09/08の日記

17:01
眼差し(カカシ誕SS) 〜ナルト×カカシ〜
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「 カカシ…誕生日おめでとう 」


頭を撫でるその手が気持ち良くて、ゆっくりと目を閉じた


触れられる心地よさとは真逆に


俺は、先生に触れられると いつも少し泣きそうになる


気管がギュッと締めつけられ、うまく呼吸ができなくて


いつも先生に気づかれないように ゆっくりと息を整えていた


目を瞑った事で、他の五感が際立つのか


先生特有の おひさまのような匂いが 鼻を掠め


それを、こっそり胸いっぱいに吸い込んだ


自分の中を満たすその大好きな匂いに


身体中が癒されていく


サッキまでの、同朋の同士の凄惨な殺し合いで擦り切れた心も


腕に残る、命乞いをし縋ってきた男の 爪痕も


全部、治癒していくような


そんな気がした


先生の視線が俺に向く時は、いつも心配そうな眼差しで


「大丈夫?カカシ…?」


もう、何度も何度も聞いた言葉


それに俺は、毎回 


「心配しないで下さい…」


と決まり事のように応える


そうすると、安心したように 俺の大好きな笑顔になって


俺の頭を撫でる


子供扱いされている事を、不服に思わなくもナイが


こんな特権は、俺だけの… そう思うと嬉しかった


先生の眼差しと、俺が先生を見る眼とは 全然違ったモノで


時折、その先生の優しさは 酷く俺を切なくさせ


皆に平等に優しい先生は、とても残酷なもののように思えた


一方通行なこの想いは…  一生続く…


それに耐えられるのか…



ギュッ


自分を力強く抱きしめるその感覚に目を覚ます


俺の視界には、金色の髪が広がり


フワフワとその猫毛が、鼻を擽る


匂いまで同じなんだ… 


夢の中の出来事を思い出して、可笑しくなってクスクスと笑った


いつの間にかスッカリ デカクなり 


俺とさして変わらない背丈のコイツが、なんだか羨ましくて妬けてきた


あの頃の俺の欲しかったものを、全部持っているナルト


瞳の色・髪の色・譲り受けた術・その背中に至るまで


全部欲しかったもので


「ズルイな…」


そう呟いたら


「先生の方が、ズルイでしょ…」


寝ていたハズのナルトが、ニヤニヤと笑っていた


「なんでよ…」


聞き返すと、身体の向きを替え


俺を見降ろしながら


「ずっと、俺の愛たっぷりの眼差しに 気づかない振りしてたでしょ」


「愛、たっぷり…ねぇ」


そう、先生とコイツの眼差しは全然別モノで


最初は、凄く戸惑った


イヤ、実際今でも戸惑っている…


なのに、強引に俺の領域に入り込み


開けたハズのナイ、俺の心の扉に ノックも無しに
無理無理侵入してきたんだ


「先生… 誕生日おめでとう。プレゼントは、オ…


「いらない!!」


即答した俺になどお構いなく、口づけてくるそのキスが甘くて


「…仕方ナイなぁ…」


溜息を吐いた







end




カカシ Happy birthday

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