03/01の日記

04:03
傷み 〜ナルト×カカシ〜
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たとえば、俺が死んだとして

カカシ先生は、悲しんでくれるのかな

慰霊碑に俺を偲んでくれたり

俺のこと思い出して少し胸が痛んだり

 … してくれるかなぁ



――― あの人よりも



あれから、何回も 俺に抱かれてる先生は

なんで俺と寝るんだろうとか

何でなんにも言わないんだろうとか

俺が、好きだって言ったから 同情してるのか?
傷つけたくない、なんて思ってるからなのか…とか

色々、考えたりする

俺は、自分でそれでもイイって言った割には

いくら抱いても求めても 満たされない自分に苛立っていた

どうしても感じ取ってしまう あの人の存在に
女々しく自分勝手に傷ついて そんなガキな自分が更に許せなくて…落ち込む 

先生を優しく抱けなくて、半ば無理やり押し倒し
気が済むまで突っ込んで、吐き出して 
先生が もう無理だ と悲鳴をあげても 離してやれなくて 
最後には気を失ってしまうまで揺さぶり続ける

そんな抱き方ばかりを繰り返し

行為後の先生の、本意では無いだろう
いく筋もの涙の痕と
疲労の色濃い顔に
酷く罪悪感を感じながら 部屋を後にする

それでも又先生が欲しくて、求めて 抱く

そんな繰り返しだった


こんな酷い関係
救いようがない…


頭では、分かっているし
もう仕方ないとも
死んだ人間に妬くなんて馬鹿げてる とも思うが

あの人が亡くなってから何年も何年も絶つのに
今だに、リアルにその存在を際立たせる先生を 許せるほど
俺は大人では、無かった

優しく先生を抱く事を、許してくれない
あの人の残像に、毎回向き合う努力は、想像以上に辛いものだ

あの人の事なんて、気にせず 頭からすっかり追い出して
優しくカカシ先生を抱けたら
俺は、大人になれるのか?

 …今の俺には、かなり難しい


そんな危い綱渡りのような日々のなか パックンが現れた

「カカシが待っている」

それだけ告げると 俺を誘導して走り出した

モヤモヤと込み上げてくる不安や焦りが俺の脚を重くする

連れられて来た先には、綺麗な桜の木

木にもたれて いつもの愛読書を読んでいたカカシ先生が、本を閉じる

さすが先生… ここだったら、しめっぽい話も 春の華やかさに 紛れるかもしれない…

泣きそうな気分になる

「悪いね、呼び出して 」

俺の先生だった時みたいに 緩慢な動きで、片手を挙げた

「…めずらしいな、カカシ先生から…なんて 」

「まぁね、部屋だと 話になんないと思って 」

最近、コトに及ぼうとすると 話がしたい と言う先生を無視して組み敷いていた卑怯な俺…

唇を噛んだ

「おまえ、もう俺の所にくるな… 」

感情の篭らない淡々とした言葉を遮る

「嫌だ!」

「ナルト…」

「イヤだ、イヤだっ、イヤだ!」

こんな子供っぽいことしか言えない自分が情けない

でもイヤだ!俺の傍からカカシ先生が居なくなる

もう先生が俺を受け入れてくれなくなる

そう考えるだけで、足元から崩れそうになりガタガタと震えだす

「ナルト…」

そんなナルトの背に、カカシの手が触れる

「おまえも、 気づいてるだろう…」

ナルトは、震える自分の身体に腕を回し力を入れた

「もう、互いにしんどいだけだ…」

吐き出される言葉とは裏腹に、先生の手は優しく俺の背を撫でているのに

その温度は伝わらず、感覚さえも感じられない

すぐ傍に先生は居るのに、すごく遠くて

欲しくて欲しくて 

やっと近づけたように思っていたのは俺だけで

やっぱ先生は遠くて… 

 
テニトドカナイ


解っている

自分はもう我儘で駄々を捏ねているだけのガキと同じだってこと

…もう無理なことも


自業自得だ


震えが止まる

「俺、おまえに抱かれるの嫌いじゃなかったよ
だだ、もう誰かを愛する事は… 
俺には難しいんだと思う 」

横顔を盗み見る

いつも表情を表さないクセに、こんな時だけ
片目でも分かっちまう程 悲しい顔
それでも、自分の傷に向き合うように話す先生が
痛々しかった

「ナルト おまえ、俺が許せるか?」

今日、会ってから初めて 先生の顔をまともに見た

「おまえに抱かれている間、違う誰かを思っている俺を… 」

肩が揺れた

桜をバックに立つ先生を睨むように見つめる

ずりーな…こんな時でも、先生は綺麗で 
やっぱり俺…先生の事大好きだなぁ… なんて思う

「先生、俺の事好き?」

「…あぁ、好きだよ 」

「師弟とかじゃ無く、ちゃんと恋愛感情で 好き?」

「…そうだね、そう言う意味で好きだよ」

カカシは躊躇いながらも、キチンと言葉にした

「そっか… 良かった… 俺、すげぇ不安だったから… 」

ナルトは、カカシに手を伸ばす

「俺、先生の言う通り 結構しんどかった… 」

その存在を確かめるように、ゆっくりとカカシを抱きしめる

「先生、俺としてても…  意識が落ちる寸前 
 … 必ず “ 先生 ”て言うんだ
小さな消えそうな声で もう跳んでんのに、無意識に… 」

されるがままに、ナルトの腕の中に居たカカシの背が震える

「あんまりに 悲しそうな顔で寝ている先生を、少しでも楽にしてあげたくて…
目尻に溜まる涙を拭いながら…「カカシ」て言ってみたりした… 」  

今度は、ナルトの手が震える背を 優しく撫でた

「最初は、そんな先生も全部ひっくるめて愛してやるって思ってたケド…
先生の名前を呼び捨てにした俺の手を、寝てるはずなのに ギュッと握って 
涙を流し続けるのを何度も見るのは…
…やっぱ結構 しんどかった… 」

ナルトは、カカシを抱きしめる腕に力を込める

少しの沈黙の後 ゆっくりと息を吐き出し

「今の俺じゃぁ、先生を守って支えられる男になれねぇ 」

ゆっくりと身体を離し カカシの瞳を覗き込む

「待ってて。俺、絶対先生を支えられるようなデッカイ男になるから」

真っ直ぐ見つめてくる真剣な瞳

あぁ、俺 この瞳を見ると コイツを信じようと思ってしまう

昔からそうだった… この眼を何度も見る度、頼もしくも 焦りも感じた

どんどん成長していく姿に、嬉しさと寂しさを同時に感じて葛藤する自分がいたり…

コイツの強引さバカ正直さを1番知っているのは
自分だった…

青色の瞳をキラキラと輝かせたナルトに

「それいつよ、俺 結婚してるかもよ」

照れくさくて 意地悪く言い放ってやると

大げさにガクリと肩を落す

「そっかぁ… でも、それでもいい
もし先生が本当に心から好きな人が出来て幸せなら
それでいい
先生が俺のこと好きだって言ってくれたから 」

何かを決意したように強い瞳で うん と頷いた

「だから、里の為に結婚とか無しだからなっ!
そんなことになったら、俺先生を奪いにいく!!」

強くなりたい “写輪眼のカカシ”を守れるくらい

この人の過去もすべてを包み込めるようなデッカイ男に

そして、あの人を超えるぐらい… 強く 強く

「あっ!なんか俺、分かっちゃったてばよ! 」

まるで子供の頃のようにニシシと笑う姿に訝しげな眼を向ける

「…どうせろくなことじゃ無いんでしょ?」

ため息をついたカカシを ひでぇー とか 文句をいうナルトに

「おまえ… ホントに、意外性bPだね… 」

金色の頭を撫でた

ナルトは、またカカシを見つめる


――― どこまでいっても消えないあの人の影に

思い知らされた

俺は、四代目に 托されたのだと思う

この里を この人を ―――


「俺は〜 四代目を越える火影になるってばよ〜」

大声で叫ぶナルトに

もしかしたら、本当にそんな時がくるかもしれない… と 諦めていた自分の心が少し温かくなるのを感じた

桜咲く春の温かさに、積年の傷みも和らいでいくといい 
当に割り切った感情が
また胸の内に少しずつ広がっていく自分が可笑しくて
ナルトを引き寄せ

「期待して待ってるよ… 」

耳元でそっと呟いた






end





最初から素直にくっつけ!と突っ込みたいところだと思いますが…

葛藤するナルトを書きたかったんです(汗)

少しでも伝わればよいなぁ〜 と思います(礼)

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