11/20の日記

18:28
アスマ誕SS
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ー アスマ誕SS ー



明け方、懐かしい匂いに 目が覚めた


ボヤけた頭を掻きながら、起き上がると


あ…


思い当たり、カレンダーを見て


「やっぱりな…」


苦笑いした


そのまま のそのそと着替え


階段を降りていくと


家には、人影が無く


見覚えのある煙草の箱が、ポツンと 机に置かれいた


その側の灰皿で、紫煙の煙が 偲ぶように揺れている


「へい、へい、分かりました…」


溜息と共に、その箱をポケットにしまうと


靴を履き 玄関を開ける


今にも降り出しそうな空


「ちぇっ、めんどくせぇ…」


1人愚痴て ゆっくりと歩き出す


途中、イノが待ち構えていたかのように


「来ると思った… 」


と、花を両手一杯に抱えていた


「お〜い!シカマル〜」


朝からデッカイ声で、チョウジが駆けてくる


「…それ、どうすんだよ 」


その腕の中いっぱいの袋に目をやり、呆れ顔の俺に 満面の笑みで


「僕の自慢のセレクトなんだ」


と、菓子袋を 見せてよこす


俺は、本日何度目かの苦笑いをしながら


3人で歩き出す


向かう場所は、言わなくとも 皆 分かっていた



いくつもの碑が並ぶ その中で


師の名前が刻まれた 慰霊碑の前に立つ


イノが、女らしく 周囲の雑草なんかを取り


綺麗に碑を磨いていく


俺達も、それに習い
碑に手をかける


磨きながら


その文字をなぞると、胸に込み上げてくるモノがあり


慌て、煙草に火をつけ
誤魔化した


「アスマ、親父からだ…」


そう呟きながら、煙草を手向けると


「これは、私から…」


イノが沢山の花を置く


「イノ、そんなに沢山花を置いちゃ 僕のお菓子が置けないじゃないか」


「わざとそうしたの!いつも、酒やら煙草やらで
むさ苦しいったら無いのよねぇ ここは、居酒屋かっちゅうの!」


イノの剣幕に、シュンとしながらも


見えないように、花をちょっと横に押しやり


自分が持ってきたお菓子を、手向けるチョウジ


「ちょっと、チョウジ!花を除けないでよ!」


「いいじゃないか!ちょっとぐらい!」


毎回見慣れた風景に、俺ら 変わんねえなぁ…


頭を抱えた



「な〜に揉めてんのよ 」


気配も無く、背後からかけられた声に


「…カカシさん、気配消して背後から近づくの、止めて貰えませんか…」


でっかい溜息を、厭味ったらしく 吐いてやった


「あ、ごめん ごめん」


なんて、ちっとも悪びれた様子も無く


「アスマ、ハイ!これねっ」


と、酒瓶を手向ける


「あ!それ幻の名酒!!」


どこからどう現れるのか


今度は、ゲンマさんまで姿を見せる


「それ、賭けに負けたアスマに 奢ってもらうハズだったヤツだ 」


いいなぁ…


なんて、酒瓶を撫で撫でしだしたその手元から


慌て取り戻しながら


「何しに来たのよ、ゲンマ」


まるで、ついた手垢を落とすように 自分の袖口で
ゴシゴシと拭くカカシさん


ゲンマさんは、奪われた酒瓶を 怨めしそうに見ながら


「あ、俺も一応 コレ…」


と、小脇に抱えていた
見事な大きさの鯣を手向けた


「お前、鯣って…」


苦笑いのカカシさんに
ゲンマさんが、自信満々に胸を張って言い放つ


「アイツ、コレが好きだったんだって!
飲み友の俺が言うんだから、間違いねぇよ」



そこに、また


「イヤ!アスマさんは、コレが好きでした!」


と沸いて出たのは、イズモ先輩とコテツ先輩で


俺は、どんどん沸いて出る人と
溢れる物に


イノの顔色を、伺った


そしたら、今にもキレそうな顔で


「やっぱ、居酒屋になっちゃうんだ  」


ブツフツ言っていて


俺は、また盛大に溜息を吐いた


しかも、イズモ先輩とコテツ先輩は 塩辛なんか手向けちゃってて


それ、絶対腐るから…


その場に居た皆が、ゲンナリとした顔をした


「あれ?どうしたの…?こんな時間に珍しいメンバーが、顔つきあわせて 」


最後は、紅先生で


傍らには、ちょこまかと歩く 子供を連れていた


イノが、大きくなったねぇ と抱き上げる


「アスマに似なくて、可愛くて良かったね〜」


などと、口さがない連中のヤジを 我関せず


「コレ…あげんのっ 」


折り鶴を手向けた子供



アスマ… なんだかんだ言っても


あんた、愛されてるぜ


皆、この日を忘れずに集う 


何年経っても


それが嬉しくて、思わず笑った



誕生日おめでとう

アスマ…

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