12/07の日記

22:54
I love you … 〜学パロ〜
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キバの告白は、『友達から…』と言う
可なのか不可なのかイマイチ解らない
曖昧な形で終わった


それでも大喜びし
女子高に通う彼女を、毎日せっせと送り迎えしている
紳士のような…
イヤ!ありゃストーカーだなっ 的な
あいつらしい行動力を見せていた


すっかり付き合いの悪くなったキバに、ナルトが愚痴る


「…女が出来た途端に、男の友情は置き去りかよっ!」


まぁまぁ…
2人で帰りながらカバンをブンブン振り回すナルトを宥めた


「シカちゃん!オレらの男の友情は、不滅だからなっ」


なんて、白い歯剥き出しの笑顔に


“おう!”と答えかけた時

ナルトの携帯が鳴った


尾崎の I love you… オルゴールVer 


一瞬画面を確かめて、電源を切ったナルトに


「…いいのかよ」


と、携帯に視線を向けると


「あっ、後輩の女の子からで
付き合ってくれって煩くってさぁ
モテる男は辛いねぇ〜」


なんて、ニヤニヤ笑ってくる


ヘタくそな嘘。


おおよそ、嘘とは無縁な
裏表さっぱりナシ
悪く言えば単純バカのお前に 
こんな嘘つかせる人は、1人しか居ない


回数は多く無いが、時々鳴るそのメロディに

凄く嬉しそうだったり、時には哀しそうだったりと

一喜一憂し、携帯を握り締めていたナルトを
思い出す


「…行ってこいよ」


「あははっ…いいってばよ」


直もまだ、うそ臭い笑みを浮かべるナルトに


「後悔すんぞっ」


自分でも思いがけない言葉が出て
息苦しくなった


「…シカちゃんは、なんでもお見通しな…」


俯くナルトに、息苦しさを誤魔化すように
拳骨を落とすと


「お前らが、分かりやす過ぎなんだって!」


わざとらしく、声を張り上げた


昔からは、想像もつかなかった

俺らが、女の事で悩む時がくるなんて

ガキの頃から、ツルんでて
何をするのも一緒で

まぁ、大概俺が巻き込まれるんだが

こんな、こいつらの顔… 知らなかった…

女と違って、男は 
そこら辺サバサバしていて

互いの恋愛話しを、根掘りは堀り聞いたりしない

ナルトの事も、俺の感だった
まぁ、解りやすいナルトにしては 頑張ってひた隠しにした方か…

そんだけ、相手を大切に思っているコトが…解っちまう

俺達も、いつまでも
ガキのまんまじゃ居られないって事か…

俺達…?

俺は… 


「シカ、悪い…やっぱ行ってくるわっ…」


ナルトの声で思考が遮られる


「あぁ… 気をつけろよ」


当たり障りの無い言葉を返しながら

走り去って行くナルトの背中を見送った




次の日の体育

隣のクラスと合同で、バスケ… 

サッサとフケようと思ったら 

「シカマル!体育サボんなよ!」

担任のアスマから、クギを刺されちまった

…めんどくせぇ

俺は、仕方無しに
ノロノロと着替えると
ダラダラと体育館に向かった


「シカちゃーーーん!!」


キバがデカイ声で、遠くから叫んでくる

ちっ!だからフケたかったんだよ… 1人愚痴る

俺は何故か、アイツと顔を合わせたくなかった


尻尾をはち切れんばかりに振り、駆けてくる
そんな表現がピッタリのキバが

「シカちゃん、珍しいじゃん!体育出るなんて!
クラス対抗戦だってよ
負けねーよっ!」

テンション高っ…
コレだから、恋は盲目恋愛バカなヤツは嫌なんだ
うなだれる俺


クラス対抗… そんなのに興味は、ちっとも無くて 

テキトーにダラダラやろうと決め込んでいた時

キバのチームと当たる

ホイッスルが鳴った途端

俺がドリブルしていたボールを、得意げに奪っていくあいつに

俺にしては珍しくムキになり

キバに通るパスをカットし
ゴールを決めた


「シカちゃん、珍しくやる気じゃん!」

ニヤニヤしているキバに苛立ち

「うっせぇ!さっさとディフェンスつけっ」

パスを回していく


俺が、シュートを決めると キバも取り返す

キバのパワープレーと
俺の頭脳プレー


一歩も譲らない攻防


「シカ…何ムキに…なってんだよっ…」


息を切らせながら、睨んでくるキバに


「…お互い様だろ…たまには…身体動かして…発散しねぇとな…」


ここ最近のモヤモヤしたモノを、吐き出すように
がむしゃらにバスケに没頭する


なんか、青春ぽくて
俺らしくねぇ…



体育が終わり
水道で、バシャバシャ乱暴に顔を洗っていると


「シカ、何かあったのかよ?」


タオルを差し出してくるキバ


「おまえ、これキレイ?」


俺が、親指と人差し指でタオルを摘み上げると


「失礼だな!きっ…キレイだよっ…」


ジロリと横目で睨み拗ねた顔をした


「折角人が心配してやってるのに… もう知らねぇ!」


タオルを俺の手から、取り上げ
ブツブツ文句を言いながら去って行く姿越しに
空を仰ぎながら、溜息をつく

俺は、まったく晴れないこのモヤモヤしたモノに 
手をやいていた



それから何日かして
放課後、いつも一目散で彼女の元へ向うキバが
1人、ダラダラとのんきに歩いている姿を見つける


「今日は、送りに行かなくていいのか?」


「…あぁ、何か用事があんだと」


あからさまに、元気の無いキバ


「…めんどくせぇケド
一応聞いとくわ…
何かあったのかよ」


キバの足が止まる

一瞬戸惑ってから


「…彼女の前の男が、何か…
ちょっかい出してきててよ…
彼女うわのソラって言うか…
心ここに在らず、て感じなんだよな…」


俺の脳裏に、紅い眼をした哀しそうな彼女の顔が過った

あぁ… 何かよく有りがちな展開


「シカちゃん!!」


意気なり腕をガシッと掴まれる


「彼女から、何か聞いてくんねぇっ!?」


視線を合わせないように、腕から、キバの手を引き剥がす


「何かって、何だよ…」


「…まっ、まだその男が好きなのか…とか
オレのコト… どう思ってるのか…
とか?」


なんだその疑問系
自分で聞けよ、めんどくせえ と思ったが


冗談ぽく話すキバの手が震えていて

「…わかった。聞くだけ、だからな…」

としか言えなかった



その夜バイト先で彼女の姿を探す

彼女は、覚えが良く
接客にも向いていたので


同じビルの上の階にある
同経営者のフレンチレストランに
配置替えになっていた


俺は、ディナータイム準備の慌しい中
上の階に行き、辺りを見回す


「あっ!奈良さん、どうしたんですか?」


彼女の方から気づき
寄ってくる

話が早い


「今日、バイト終わったら 時間あるか?」


「…大丈夫ですケド」


訝しげな彼女の表情に


「あぁ…キバの事だ…
じゃあ、帰りな」


彼女の顔が、一瞬曇る


俺は、嫌な予感を感じながらも
足速に仕事に戻った



「奈良さん、お待たせしました」


小走りに駆けて来た彼女と
並んで歩き出す

「あの… 話しって…」

と、切り出された


「あぁ… おまえ、あん時の男とは…」


言い淀んでいる俺に


「キバさんに、何か言われたんですか?」


暫く考えてから、
言葉を発しようとした時


「オレが、シカマルに頼んだんだっ!」


後ろからキバの声がした


はぁ!? 俺に頼んだくせに 気になって来たのかよ…
大袈裟なため息を吐くと


「来たんなら、自分で言え!」


立ち去ろうとする俺の腕を、キバががっちりと掴む
イヤ…手ぇ離せって…


「オレの事…どう思ってんの?」


直球かよっ!…まぁ、コイツらしいが…


黙っている彼女


「やっぱり… 前の男が忘れられないのかよ…」


何かを言おうと口を開こうとした彼女を遮り


「…それでもいい…ったのは、オレだケド…」


続けた言葉の、語尾がしぼみ 俯くコイツの手が俺の腕に食い込んで痛い


暫くの沈黙の後


「…ごめんなさい…」


彼女の擦れた声が聞こえた


「キバさんと居るのは、とても…楽しかったです…
優しかったし…大切にしてくれた…
でも… 私… ツライ恋じゃないと…ダメみたいで…」

損な性分ですね なんて
悲しそうに、それでもキレイに微笑むもんだから


胸が酷く傷んで
熱いものが込み上げてきた

一礼して去って行く彼女が見えなくなった途端
振り返ったキバが


「…シカ…何で…泣いてんだよ…」


はぁ!?俺は、慌てて目元を擦ると… 
確かに冷たい


その時初めて…


俺も彼女が好きだったのだと…

そしてそれに気づいたのが、失恋と言う事実でだった事が
滑稽で喉元で笑っちまった


俺が泣いてるもんだから、キバもツラれて泣き出し
大の男が2人で
グズグズで…


カッコ悪いったらねぇ…



そんな18才になったばかりの俺達の苦い季節だった




end





ナガッΣ( ̄□ ̄;)
すみませんm(__)m

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