12/24の日記
22:09
白雪姫 2
---------------
それから俺は、普段使わない頭をフル回転して作戦を練った
取りあえずナルトだ!
のん気に 一楽 に居たナルトを掴まえる
「おまえに折り入って頼みがあんだ… 」
神妙に考えるポーズを取った後
「おまえ…友達は大事にするタイプだよな… 友達が困ってたら、助けるよな?」
ぶんぶんと頷くナルト
「イヤ、ちょっと言いづれぇんだケドよ… 困ってる奴が居てよ… 」
いかにも言いにくそうに言い淀んでいると
ナニ、ナニ…とその青目をキラキラと輝かせて
ズイズイと顔を近づけてくる
俺は、その顔を手で押しやりながら
「ヒナタの事なんだケドよ… 」
その名前で、少し驚いた顔をしたが 続きを促すように真っ直ぐな瞳で見てくる
その純粋さに、少し後ろめたさも感じたが
背に腹は代えられねぇ
「ヒナタ… 好きな奴が居てよ… 俺とホラ、そう言うの…困るだろ?女としては… 」
ポカンとした顔のナルトに
「学芸会のキスの事だよっ 」
こっぱずかしいから言わせんな!と頭を小突くと
イタいってばよ… と頭を撫でながら
「その好きな人って、どうせスカシ野郎のサスケだろ?」
ブーたれた顔で口を尖らせた
あぁ… コイツ気づいてないんだ
あんなあからさまなのに…
俺は、少しヒナタに同情した
「イヤ、違う。もっと天然お馬鹿な感じの奴だ 」
そう言うと、う〜ん…と顎に手を宛て 数分考え込んだ後
「キバか? 」
思わず笑いを堪える
ナルトよりお馬鹿だと思われているキバにも、同情した
「同じ班じゃねぇよ… まぁ、一番近いようで 遠い男 と言うか…」
また考え込み、う〜んう〜ん唸るナルトに
もうめんどくさくなって
「それ以上詮索すんな 」
と話を遮ったら、ちょっとガッカリした顔で
でも「分ったってばよ!!」とニッカリと笑った
“分った“がどっちの意味なのか
一抹の不安もよぎるが、今回はあいつにナントかしてもらわねぇと…
当日は、ハラハラしながらも 劇は順調に進んでいく
ちょうど、悪い魔女役のイノに ヒナタがリンゴを貰って倒れる所だ
7人の小人役の キバ・シノ・ナルト達が取り囲んでいる
そこに通りかかる馬に乗った 俺…
「…なっ、なんて美しい こんなっ、ゴホッ…こんな綺麗な女性を初めて目にすっするっ 」
こっぱづかしいセリフに、顔から火が出そうだ
ホントは、ここでヒナタを見つめないといけねぇんだが
もう俺には無理…
誤魔化すように、回りに視線を泳がせると
ゲッ!なんでクソ親父、最前列ぶんどってニヤニヤしてやがるんだ
今日、任務だったハズじゃねぇかっ
俺は、今にも湯気の出そうな頭でうな垂れた
頭が真っ白になって固まる俺に、馬の足役のサスケが肘を小突く
「なにやってんだっ セリフっ 」
慌てて我に返り、横たわるヒナタの傍に膝まづく
「あぁ… せめて叶うならっ、最後の口づけを 」
殆ど早口で捲し立てると
今だっ! ナルトに合図を送る
ナルトも頷き、ヒナタを横からかっさらい
「ヒナタは、いただくってばよっ!」
と まさしくお姫様抱っこで、ヒナタを連れ去ろうとする
ここまでは、計算通りだったが
まさか、上級のネジや 小人3と6のキバとシノまでもが
「待てっ!ヒナタ(様)は、やらん!(ねぇ!)(ない!)」
声を揃えて、ナルトに飛びかかって行った
ナルトは、慌てながら
「なんだよっ、おまえら!ヒナタの気持ちも考えてやれってばよ!人の恋路を邪魔する奴はっ…邪魔する奴はっ… …何だっけな…」
ナルトに抱えられ真っ赤になりながらも
「ナ、ナルトくん…馬… 」
ヒナタがそう囁くと
「あっ、そうそう!馬に引かれて飛んじまえっ!」
かっこよく言いきったつもりらしいナルトが、鼻息を荒くすると
「馬に蹴られて死んじまえだ… ウスラトンカチっ 」
とサスケの冷静なツッコミが入るが気にせず
小声でヒナタに話す
「ヒナタ!大丈夫だかんなっ!おまえの気持ちは良く分ってるっ 」
「なっ、ナルトくん… 」
耳まで赤く染めながらポワンとした表情で見上げるヒナタに
「おまえっ、イルカ先生が好きなんだろ?」
はっ!?言われた言葉の意味が分らず、首を傾げるヒナタ
「大丈夫!俺がなんとかしてやるってばよっ!」
やっと意味を理解し、慌てて否定しようとした時
イルカ先生の怒鳴り声が響く
「こらぁーっっ!ナルトぉ!!」
終幕
前へ|次へ
□ コメントを書く
□ 日記を書き直す
□ この日記を削除
[戻る]