05/25の日記

16:31
背くらべ 〜シカマル〜
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「これ… 」


久しぶりに踏み入れた演習場は、昔と変りなく

よく縛りつけられた、木や
手裏剣の的にしていた 木など

その一本一本に、思い出が重なる


中でも、この木…


そこには、間隔を空けて
横に何本かの線が引かれ

もう消えそうだが、線の横に
カタカナが彫られていた


一番下は… イノ

あの頃、こんな小さかったっけか?


そのちょっと上が、チョウジ


で、一番上が 俺


今の今までそんな事、すっかり忘れていた癖に

その光景がありありと思い出される



「おまえら、ここに並べ!」


デッカイ声で呼んで、いきなり木の前に俺達を並ばせるアスマに


3人共、訝しげな顔をしたが

アスマの気まぐれなんて 今に始まった事じゃねぇし


俺は、欠伸しながら されるがままにしていた


アスマは、手にしたクナイで 木にそれぞれの背丈の線を刻んでいく


「なに、今日は 五月五日だろ?背比べだ!」


なんて言いだし、ガハハと笑う姿に

溜息をついた



そうだ、あの後


自分のしるしも付けろ って言いだして
俺が付けたんだ


三本の線の上を辿っていくと


「へっ…!?」


俺の目線の少し上に 消え入りそうな線と

“クマ”の文字


俺は、可笑しくて 笑っちまう


よくアスマは俺に

「もっと食え!そんなに食が細くちゃ、デカくなんねぇぞ!!」

と言っていた事を思い出す


「あんた… 抜かされそうだぜ…」


俺は、クナイを取り出すと 
その消え入りそうな線の上をなぞった


「昔は、デッカイ奴だな と思ってたんだケドな…」



「先生〜っっ! 奈良先生〜 」

子供達の呼ぶ声に、振り向くと



「先生〜 焼肉おごってくれる約束でしょ〜」


腕をグイグイと引かれる


「おまえらっ!焼肉とは言ってねぇぞ!」


俺の話なんて、聞いちゃいねぇ…


駆け出す子供達の背を、見ながら


仕方ねえなぁ、 これも順番か…


「おまえら、俺よりデカくなれよっ」


そしてまた、意志を受け継ぐ子供達を育てる


そうやって、廻ってくんだ


な、 アスマ…






アスシカは、長い事自分の中で封印していた分野でした

ちょっと思い入れが強くて…

アスシカが書きたくて始めたサイトと言っても過言では無いのに


最近になって、ようやく 冷静に見れる自分がいて

そのフッ切りのつもりで書きました



☆コメント☆
[よみ] 01-01 11:40 削除

ヤッパ…目がウルウルした。
元旦の昼に…Macで天井見上げちゃった…
(ρ_;)

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