01/26の日記

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代償 〜カカシ〜
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「おまえに、拒否権はナイよ… 」


そう私の耳元で囁く男の 端正な横顔をじっと見た


「そんなに、睨んでもダメ 」


なんて、ニッコリほほ笑みながらも 私の上着の胸元から忍び込んでくる手


睨んだつもりなんてない… 


じっと、その色違いの瞳を見つめているだけ


その真意を計りかねているから…



彼は、私の視線を受け流し


「可哀そうなこだね…」そう囁きながら


私の胸元を、ぐいっと広げ 胸を露わにしていく


恥ずかしくて、肌を隠すのは 女性としてごく自然な行為だと思うが


その手を払いのけ


「おまえに、拒否権はないよ…」


またその言葉を繰り返した


なんでこの人は、この言葉を繰り返すのだろう


乱暴な言葉を吐きながらも


触れてくるその指先は、密かに震えていて


その唇から紡がれる冷淡な言葉とは逆に


温かい手を、私は知っているから


 … 拒んだりしないのに



私は、木ノ葉に潜入した敵国の忍びだ


この、“コピー忍者”の情報が欲しくて この男に近づいた


華街に潜入し、用心に用心重ね 周到に近づく


この街にしては、少々年がいってる私は 


他のうら若き女子達と違い


いつまでも、顔見せの雛段に座っている事が 多かった


そんな中、誰かのつき合いで めんどくさ気に来ていたカカシの目に留まる


「博愛主義だから、俺…」なんて薄く笑って


最初は、同情から始まった指名も
歳が近い事と、早くに両親を亡くしてるという生い立ちが似ていた事で


距離を縮めていった


始めの頃は、誰かのつき合いでしか来なかったこの街にも


自分から、足を向けてくれるようになって


何度か逢瀬を重ねるうちに


子供の頃の楽しかった話や、よくやった遊びなど


たわいのない話をたくさん話した


多分… 私の隙間に、この人がおさまる感覚に


任務を忘れていたのかもしれない


「子供の頃、よく食べた料理は… 」


言いかけ口籠った私を


隣のカカシが、覗き込んで 続きを促すように優しく微笑むものだから


勘違いしたのだ 


この人の空いた隙間にも、私がおさまるのではないかと


「私は、母親の顔を知らない… 父の他に男を作って 出て行き、捨てられ自殺したような母だったから… だから私は、母の手料理を… 」


言い終わらないウチに、カカシの腕が私を抱き寄せ
背を撫でた


その温かさに、縋りつきたくなる気持ちを
グッと抑える


カカシは「俺達… ホント似てるかも…」苦笑いしながら


濡れた私の目元に唇を寄せた



ここは、華街… ウソ偽りの愛を囁く場で 


自分の立場… そんなものも置き去りにして


もう、どうでもいい


そう思い始めていた


でも、忘れてはいけなかった


代償は… すべてを失う事だと 



今日も、何度目かの指名を受け


逢瀬を重ねていた時


「 何が目的… 」


私の肩口に、顔を埋めながら カカシは低い声で囁いた


数分前までの甘いフインキは、たちまち氷つき


私の上に覆い被さるその身体で、身動き取れないように 抑え込まれていた


なんとか、体制を立て直そうとするが


グイッと体重をかけられ 逃げる術も無い


少しの隙も無いこの男の手中から 遁れる事を諦めた私は


「 どこへでも、引き渡すといい… 」


覚悟を決めた  願わくば、この男の手に落ちる事を切望したが


逃げる事など、最初から諦めていたのかもしれない


私が、捕らわれているのは この身だけでは無く


心ごと全部だったから



ゆっくりと顔を上げた私のターゲットだった男


はたけカカシは


悲しそうに揺らいでいるその瞳を、私に向けると


「俺、慣れてるから… こういうの… 」


瞳とは逆な、冷淡な口調で淡々と言い放った


「何が聞きだしたかったの? あんたになら、なんでも喋ってやったのに… 聞き出し方が、ヘタだね… 」


微笑むその瞳が、冷えた色を湛えた瞬間


左目の紅が、くるくる回る



気がついた時は、この薄暗い部屋で組み敷かれていた


てっきり、尋問部などに引き渡されると思っていた私は 驚きを隠せない


「 なぜ…? 」


「ずっと… 俺のもので… 」


その端正な口元が、片方だけつり上がる


「おまえに、拒否権は無いよ… 」


繰り返される言葉







end




カカシ 26才   ヒロイン 23才

くらいの設定で…

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