05/05の日記
23:37
痴話ケンカシリーズ 〜キバ〜
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「だいたい、おまえが悪いんだろっ」
キバの一言で、私の眉間に皺が寄る
そんな拗ねたように口を尖らせて
私の方を見ず、赤丸を撫でながら言い放つキバの前に
仁王立ちになる
腰に両手を宛て見下ろす私に
赤丸が くぅん…と服従の鳴き声をあげる
「お、俺は、悪くな…い…」
尚も視線を合わさず 語尾が消え入りそうな、その横顔を睨む
「キバが、バカみたいに人にスグ抱きついてくるからいけないんでしょ!!」
反論の為か、やっと私の顔を見て
「イヤ、だって…おまえを見かけたら… つい…」
シドロモドロで、スグに視線を反らし チェッなんて舌打ちをした
私は、割れた卵を 無言でその横顔に突き付ける
「それは… おまえが、卵を持ってるなんて…思わないじゃんかよっ!!」
赤丸をギュっと抱き寄せ、叫ぶように言い放つキバに
大袈裟に溜息を吐いた
「あんたが、オムライスが食べたいって言うからでしょ」
ニッコリと微笑んだ私に後ずさり
「だからっ!!おまえが俺の為に そ、そんな事してくれるなんて、思わないじゃんかよ!いつも俺の言う事なんて、無視してるクセに…今日に限って…」
怒鳴っている割には、私に背を向け語尾がモゴモゴと小さくなるキバの顎に手を伸ばす
そのまま、強引に顎を掴み 自分の方に向かせると
「そんなに、私がシカマルと話してたのが気にいらなかった?」
「なっ!な、んの…話だ よ…」
目線が泳ぐキバに、少しトーンを落とし問いかける
「私は、キバのナニ?」
「俺の…彼女…だろっ」
顎を掴まれているのに、そっぽを向こうとするその耳が紅い
「だったら…
「だからっ!他の男と楽しそうに話してんのがイヤだったんだろっ!俺のもんだって、見せつけたかったんだよっ!もう離せ!!」
私の言葉を遮り、顎を掴んでいた手から逃れると
「俺は、悪くねぇ!!ぜってぇ悪くねぇ!!」
なんて叫びながら、なぜか部屋から出て行こうとするその背を、赤マルが追いかける
「赤マル… おいで!! 」
私の制止で、赤マルの足が止まる
キバは、眉毛をハの字に下げているにも関わらず
「俺は、謝らねぇからなっ!!」
赤マルにチラッと視線を送りながらも、扉をバンッと乱暴に閉め出て行ってしまった
赤マルは、2・3歩後を追ったケド スグに私の元に戻り見上げてくる
クゥン…なんて心配そうに鳴く その頭を何度か撫でると
「大丈夫よ…」
そう微笑んだ
夜も深けた頃
ずっと寝そべっていた赤マルの耳が、ピクリと反応した
私は、無言で玄関に向かいその扉を開ける
「入ったら…」
声をかけられた主は、決まり悪そうに私の目の前に袋を差し出し
「卵は、売り切れだった… 替りに… コレ…」
乱暴に突き出されたそのスーパーの袋には、私の好きなアイス
「いつものコンビニに、無かったから… 隣町まで行って来た…」
「 … バカ 」
抱きついたキバからは、汗の匂いがした
きっと、卵もアイスも必死に探してくれたのだろう
クスッ思わず笑った私に
「俺は… 謝らないぞ…」
まだ強がりながらも、私を包み込む腕はやわらかく
「いいよ…」
私も、キバの背に腕を回す
「俺は、悪くナイからな…」
キバの肩口に顔を埋めると
「アイス、ありがとう…」
素直に言葉にした
「 … ごめん 」
消え入りそうな声に
「良くできました…」
その少し硬い髪を撫でると
「でも… シカマルとは、しゃべんな…」
腕に力が籠り、ギュッと抱きしめられた
end
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