07/17の日記

00:55
寝顔 〜ゲンマ誕SS〜
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買い物途中、八百屋に立ち寄る


ゲンマの好きな、かぼちゃを購入すると 八百屋の主から


「お嬢ちゃん、半分に切っとくかい?」


包丁を片手に、聞かれた


私は、笑って


「大丈夫、上手に切ってくれる人が居るんで 」


そう答えると おじさんは笑って


「そいつは良かった」


と かぼちゃを新聞紙にくるんで渡してくれた


あと、ザラメと濃い口醤油を買って…


そんな事を、頭の中で反芻しながら 通りを歩く


ケーキ屋さんの前で、暫し悩み


苺がのった、小さなカップケーキを2つ購入した


予定の品を全部購入すると 最後に酒屋に寄って


店の店主に声を掛ける 


「用意してあるよ」


奥から、紫色の細長い風呂敷包みを持ってきてくれる


「重いケド、大丈夫かい?」


なんて、心配される私は まだまだ忍びらしくは無いのだろう


よく、友達にも 大丈夫なの? なんて心配されるが


そんなに、ひ弱そうに見えるかな?


苦笑いで、その風呂敷包みを持ち 帰る


アパートの2階に続く、鉄製の階段をゆっくり上がる


さすがに、この買い物内容では 軽快に階段を駆け上がる事は できない


やっと上がりきった先の 1番奥の部屋


風を入れる為、玄関の扉を開け放ちビニール製のサンダルを突っ込んで 


ストッパー替りにしている所が、いかにもゲンマらしくて笑ってしまう


部屋の主に、声を掛けるが… 返事が無い


おそるおそる足を踏み入れると


日当たりの良い ベランダの続きの部屋に


取り込んだ布団を枕にして


スヤスヤ眠るゲンマが見えた


窓を開けている所為か、良い風が入る


もう西日に傾き始めた、オレンジ色の光が


ゲンマの金色の髪に、反射して眩しい


その光の陰影が、彫の深さを尚更際立たせていた


ホント… 綺麗な顔立ちだな…


おでこに掛る前髪を、そっと分けると


閉じられた目の、睫毛の長さに改めて気づく


高い鼻筋から、頬を通り 唇に触れた所で


ガシッと手を掴まれた


「そんなに見惚れる顔か…?」


ニヤニヤ笑って、私を抱き寄せ


肩口に唇をつけると ハムハムと肩を食べるように唇を動かすゲンマ


私が、くすぐったいと何度訴えてもヤメテくれないゲンマの癖で


「やめて…」


肩を竦める私のそれ越しに 買ってきた荷物達を見つけ


「かぼちゃ 買ってきたのか?あとは…?」


私の服のボタンに手を掛け


「か、かぼちゃの煮物用に使うザラメと…濃い口醤油 あ… あと、甘いモノ好きじゃ無いと思ったケド…
小さい、ケーキ…」


素肌に口づけられ、ビクンと身体が反応する


「あの紫の細長い風呂敷包みは?」


「…深海…」


それを聞いた、ゲンマは ガバッと身体を起こすと


「マジ?!あの、幻の銘酒のか?」


頷く私をまた抱き寄せ


「ありがとな〜 すげぇ嬉しい!」


なんて、子供のようにハシャいで


「飲む?支度するから…」


そう置きあがった私を押し戻し


「プレゼントの最初は、おまえで 」


そんな歯の浮くセリフをサラリと言えるのは、ゲンマ独特なんだと思う


「誕生日おめでとう…ゲンマ…」


最初のプレゼントは キスで







end




Happy birth day ゲンマ

















 

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