09/17の日記

19:55
堕ちる 〜シカ誕SS〜 
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久しぶりに、あいつの姿を見た


と言っても、上忍待機室のソファー上に
泥のように寝こけている状態だったが


この、女性に有るまじき大胆な寝姿で
グーグー寝ているコイツとは、アカデミーの同級で


その男勝りな性格から、女子と居るより
ナルトやキバなんかとツルんで、バカやってる事の方が多く


奴らと一緒に居る俺も、必然と 他の女子よりも
一緒に過ごす時間が、多かった


「忍びには、ならない」


アカデミーは、親の体面の為
なんて、ずっと言っていたコイツが


ある時、急に中忍試験を受けると言いだし
周囲を驚かせた


もともと素質があった為
スグに、その頭角を現し ここまで上りつめてきた


イヤ、素質云々より 本人の努力の賜物だな


ナニが、コイツを駆り立てたのかは知らないが


決心してから、すげぇ陰で努力してたのを 目にしていた


あの頃より、少し大人びた顔を見下ろす


「たくっ、大口開けて 寝てやがって…」


思わず笑いが洩れた


もう後数時間で、今日が終わるという待機室には 誰の姿も無く 寒々としていた


9月も後半になる、この時期だ 肌寒いのは当たり前か…


彼女の上にお情け程度にかけてある誰かのタオルが、物悲しく 余計に寒さを強調している


「おい… 風邪ひくぞっ」


肩を揺すってみたが、まったく起きる気配が無く


任務後、よっぽど疲れて倒れ込むように眠ってしまったのだろう… とは思うが


何度声をかけても揺すっても起きない姿に


“こいつ、ホントに忍びなのか?”


なんて疑いたくなる


ここが戦地なら、間違いなくおまえ死んでるぞ


なんてボヤキつつも


このままでは、あんまりだと 


こいつを仮眠室まで運んだ


あんまりのコイツの無防備な姿に
俺の中で、ムクムクと悪戯心が沸いた



暫くして
俺の腕の中で目を覚ました彼女が、モゾモゾと身じろぐ


俺は、慌てながらも怒りだす
いつものコイツの反応を、思い描いた


寝ぼけているのか、少しボーっとした様子で


そうだ… コイツ、寝起きが悪かった…


少し間があってから


「…シカマル!?」


慌てたように、現状を確認しだした


ガバッと布団を捲り
自分の着衣を確認している様子に


なんかされた前提かよ… 俺は、コイツにどんな奴だと思われてんだ〜
心の中で悪態をつく


あからさまに溜息をついて、ほっとした気配に


そろそろ、怒鳴り声が…
なんて思っていたら
凄くか弱い、消え入りそうな声で


「…なん で…?」


なんて、困惑した様子


俺の知ってる、昔のコイツには ちっとも当てはまらない


泣きそうな声で
再度、名前を呼ばれた


「…シカマル 」


俺は、なんだか居心地の悪さに


そろそろこの馬鹿げた悪戯も、終わりにしようと思っていたその時


俺の顔を、じっと見つめる視線


バレたか…? と思ったが


意外な言葉が、耳を掠める


「 シカマル… 誕生日おめでとう… 」


おずおずと、おれの頬に触れてきて


「あなたが、初小隊長任務から帰ってきた時… 決めたの
シカマルの後を、追いかけたいと…」


俺を起さないように、慎重に
俺の胸に頬を寄せ


「 あなたが生まれてきてくれて、良かった…
あなたに会えて…
あなたを、追いかけられて…」


初耳だ…


俺は、てっきりいつもの調子で
“シカマル!起きろ!乙女の布団に潜り込むとは、なんて不届きな!”


とか、ガンガン撒くし立てて


肘鉄の1つや2つ
くらうもの、と思っていた


焦るコイツを見て、笑ってやろう と思っていた


なのに…


「 好きだよ… 」


そう小声で呟かれた時


―― ヤバイ… 堕ちた…


俺は、ガバッと身体を起こし コイツを下に敷く


「そう言う事は… 起きてる時に言えよ…」







end




シカマル Happy birthday

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