05/09の日記
00:19
言葉 〜シカマル〜
---------------
「 … なぁ… ナニ怒ってんだよ… 」
玄関先の攻防
中からの返答は無く、洗濯機の回る音だけが聞こえる
「 …兎に角、開けろよ 」
遠慮がちにノックするそれとは、反対な強引な言葉
どうやら、シカトを決め込むらしい彼女のふくれっ面を思い
「 … 俺が、悪かった… 」
そう素直に口にしたのに
勢いよくガチャッと開いた扉から
「 何が悪かったなのよ! 何に対して? めんどくさいからって、口先だけで謝らないで! 」
玄関先に置いてあった、ぬいぐるみが飛んできた
慌ててそれを、片手で受けとめたら
そのまま又、ドアを閉めようとする隙間に 肘を入れ
強引に ドアを抉じ開ける
「 …まてって… 」
開かれたドアから、春の風が吹き抜け
彼女の 綺麗な長い髪を揺らす
ボロボロと大粒の涙を流す彼女を、グイと抱きしめた
「 …めんどくせぇ、って言わねぇから
おまえの泣いてる理由… 教えて… 」
抱きしめた胸から、顔を上げ
溢れそうな雫を湛えた瞳で
「 …シカマルは、私も 好きなの? 私が 好きじゃないの?… 」
少し考えて、思い当たった先輩達との会話
“「おまえ、どういうのが好みのタイプ?」
昼休み、男同士のありがちな話題
先輩の1人が 「俺は、受付の髪の毛クルクル巻いてる娘がタイプ」
他の人達も、次々に好みのタイプを口にする
最後、傍観していた俺に 「おまえは、どの娘がいい?」 と振られたから
「俺は、特に好みのタイプとか ないですね
どの娘もいいと思いますよ」とソツなく言った俺に
非難のブーイングがあがり
仕方なく「庶務課の、綺麗な長い髪の毛の娘も
表情がクルクル変わって可愛いと思いますよ…」
意識しないように、早くなる心拍数を抑えて答えた”
あれ、か…
“も” と “が” 確かに、意味合いが全然違うかもしれねぇ
沈黙に不安に揺れる彼女の瞳を、手で閉じると
その瞼にキスをした
「おまえが、1番好きだ… 」
言葉って めんどくせぇ…
end
前へ|次へ
□ コメントを書く
□ 日記を書き直す
□ この日記を削除
[戻る]