09/07の日記

14:37
重なる 〜管理人が妄想するナルサス最終回〜
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遠くで祭り囃子が聞こえる


遠目にも、提灯の灯りや

出店の暖簾などが
揺らめいているのが見える


一瞬、その中に見知った金髪を見たような気がして

口元が緩んだ


「隣の里も、随分 平和になりましたね…
以前は、小さな隠れ里だった為 隣国同士の戦場になってしまう事が多かったのに…」


止まっていた動きを再開させ


また、木々の枝を蹴り移動する


「後、500メートル程で 隣国の領土に入ります!」


サスケは、無線のスイッチを入れる


「予定通り、指揮系統の破壊 その混乱に乗じて
大名と話をつける」


その指示通り、散っていく小隊のメンバー


暫く行った先の茂みで 身を隠す2人


「ここで、合図待ちだ」


しばしの待機状態に 焦れてきた1人が
怪訝そうな顔で尋ねる


「なんで最初から、『うちは』の名前出さないんですか?そしたら、もっと早く終わるだろうに」


前方だけを注意深く 見据えたまま もう1人が答える


「あまり、表に名が出る事を 好む方では無いが
俺が一度聞いた時は
『うちは』の名は、重要な切り札だからな
容易く名は出せない…  とか言ってたぞ」

その人が、スカした面で この小隊を率いている彼を真似て言うものだから
思わず吹き出した


大国をも黙らせる名と力があるのに、なぜこんな細々した戦術を行う必要があるのか


一時期は、世界をも征服しかねなかったその力を 
もう何年も経った今でも脅威と感じ 簡単に旗を上げる大名も多いと言うのに


彼は、どちらにも負にならないよう 話をつけてくる


軍備ばかりで巨大化した国には、食糧支援と自給に向けた技術支援

その逆の小国には、警備体制の構築と人材の指導 など


あの端正な顔立ちとキレる頭で 俊敏に実行していく 


以前

その名や力も十二分にあっても、それを使わず 一交渉役と徹している姿に


「今、話題の 金髪碧目の仙人様なんかよりも よっぽど神らしいと思うんだがな…」


と呟いたのが聞こえたらしく


「そう言うのは、アイツの方が良く似合う…」と珍しく笑った


知り合いなのか?と聞こうとしたが 自身の事を多く語らない姿勢は


ここ数カ月一緒に小隊を組んでいても 一切変わらなかったし 今後も変わらないだろう事は想像できた



今回も、敵国の混乱に乗じて 交渉役をソツなくこなし

一切血の流れる事無く

和平の調印を結ぶ運びになった


うちは、弱小国だったので、この調印がずっと守られるかの不安があったが 里長に

「その時は、また俺を呼べ 」と告げた



彼が里を去る前日 せめてものお礼にと、宴が用意されていたが 

もう彼の姿は里の何処にもなく

また何処かに行ってしまった


前日、宴の事を告げた時から 

なんとなくそんな予感はしていた…

なので、最後に… と聞いてみた事がある


「いつまで、こういう事を続けるつもりですか?」


クナイを研いでいた手はそのままに 


「 … あいつの夢が叶うまで… 」



…………………
いつからか

アイツの夢を願いを 叶えたいと思った

あいつは どんな時でも いつも笑っていた  

その笑顔を、いつまでも見ていたいと そう強く想った


想えば あいつと 闘ってみたいと口にした時から、よく分からない何かに惹かれていたのかもしれない

俺と共鳴する部分 それと真逆な温かな光の部分 

同じ立ち位置から見える景色が 闇な俺と光りなアイツ


イタチを亡くした後

俺は強い憎しみだけで生きてきた。

殺す復讐殺す復讐殺す復讐殺す復讐殺す復讐殺す……

だが
憎いヤツを倒しても倒しても 俺にあいつの様な笑顔は戻らない。

父も母も

イタチも

大切なものは 皆、戻らない。

地獄に墜ちて行く  


闇に沈む俺の手を、必死に掴み引き上げようとするあいつ

そんなおまえが、理解できなかった “俺に構うな“ 何度も言い放ったのに

“友達だからだ“ とおまえも何度も言った

あの時も今もあいつの心はいつも真っ直ぐだった。

変わらない真っ直ぐの心をぶつけてきた。

地獄の底に墜ちたこの俺をまだ友達だ と言ってくれるヤツがいる。


この繋がりを守りたいと思った
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「 … アイツの夢が叶うまで… 」

聞こえるか聞こえないかのギリギリの声で 呟くような言葉を

聞き返そうかとも思ったが、 なんとなく触れてはいけない部分のような気がして 諦めた




次の依頼先へ 1人木々を蹴り移動中に

見知った気配、 足が止まった

サスケは、そっと自分の気配を消し 近寄ると


たくさんの子供達に囲まれ 

「仲間って大切だぞ!俺にもちっさい時からイケすかねえ野郎が 居たんだケド 
何故かそいつとの、絆は 今でも俺の大切な宝物なんだ 」


とニカッと笑った変わらない笑顔に


「 … ウスラトンカチ… 」


そっと踵を返した



木々がザワめき 風が吹き抜ける その一陣の風に

サスケの姿を見たような気がして ナルトは振り向いた


そこにその姿などは、無く 木漏れ日が揺れているだけで

いつもと変わらない景色が広がっていたが


「なっ!サスケ… 」 そう微笑んだナルトを

子供達が 不思議そうな顔で見ていた



今、自分の進む道の先が アイツに繋がっている気がする

道が重なり 再会したアイツは どんな顔をするだろう…

きっと、あの変わらないイケ好かない面でスカシてんだろうな

『ウスラトンカチ…』 そう聞こえたような気がして

思わず笑った




end



なるぽ様+yukiコラボSS


1周年記念SSの続き サスケ篇です

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