10/23の日記

06:00
言魂 〜ハヤテ誕SS〜
---------------



―― 愛してる… 


今、一番 言って欲しい言葉


でも彼から返ってくる言葉は


「大切に思ってますよ…」


そう言って 優しく微笑みながら


長い指で、あやすように 私の髪を撫でるケド


欲しい言葉は、いつも違う…


曖昧にはぐらかされ

ずっと、この中途半端な関係が続いている


聞きたい… ハヤテの気持ちを…


この関係から踏み込めないのは

私が、あなたの上司の 恋人だったから?


グルグルと、葛藤する気持ちと 
不安は、募るのに


ハヤテは、私を甘やかすのがとても上手くて


包み込む胸は、心地よく  紡がれる言葉も、大切にされている事を 実感できる


なのに、それ以上を求める私は…欲張りなのかな…



「…どうしたんですか…? 」


言葉と共に、差し出されたコーヒーカップを受け取ると


私好みの少し薄めのブラックコーヒー


コーヒーを飲まないハヤテが、態々買い置きしてくれている


他にも、寒がりな私の為の ブランケットや


間近に迫った資格試験の教本など


この部屋には、少しずつ私の為の物で溢れていて


こんな幸せなのに… 
もっと欲張るなんて 強欲過ぎる


溜息をついた 私の隣に、自分も湯のみを持って座り

そっと肩を抱き寄せる 


「…そんなに“言葉”が欲しいのですか?」


少し戸惑いながらも、ゆっくりと頷くと


「ワタシは、気の無い人を 部屋に入れないし
ましては、その人の為に 飲まないコーヒーを買っておく程、お人よしでは ナイですよ 」


「分ってる… 」


子供のように頷く私に


「じゃあ、それで良いのでは 無いですか…? 」


言い聞かせるように囁くケド


「それじゃ、ダメなの… 」


俯き、否定の言葉を口にする私に 溜息を吐きながら


「なぜ…? 」


覗き込むハヤテの顔が近い


それきり何も言えなくて、黙り込んだ 私を 抱きしめる


なぜか、ハヤテは そのまま考え込んでる風で 

暫くしてから 躊躇しながらポツリポツリと話しだした


「…実は、ワタシも 聞きたい言葉が
ずっと、ありました…
いや… 聞きたくても 聞けなかったコト… かな…?」


ハヤテの胸から伝わる鼓動が速い


「ナニ…? 」


ハヤテ同様、煩く騒ぐ胸を抑えながら 聞く私に 

大きく溜息を吐いてから


「ワタシは… あの人の、代わりですか…? 」


言われた言葉が、理解できなくて

やっと意味が分った頃には、凄く頭にきて


「そんなこと!一度も思ったコト無い!!」


そう叫びながら、胸の中で暴れると


抱きしめらていた腕に、ギュッと力が入る


「…すみません、ワタシの… 嫉妬です… 」


なんて、いつもより低いトーンで言うから


ビックリして


「ハヤテが… 嫉妬? 」


ポカンと顔を見上げた私に

紅くなりながら 繰り返さないで下さい… と

そっぽを向いた


そんな、いつも余裕なハヤテの 焦る姿がおかしくて

クスクスと笑っていたら


「…笑わないで下さい
言葉は、重要なんですよ
言魂って言葉… 知ってますか…?
ワタシは、この “嫉妬” なんて言葉を口にしてしまったら 
ずっと… それに囚われてしまいそうで… 言えませんでした… 」


背中に回された手が、髪を撫でる


「あなたの、望む言葉も… 言ってしまったら
自分のものにしたくなって… 
もしワタシを代わりにしているのだとしても… 
それでも… 手放せなくなりそうで… 」


「ハヤテっ…痛いッ… 」


力任せに抱きしめてくる腕を、ポンポンと叩くと


「…すみません… 」

慌てて離されたその手を、引きとめる


「…ハヤテ …私、ハヤテが好きよ 
ううん…ハヤテが良いの、ハヤテじゃなきゃダメなの! ハヤテがっっ」


ハヤテの手を胸に握り締めグイグイと迫る


「わっ… 分りました、分りましたから…」


勢いに押され、仰け反りながらクスクス笑った後



「ワタシも、あなたを 愛してますよ… 」



優しい口づけと共に 甘い言魂が降ってきた






end






ハヤテは、あんな落ち着いた感じで 

結構焼きもちやきだといいなぁ〜 

と言う、自分の妄想です



♪  Happy birth day  ハヤテ ♪



☆コメント☆
[ミサト] 02-07 23:35 削除
か、カッコいいですね!ハヤテさん。主人公さんうらやましいです!私、このお話大好きです。

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ