02/13の日記

02:58
それがあなたの力になるなら 〜我愛羅誕SS〜
---------------





それがあなたの力になるなら






檀上でたなびく風影の装束


シーンと静まりかえった群衆は、新しい長の言葉を待っている


「 俺は、今まで 
里の兵器として生きてきた

しかし、これからは

里の長として

皆の盾となり 里を守り生きていきたい 」


大きな歓声と共に、「風影様万歳!」「我愛羅様〜」との声が上がる


大勢の里の民を前に
その威厳をも漂わせ 堂々と話される我愛羅様に
胸が熱くなった


私は、何度拭っても視界が潤み


我愛羅様の姿がハッキリ見えないのが悔しくて


頬っぺたをギュッとツネった


痛い!… 夢じゃナイんだ


良かった…




私は、我愛羅様のお側付きとして
身の回りのお世話とある忍を受けていた


木ノ葉崩しでのうずまきナルトとの闘いで


その心を、少しづつ開き初めていた我愛羅様に


色々な感情
それに対する対処方


そんな曖昧で、人に教える対照として難しい事柄を
身近に居て、我愛羅様に指南する為にお傍に仕えていた


その事柄は、多岐に渡り


思う事  感じる事  悲しむ事  楽しむ事  慈しむ事


その一つ一つを、我愛羅様に感じてもらう作業は
苦難の連続だった


「我愛羅様、サルビアの花が綺麗ですね」


「あぁ…」


「我愛羅様、この瓜美味しいですね」


「あぁ…」


「我愛羅様、あそこの小さい女の子が 手を振ってますよ
可愛いですね」


「あぁ…」


全てがこんな調子で


前途多難だった


しかし、元々頭の回転の速い我愛羅様は


それでも少しずつ
自分の気持ちや 思う事
疑問や不安なんかを話してくれるようになっていった


でも、愛すると言う感情は 難しらしく
「大切…と、どう違うんだ?」と真顔で聞かれた時は、凄く困った


「我愛羅様 愛するは、大切や大事の総合体です
例えば、テマリ様やカンクロウ様の事はどう思っていますか?」


「…大切で、大事だ… でも、愛するじゃない…」


「御姉兄以外の、異性で例えた方が、分り易いですかね…?」


「じゃ、例えば… まつり様とかは?」


少し考えた後


「大事な部下だ…」


御自身でも頷きながら答える


… 困った…


「他に里で、我愛羅様に身近な女性… う〜ん…」


私が考え込んでいると


「おまえでは、どうだ…?
…里で一番身近な女性ではないか…?」


その言葉に、一瞬で紅くなった私に
つられるように
我愛羅様も紅くなって


「…もういい… わかった…」


それだけ言い残すと、その場からフイッと居なくなってしまった


わかった…って…?




私は、その後スグ我愛羅様のお傍役を解かれた


我愛羅様が、風影に推挙される事が決まったからだ



最後の日 2人で高台から里を眺める


「おまえには、世話になった… 礼を言う」


私は、膝を折り頭を下げる


その私の腕を掴み手を取ると、我愛羅様も膝をつき


「俺は、今まで 自分の存在価値を見出す為だけに生きてきた
たくさんの奴を手にかけてきた
その俺が
風影になどなって… いいと思うか…?」 


私は、我愛羅様の瞳をシッカリと見て


「もちろんです!
私のお教えした事が
お役に立てたのか、私自身疑問ですが
これからの、我愛羅様を支える一つの礎になれば 幸いです…」


掴まれた手を、ギュッと握りしめた私に


「ありがとう…」小声でそう呟きながら


腕を引かれ、我愛羅様に抱きしめられた



守る事は、難しい 


今後、迷う事 挫ける事 そんな事はたくさんあるでしょう


共に過ごした時間 


それがあなたの力になるなら






end







我愛羅 Happy Birthday

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ