11/09の日記

01:06
熱 〜シカマル〜
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ヤバイとは思っていたケド


最悪だ… 風邪をひくなんて


突然の雨に、濡れたりはした 


だからってこんな酷い事になるとは…


意地っ張りな私は、なんとかいつも通りを押し通し
仕事を終え


ようやく辿りついた部屋のベットに倒れ込み身動きできなかった



どれだけ時間がたったのだろう


静まりかえった部屋に、雨音だけが 虚ろな思考にこだまする


ふと、ひんやりとした感触がおでこに触れ 心地よい


思わずそれを手繰り寄せると、「うわっ」とか声が聞こえた気がしたが


ボーッとする頭では、特に気にならなかった


なんだか、その自分の手の中にある温もりが 


懐かしくて


懐かしくて… 涙が零れた


私の涙を拭う指 古い記憶が蘇る


「…ごめんね… シカマル… 」


その温もりに頬を寄せ


「…一緒に…居られるだけで…良かったのに… 」


止まらない涙を自分で拭う前に、温かいものが目尻にそっと触れた


温かくて… 安心する


この懐かしい温もりが得られなくなって


ずいぶん長い時間が過ぎたような気がする


「…贅沢だったな…私…」


やわらかく髪を撫でられるようなその感触に


くすぐったくて、その手ごと身を捩ると


傍で「えっ」とかドサッと音がしたような気がしたが


まどろむようなその温かさが眠気を誘い


もう、眠りにオチる寸前だった


「 …シカマル …好き …今でも 」



翌朝 目が覚めると


なぜか、誰かに抱きしめられている


懐かしいその感覚に 思わず擦寄ると


大きな溜息と共に


「…おまえ…いい加減にしないと…襲うぞ 」


聞き覚えのある声


その存在と夢の中の出来事が重なる


えっ!?


慌てて飛び起きると


「なっ、なっ、何やってんのっ!! …… シカマルっ!?」


なぜかスーツ姿のまま横になっていて


「あぁ…これじゃ、このまま出勤できねぇな 」


なんて言いながら、私を引き寄せ抱きしめる


えっ!?イヤイヤ… 訳が分らない


思いっきりその胸を押して 


「ちょっ!どうなってんのよっ 」


思いっきり睨んだ


なのに、クスクス笑って


「そう言うとこ、 ちっも変わんねぇな 」


と余裕の表情 


頭にきて、あらん限りの罵詈雑言を並べたケド


再び抱きしめる腕も二ヤける口元も、ちっとも変わりがなくて


「ホント、相変わらず意地っ張りだな 
昨日は、可愛かったのになぁ」


なんてクスクス笑うから


昨夜からの出来事が、走馬灯のように私の中の記憶を揺さぶり


1つ1つ思い出す度、布団の中に潜り込む


もう、顔が上げられない程 熱を持つ頬を必死で隠した


なんて醜態… 一番聞かれたく無いヤツに… よりによって…


頭の中は、恥ずかしいやら 悔しいやらで


鼻先まで被った布団をギュッと掴み


どう言い訳しようかと考えていると


シカマルの胸のネクタイに目がいく


形勢逆転とばかりに、がばっと起き上がり


「シカマルこそ、私になんか言いたい事あるよね?」


ギクリと震えた肩を


ニシシッと笑って


「これ、私があげたネクタイだよね? 」


勝ち誇った私に


「…ホント、おまえのそう言うとこ好きだわ… 」


私の首に回る腕 そのまま引き寄せられ 口づけた






end

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