07/06の日記

02:33
カタチのナイもの 〜アスマ×シカマル〜
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この気持ちが、“好き”ってことか? と尋ねられたら
 

間違いなく そうだと答えるだろう


このテの事にてんで疎い俺でも それは分る


コレが“好き”で無かったら どれが“好き”てことなんだろうと思うし


イノ達 女子連中が言う


好きな人のコトを考えると 切なくて苦しくなる


も、なんとなく分る


厳密に言うと、切なく はイマイチだが


苦しくはなる


任務だったら無茶ばっかするから怪我してねぇか… とか


今、どうしてんのかな… 酒ばっか飲んでナイで
ちゃんと飯喰ってるかな… とか


今日、一週間の里外任務から戻ってくる日だな


逢いてぇなぁ… とか


そんなコトは、ちょっとした任務の空き時間だったり


夕暮れの雲を見あげた時だったりに いつも思ってたコトで…


あぁ、 今考えると 苦しくと切なくはイコールか


今頃気づいた


俺はホント、気づくのが遅い


色恋沙汰が絡むと、自慢の脳みそも働かないみたいだ



何かを望んでいた訳じゃない


ただ、その髭ズラを見て安心できればそれで良かったのに


アスマといるコトが、居心地が良くて


こたつから離れないネコのように、自分の1番居心地のよい場所を探し出して潜り込む
そんな安心できる場所だと思っていた


それが、いつまでも自分一人のものだと


俺だけの居場所だと


どうしてそんな事を思っていられたのだろう…


俺は、何を勘違いしていたのか


お互いを“好き”で 大切に思っていて


二人共あまり想いを口に出すタイプではないが


必要不可欠な存在だと  思っていた


アスマの俺をすっぽりと包み込む腕も


抱きしめられると、煙草の匂いがする胸も


その頬ずりされるとチクチクする髭も


全部自分のものだと 


ただ 世間一般と違うのは、同性という性別だけだって


それだけだって


ずっと変わらない…  そう思い上がっていた




そのアスマからの告白は、ごく当たり前の話だった



「 紅に子ができた 」



そう聞かされた時、俺はなぜか笑って


「 良かったな 」 そう言った


半分は、ホントにそう思ってたんだ…


…後の半分は、 自分の情けなさに笑えた


アスマと紅先生が付き合ってた事なんて、昔っから知ってたのに


男と女が恋人同士で、長いコト付き合ってんだ


そんな可能性いくらでも想定できた事で


なのに、俺は…  なんでちゃんと笑えないんだろう



アスマは、 「 無理すんな 」 と


頭をグシャグシャと撫でてきたケド


なんであんたが、 そんな泣きそうな顔してんだよ…


暫く頭を撫でていた手が止まり


思いっきり抱きしめられる


あまりの勢いに、俺の足は宙に浮いちまって 


そのデッカイ胸の中で身動きとれなくて


ほとんど 抱っこされてる状態なのに


ばか力で、ぎゅうぎゅう力を込めるから 


苦しくて、苦しくて


涙が流れた



「 …アスマ  俺、大丈夫 だから… 」


そう声が震えないようにゆっくり言ったのに


やっぱり最後が擦れちまって


顎を掴まれ強引に上を向かされると


そのまま乱暴にキスをされた



これが、最後のキスだと…  





分っていた









俺の “好き” と  あんたの “好き” には


どんな違いがあったのだろう
 






end










 

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