しつけに行くだけだっつーの!」


ハイハイ、なんて言いながら俺の肩を叩くキバをまた睨むと


「おまえら、着いてくんなよっ!」


と念を押し別れる


一抹の不安を感じながらも、呼び出された指定場所に行くと


「…マジかよ…」


明らかに、この間より人数が多い


「治療費持ってきたか?」


あからさまに、柄の悪そうな強面に 凄まれる


「たいしたケガ、してないじゃないっすか」


一応下手に出てみるも


「こいつ、骨折れちまったみたいでな」


指差した先の男のグルグル巻きの包帯に眼が行く


“てかっ…俺が締め上げた手は、そっちじゃねぇし”

ため息をつくと


「めんどくせぇなぁ…」


つい、いつもの口癖が口をついた

それが聞こえてしまったようで


「んだと!このヤローっ」

と、殴りかかってくる男を 軽く交わす


「話し合いで解決しません?」


頭を掻きながら、訴えるもも


「うっせぇーっ!」


数人が、殴りかかってくる


そこに、ナルト キバが
タイミングよく現れ 


「随分、たくさんで話し合いなんだなっ シカちゃんよっ」


楽しそうなキバの顔に


「うっせぇよ…めんどくせーから、手ぇ出すなよっ」


言い聞かせてみるも


「この状況じゃ、無理だってばよっ」


ナルトが、殴りかかってきた相手を 伸してしまった


「…あーあっ…」


呆れ顔の俺に、キバがニヤリと笑う


「始まっちまったもんは、仕方ねぇだろうがよー」


勢い良く蹴りを放ちながら、次々と相手を倒していくキバ


“だからヤダったんだ…
こいつらのケンカっぱやさじゃ、こうなるって分かってたから…”


ガキの頃から、ツルんでた俺ら
いつも喧嘩っぱやい2人に、巻き込まれるのは俺で
後始末が回ってくるのも
俺にだった


俺は、こめかみを軽く押さえ うなだれる


「たくっ、めんどくせぇ!サッサと片付けてズラかんゾっ!」


叫ぶと、殴りかかってきた相手の鳩尾に、拳を沈める


「ナルト!手加減しろよー」


キバが叫ぶ


「無理だってばよっ!」


ナルトの即答に、嫌な汗を掻く俺


暫くし


「そろそろ ズラかんぞっ!」


俺は、奴らが停めていた
250tバイクにまたがり
エンジンをかけた


「キー付けっ放しは、無用心なんじゃねぇの?」


ナルトも、スクーターに飛び乗りエンジンをかける


最後にキバが、俺の後ろにまたがり


「じゃあねぇ〜」


と奴らに、ヒラヒラと手を振った


数台のバイクが、後を追ってくる


右へ左へ縦横無尽に走り回り 


追ってを引き離していく


最後の一台を振り切った時


「何処まで行くんだよ?シカちゃん」


後ろから声がする


「どうせなら、このまま海まで行くかっ!」


風を切るバイクの音に
負けないくらいの大声で叫ぶ


「いいねぇ!!」


キバの大声と、隣を走るナルトが
親指をたてる


久々に清々しい気分に
はしゃいでいる自分
“ガラじゃねぇ〜”と思いながらも


ついつい口ずさんだ歌



盗んだバイクで走り出す
行き先も解らぬまま
暗い夜の帳りの中へ
誰にも縛られたくないと
逃げ込んだ この夜に
自由になれた気がした
15の夜



いつのまにか、3人 大声で大合唱していた


15の夜…
尾崎ほど、社会に絶望している訳でもないが

だからと言って、このままずっと 腐れ縁のこいつらと一緒に居られる
と思えるほど、子供でもなく


ちょうど、狭間を揺れている 危うい俺達


今は、その危うさを
楽しめれば、それでいい
と感じていた







end





別サイトで話をしていた時に、15の夜の話題になり
ちょっと書いてみたくなり
元ネタ様に許可を得て、書かせていただきました

忍の世界は、厳しく
こんな、年代特有の感情なんて 難しいんだろうな 
と思い、せめても話しの中だけでも… 
と考えた話しです

色々と続くかもしれませんが、お付き合いをm(__)m

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