04/02の日記

02:09
18. 今の言葉をもう一度  〜シズネ(男性夢vre)〜
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シズネが捕まった 

任務でマンセルを組んでいたライドウ達が、深い傷を負いながらも
なんとか里領内にたどり着き

見回りに伝えた言葉

綱手は、額の前で手を組み対策を練る

「俺に行かせて下さい!」

火影室の扉が勢いよく開くと同時に聞こえた声に

「ダメだ!」

綱手の威圧的な制止が返る

「なぜですか?」

「おまえは、前の任務で傷を負った 完治していない者を、任務には出せん!」

「大丈夫です!」

「くどい!!」

綱手はクナイを放った その殺気に、避けはしたもののヒカリの頬に血が滲む

「おまえがくらった毒は、視覚を奪う 今のその状態では役にたたん」

綱手の言う通りだ…  悔しくて唇を噛み締めた

「おまえが、下忍時代から同じ班だったシズネの事を心配するのは分かる だが…

「じゃあ、俺が一緒に行きますわ」

後ろから聞こえた声の主に、少しの望みを托した

「アスマ… 事はおまえ達小隊が出たくらいでは、解決しない」

「でも、出ないよりはマシでしょうよ 後はカカシ達が帰って来たら
増援にでもよこしてくださいや」

「アスマっ!」

「行くぞ!ヒカリ、もたもたしてる暇はねぇ」

腕を引かれて部屋を出る

後ろで綱手が何か言っていたが、アスマは気にする様子も無く瞬身をつかった

「アスマ… いいのかよ…?」

「良く無いつったって、どうせ1人でも行く気だったんだろ?」

「…すまない」

里の門を抜けようとすると、キバとサクラが後を追ってきた

「綱手様から、同行するようにと仰せつかりました」

「案内は任せてくれ、早く行こうぜ!」

綱手の計らいに、アスマと2人苦笑いした


俺は、以前部下を看取っている そんなコトこのご時世よくある話で
そういう事に揺るがない精神鍛錬も受けている 

なので、ずっと自分の気持ちを忍びという仮面に隠しつづけてきた

でもこの喪失感と罪悪感には、いつまでたっても慣れない…

まだ自分がどうこうなる方がマシだ! そう思っていた


もう、身近な人間が亡くなるのは懲り懲りだ

特に、大切な人ならなおさら


途中待ち伏せをくらう事も無く、キバのおかげで 敵地にはスンナリと到着した 

ここから計画を練る  

トラップを数箇所仕掛け 俺とアスマが囮り キバの探知能力でシズネを探し、万が一に備え医療忍のサクラもつく

単純な戦術だが、各々の力が生きる最善の策

問題は、俺か…

ため息をついたヒカリに、サクラが薬を手渡した

「綱手様から、コレを預かっています」

ヒカリは、それを手に取るとスグに飲もうとした

「何も聞かないんですか?…」

「綱手様のことだ、この眼の為の薬だろ?」

「はい、ただし…」

言いにくそうに口ごもるサクラの肩に手を置き

「何においても万能薬はナイさ、大丈夫」

「いや、でも最悪は…

サクラの言葉を遮り

「見えなくなる、だろ? 今この時役目を果たせれば それでいい 」

口に薬を放り込み 配置につく

仕掛けたトラップの爆音と共に突入する


キバ達のおかげで、シズネは奪還できた

しかし、囮の俺達の分が悪い…

どうするか…

俺の為にアスマを巻き込む訳にはいかない

「ヒカリ…余計な事考えるなよ…」
 
背中合わせのアスマが、ヒカリの気持ちを察する

「上見ろ」

言われるまま見上げると、鷹が舞っている

「あと、3分てとこか… 大丈夫か?」

「いつでもイケる!」とアスマに頷いたものの 

かなり、チャクラの消費が激しく視界が霞んできていた 

が、ここで怯む訳にはいかない 襲い掛かる敵をなぎ倒していく


増援のおかげで、終結


その場に倒れ込む

ヤベッ ちょっと傷が深いかも

最後にくらった胸への刀傷の出血が、予想以上に多い

ボヤける視界に、シズネが映った

「おまえ、無事か… 」

ヒカリを抱きかかえ、涙目で頷くシズネに

「あぁ… だったら良かった… 」

「なんて無茶を… あんたらしく無い… 」

手当てを施しながらも怒った顔で泣くシズネに

「最後は、好きな女の腕の中… てのも、 いいもんだな… 」

薄れる記憶の中で 

「…バカっ 」と、照れたような声が聞こえた



なんか手だけが暖かい…

なんでだろう… 手を動かしてみると

「ヒカリ!気づいた?」

知った声がする

そこで、手を握られているのだ… と初めて気づいた

眼を開けられ無い でも確実に自分の顔は真っ赤だろう事が想像できる

どうしたものか… ドキドキしていると

「…ヒカリ あの時最後に言った事… 」

俺は、諦めて眼を開けた 

「最後は、好きな女の腕の中… てのもいいもんだな… 」

あの時の言葉をポツリポツリと繰り返す


「…今の言葉をもう一度 」

「…もう言わねぇ… 」

繋がった手に力を込めた



  



おまけ


「よう!ヒカリっ身体はどうだ?」

千本をユラユラと銜えてゲンマが見舞いにやってきた

「しかしよっ おまえもやるよなぁ〜」

意味が判らず怪訝な顔の俺に

「戦闘の最中、シズネを落したって?
しかも、死に際っぽく どさくさに紛れて告ったらしいじゃねぇか
カカシさんとか、あれはズルイよねぇ〜 とか言ってたぞ」

俺は、頭を抱えた

「最悪だ…」

多分、この話は尾ひれ背びれがついて広まっていることだろう…

「あとよ、始末書 五代目から預かってきた
命令無視とシズネを奪った罪だとよ〜 
ホントに眼を見えなくしてやればよかった とか、恐ろしいこと言ってたぞ」

ニヤニヤしながら話すゲンマに、俺は思いっきりため息をついた







END




ヒカリ様への 捧げものです

   

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01:50
17. 雪の日のお迎え  〜イルカ〜 
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深々と降り積もる雪のなか、いつも時間ピッタリにやってくる彼

差した傘に雪が厚く積もり 時折バサバサと音をたてながら積もる雪を掃い外で待つ姿が気になり

「中に入って下さい、スグに終わりますから」

と声を掛けるも

「いや、俺はここで…」

いつも通り、やんわりと断られる

私は、慌てて仕事を片付け 帰り仕度を始める 

これもいつもの事


二人で、まだやわらかい雪を踏みしめながら帰る

里の雪は久しぶりだ、所々にある 子供が作ったのだろう
雪だるまを、彼はとても嬉しそうに見ていた

特に、ナニを話すでもなく この白い景色のような静寂が流れるなか

「寒いですね…」と、同じ3回目の言葉に
3回とも素手を擦り合せるしぐさをしたのが とてもこの人らしいと思った


私の部屋の前までくると、

「じゃぁ、」

踵を返した中忍ベストを掴む

「あの… 良かったら、何か温かいものでも 」

「いえ、あいつに怒られますので」

そう言って鼻の頭の傷を掻く

「あの… もう、大丈夫ですので 
毎日送っていただかなくても…」

「いえ、俺とあいつの約束ですから 」


忍びだった彼が亡くなってから、もう半年

“彼女を頼む…”

最後の言葉を聞いたこの人 うみのイルカは、律儀にその言葉を守ってくれている

「あの… もう本当に… 

「俺っ!このあなたと帰る短い時間が好きなんです!」

私の言葉を遮り赤い顔で捲し立てる姿が可笑しくて、クスクスと笑った

「分かりました。でも、これだけでも受け取って下さい」

イルカに、紙袋を渡す

「えっ、あ、じゃあ…ありがとうございます…」

と今度は頭を掻きながら帰っていった


帰り道、イルカは袋を開けて見る

そこには 綺麗な包装紙に包まれた、温かそうな手袋が入っていた

きっとベストに合うように選んでくれたのであろう深緑の手袋に笑顔が零れる

「これで、雪の日の迎えも楽しくなるな…」 


白い羽のような雪が舞い落ちてくる空を見上げる

後から後から降る雪に


「 でも、 妬くなよ… 」


 そっと呟いて 微笑んだ

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