12/03の日記

01:57
4.きみの心に触れさせて 〜カカシ〜  
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「 ねぇ… なんで泣いているの? 」


瞬きせず、一方向を見つめるその横顔は 少し幼さも残るが凛とした女性の顔で


澄んだその瞳からボロボロと流れ出る雫は、キラキラと輝いて


任務明けでササクレ立った俺の心に、浸み渡るようだった


その瞳の見つめる先が気になり、視線を追うと


そこには、同僚らに祝われる男女がいて


女性は、抱えきれない程の花束を手元に抱き
泣き笑いな笑顔


それを、凄く嬉しそうに見守る男


うん。まさに絵に書いたような幸せカップルだね


「 で、君は…失恋した訳か… 」


事の成り行きを推測し 呟いた言葉が、決定打になったのか


我慢していたものが溢れだしたように、声を上げて泣きだして


あぁ、そんな風に泣いたら 彼らに気づかれちゃうよ


案の序、カップルの彼女の方が気づき駆け寄ってきて


「 ありがとうね 雛。皆、雛のおかげだよ。あの時背中を押してくれなかったら、きっとダメだったと思うから… 」


はぁん…


自ら自爆パターンね


自業自得でしょう


食べ物でもなんでもそうだケド


欲しいモノは、人に譲っちゃいけないね


捨てるぐらいの覚悟が無いと、安易にしちゃいけない行為だよ


なんて考えてる間も、涙ぐむ彼女より更に上回る勢いで泣くので


「 あ… なんかコイツ嬉し過ぎて言葉にならないみたいで 」


なんで俺がこんな事言ってんだろうとも思ったが


ほっとけないでしょう  この状況…


彼女は、大泣きする友人の代わりに返答をした俺の顔をジッと見て


「 あの…カカシさんですよねぇ?畑カカシさん… 」


「 ん?そうだケ…


俺が返答し終わらぬうちに、顔を真っ赤に染め


大ファンです!なんてキャーキャー言いだして


握手まで求められた


あぁ…なんか、面倒な展開…


俺はその場からフェイドアウトするべく


適当に理由をつけて、立ち去ろうとした時


「 えっ?カカシさんと雛って… つき合ってるんですか? 」


なんて言いだすから、互いに顔を見合わせてから


俺は、首をブンブンと振ろうとしたのに


ガシッと腕を掴まれ


「 じつは、そうなの… 」


サッキまで大泣きしてたハズの娘が、何を言いだすのか


ポーカーフェイス上等の流石の俺も、ビックリして 二度見したぐらいだ


それなのにその娘、雛ちゃん?は、俺の背に隠れて小声で


「 お願いします 」


と余りにも必死に言うから やや間を置いて


「 まぁ…そう言う感じ… 」


話を合せた


何やってんだ俺…


そこへ男の方も来て


「 すげぇなぁ雛!あの写輪眼のカカシとつき合ってるのかよ 」


至近距離でマジマジと見られて


ニッコリと微笑みながら、写輪眼回してやろうか…と考えた


「 雛、よかったなぁ マシな男とつき合えて 」


雛ちゃんの肩をギュウギュウと抱いてその頭をグリグリと撫でまわす


当のやられている雛ちゃんは、その乱暴な所業にも関わらず


嬉しそうで…


あんた、サッキ俺とつき合ってる事になったよねぇ?


なのに、他の男にそんな顔しちゃダメでしょう


俺は、そいつの腕から雛ちゃんを引き剥がすと


「 まぁ、今後は心配いらないので 」


とその小さな身体を、俺の方に抱き寄せる


ちょっと驚きながらも、顔を真っ赤に染める姿が 可愛いと思った


「 コイツ、おっちょこちょいで ほっとけない所あるから ]


男は、あろう事か 俺の隣に納まる雛ちゃんのほっぺたをグニグニしだし


おいおい…


俺は、思わず雛ちゃんを背に隠すように 男の前に立ちはだかり


「 大丈夫、俺がほっとかないから 」


軽く男を睨む


それでもまだ


「 あぁ 俺達ガキの頃からずっと一緒で、妹みたいなもんなんで 心配なんですよ 」


『 妹 』と言う言葉に、ピクリと反応し


俺のベストの裾を握っていた指先に力が籠る


その雛ちゃんの手を、ギュッと握り締め


「 俺が、守っていくから… 」


なぜかマジになって、そう力強く答えていた



 ――― なんて事があったのが、半年前


それから、今でも 雛ちゃんとのつき合いは続いていて


困った事に、このよく分らない偽りの恋人役が 俺は、嫌では無く 


寧ろ、よく笑い表情のコロコロ変わる雛ちゃんの存在が大きくなっていて


まいったな…



 4. きみの心に触れさせて



( 今更、俺の事どう思ってる…? なんて… 聞けないよねぇ… )


  




end



雛様へ捧げます

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