11/19の日記
00:14
思惑 〜カカシ〜
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それは、突然だった
ただの同僚に過ぎないカカシに、腕を引かれ
「夜、おまえん家 行って いい? 」
ナニ喰わぬ顔で、サラリと言われたその言葉が 理解できなくて
すっとんきょうに「ハァ!?」とかマヌケな声をあげた私
よっぽどアホな顔をしてたのか、カカシはクスクスと笑って
なぜか、斜めがけの額宛てや 口布を取る
えっ…!? イヤイヤ… なぜ?
カカシの素顔を見た事が無い訳じゃない
任務で一緒になれば、ご飯も食べるし
気を許した仲間には、時折 その薄い唇だったり
鼻筋の通ったカタチノ良い鼻や
色違いの瞳などを、晒していたりはした
でも… なぜこのタイミング?
慌てる私に、またクスクスと笑って
スーッと顔を近づけてきた
固まる私の耳元で、
「夜ね… 」
そう言い残し、去って行ったカカシ
???????…
ナニがどうなってるの…
あんな誘い方… 彼女じゃナイんだから とか
しかも、夜ってナニ!?
あ!相談事? …カカシが、私に? … … ナイナイっ! とか
あ、ご飯が食べたい!
…イヤっ、もっとこう カカシの胃袋をガッツリ掴める人は 他に居るだろうし
てかっ、そもそも彼女に言えばいいじゃん!!
など、思考が混乱する
暫くそこから動けなくて
窓からさす西日の眩しさに、やっと我にかえった
兎に角、報告書を出して 帰ろう…
そう思い、踏み出す私の足は なぜかどことなく浮かれていて
それに気づくのは、後々なんだケド
「はァ… 」
何度目かの溜息を吐く自分に、イケないイケないっ!
なんて、頭を振りダイニングテーブルに突っ伏す
視界に入った時計を見れば、21時を回っている
チラッとテーブルに並べられた皿たちを気にして手を伸ばせば
すっかり冷えてしまっていた
「なんだかなぁ… 」
あれから、私は商店街でアレコレ迷いながら買い物をし
悩みながらも、夕飯を作った… 2人分…
どうせ、自分の分も作るのだから と
誰にするでも無い 言い訳をしながらも、鼻歌交じりに作った夕飯
その、さっきまでのテンションは 下降の一途を辿っている
「今日は良い事でもあったのかい?」
八百屋さんで、野菜を真剣に選んでいた私に
おじさんが声を掛ける
「良いコト?別に…?それよりおじさん、旬で美味しいモノない? 」
「彼氏にでも作るのかい?」
「ちっ、違うわよっ!ただの夕飯っ!」
むくれる私に、はいはい なんてニヤニヤしながら
茄子を差し出すおじさんに もぉっ… なんて溜息ついてみるものの
なぜか緩んでしまう表情に、気を引き締め眉間に力を入れた
そんなこんなで、作った料理…
なんか、アホらしくなってきた
そもそも ご飯作って とも 一緒に食べようとも言われていない
そう、言われていないのだ
言われたのは、“夜、おまえん家 行っていい?”それだけ
それだけだったんだ…
なのに、私ったら滑稽過ぎる
「これじゃあ、まるでカカシのコト好きみたいじゃん…」
呟いたその一言に、
「違うの? 」
なんて声が返ってきて
う〜ん… そうなのかな…?
なんて考えだそうとした時
…!? あれ…?
慌てて振りかえると、私の部屋の窓枠にしゃがみ込んでいるカカシが居て…
「けっ、気配消して人ん家侵入してこないでよ!!」
思わず手近にあった、クッションを投げつける
避ければいいのに、わざわざまともにクッションを顔で受けたカカシに
慌てて駆け寄る
「なんで避けないのよ!!あんた上忍でしょっ 」
カカシは、赤くなった鼻の頭を掻きながら
「待たせちゃって、ごめんね 」
と、私を抱き寄せた
「ちょっ、ちょっと… カカシ… なんなの…? 」
焦る私を尻眼に
「ご飯まで用意してくれるなんて、思惑以上
おまえの愛が伝わるねぇ 」
なんて、満足そうに うんうん頷くから
「愛!?そっ、そんなんじゃ… 」
「そうなの…?じゃあ、どうしてメシ作ってあるの?」
「そっ、それはっ、だって、カカシが… 」
「俺が、何? 」
しどろもどろの私の顔を覗き込む カカシの顔が近い
「いっ、家に来るって… 」
「そう言ったね 」
「だから、ごっ、ご飯ぐらい… 」
カカシは、私の鼻をキュッと摘むと
「おまえは、好きでも無い男の為に ワザワザ手料理を振る舞う程、お人よしさんなのかな? 」
少し考えてから、ふるふると首を振ると
「良かった。じゃあ、俺のコトは 少なからずも好意は持ってるってコトだよね?」
戸惑いながらも、素直に頷いたら 満面の笑みで
「じゃあ、おまえもご飯もいただきます 」
と甘いキスが降ってきた
してやられた…
そう思った時には、もうスッポリとカカシの腕の中で
キスの間の、カカシの凄く嬉しそうな顔に
まぁ、いいっか…
そう思い、再び瞳を閉じた
end
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