12/13の日記
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守り 〜アスマ×シカマル〜
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「 こんな所にあったのか… 」
思わず、荷造りをする手が止まった
それは、押し入れの奥で埃を被る事も無く
大切に布に包んでしまわれていて
過ぎた年数程は、月日の経過を 感じさせないものだった
そっと手に取り、その布を剥いでいくと その下に もう1枚別の布が巻かれていて
そんな、俺らしからぬ慎重な包み方に 思わず苦笑いが洩れた
最後の布も、外していくと
中からは、ボロボロのお守り
「 懐かしいな… 」
それは、アスマの誕生日に 親父の命を受け酒を届けに行った時だった
「 いつも、すまねぇなぁ 」
なんて、酒を嬉しそうに受け取ると、ナニカを思い立ったように
「 あ、ちょっと、ちょっと待ってろ… 」
奥に引っ込むと、部屋の壁に掛けてあった自分のベストをゴソゴソと探り出し
「 お返しって訳じゃねぇが… 」
と小さな物体を、玄関先の俺に投げて寄こした
「 そいつは、俺が中忍になった時に師から貰ったもんだ 」
慌ててキャッチし
その物体を見ると、あちこち汚れたお守りで
「 いらねぇよ、こんな使い古し… 」
そうぼやいた俺に
「 まぁ、そう言うな それは、凄い御利益が有るお守りなんだぞ 」
なんて、ニッカッと笑うから
ゲンナリ顔で
「 …どんな 」
一応聞いてやる
「 どんなヤバイ場面でも、もう死んじまうかもしれねぇなぁ と思う時でもコレが力を与え守ってくれる 」
力説するその肩に手を置き
「 … 根拠は 」
疑いの眼差しを向けると
「 俺が根拠で、証明だ 」
胸を張るアスマに吹き出した
「 なんだその無茶苦茶な話は、インチキ商法の売り文句の方がまだマシだぜ 」
腹抱えて笑う俺に
「 まぁ、そう言うな 今日まで生き残れたのも
コレのおかげだと思ってるし
代々、師が愛弟子を想う気持ちが沢山詰まってる代物だ 」
俺は、そのお守りをマジマジと見ると
「 気食わりぃな… 」
愛弟子とか、想う気持ちとか くすぐったくて恥ずかしくて 悪態をついた
「 まぁ、いつの世も 師が弟子を心配する気持ちは変わらねぇってことだ
おまえも、これから厳しい戦場に駆り出される事になる
気安めでもいい、持ってろ 」
俺の手からお守りを奪い まだ気慣れない中忍ベストのポケットに強引に押し込んだ
「 いいのかよ… あんたの師から貰ったもんなんだろ? それに、俺よかあんたの方がよっぽどハイリスクな任務に駆り出されるだろうがよ 」
ねじ込まれたポケットから、お守りを出そうとすると
その手を止められ
「 持っていて欲しいいんだ… 」
アスマらしく無い、真顔に
「 じゃあ、ありがたく貰っといてやるよ 」
そんなセリフしか言えなかった
後々後悔したのは、そん時 そんなガキなやりとりしか出来なかった自分と
お守りを貰ってしまった事
そんな事で、あの日 アスマが亡くなったとは思ってはいないが
もしかしたら、ホント もしかしたらだが…
ギリギリ最後の一線でも…
首の皮一枚でも…
繋がったんじゃ無いか と
なんとかなったんじゃねぇか と
そう思っちまって
その日以来、俺はずっと持っていたそのお守りを しまったんだ
「 シカマル〜 荷造り終わったの? 午後は大家さんに挨拶に行くんでしょ〜 」
下から母ちゃんの呼ぶ声で、我に変える
「 あぁ、もう終わる 」
そう叫ぶと、俺はそのお守りを胸ポケットにしまい
最後の荷物を運び出した
あれから、長い時間が経った
今日から、住み慣れた実家を出て 1人暮らしの生活が始まる
その前に…
「 アスマの好きな酒でも持って、これ返しに行くか… 」
秋空の雲を見上げながら、呟いた
end
アスマ誕生日SSのつもりでしたが… これでも… よいでしょうか?(^^ゞ((汗
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