01/09の日記

21:01
A 約束  
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「5cmの攻防」 から、続いています


※ 注 情事後の描写があります






情事後


俺は、もう反省していた


酷くしたつもりは無いが、色々と抑えが効かなくて…


今、俺の目の前の先生は 意識を飛ばしベットに沈み込んでいる


「 …やり過ぎた …よね …俺 … … 」


ガクンとうな垂れる


が、落ち込んでる場合じゃナイ!


俺は、頭を左右に振ると 先生を起こさないように


そっと、ベットを抜け出した


取りあえず、風呂に入り 水のようなシャワーを浴びる


その冷たさに、浮足立ち熱に浮かされたような脳内が、少しずつシャッキリとしてきて


「 ヨシッ!! 」


自分の頬を叩き、叱咤した


ベットに戻ると、どちらのモノとも分らぬ体液で濡れたシーツを替え


やはり、シーツ同様 ベタベタだったカカシ先生の身体を 綺麗に拭いていく


所々、先生の身体に残る 赤い鬱血痕


それらが全部、自分の付けたものだと思うと


顔から火が出そうだ


赤くなる頬を、拳でゴシゴシと拭いながら


先生を清めていく


途中、タオルを換えようと立ち上がった背後から


「 ナルト… 」


先生の擦れた声が聞こえた


途端、最中の先生の濡れた吐息とか


俺の名を何度も繰り返す、頼りな気な声だとか


そんなもんが全部フラッシュバックしてきて、俺を酷く慌てさせ


持っていた洗面器を落としそうになったり、机の角に足をぶつけたりしながら 急いで戻る


「 ナニ?先生…? 」


俺に背を向け横たわるカカシ先生に、恐る恐る声を掛けた


「 先生…どっか痛い?…大丈夫… 」


俺の矢継ぎ早の質問に、クスリと笑って


「 おまえに話しておきたい… 」


ちょっと擦れた先生のその声に、ドキドキする俺と


先生が何を言い出すのか、動揺する俺と


たった数秒の時間なのに、俺には酷く長く感じて


「 無かった事に… は、ナシだかんな… 」


そんな言葉しか出てこなかった


先生は、俺に背を向けたまま


「 今後、いつでも俺を捨てれる心の準備をしておけ… 」


意味が分らず、複雑な顔をしている俺が
背中越しでも感じられたのだろう


「 おまえが他の誰かを選んでも、俺が重荷になっても 俺が、死んでも… 」


「 ちょっ、先生っ 


「 俺を捨てて、切り捨てて、前に進む心づもりをしておけ… 」


「 なんで… 」


俺の震える声なんてお構いなく


「 こんな稼業なんだ、当たり前だろ… それに、おまえは火影になるんだろ それぐらいの心構え、できなくてはダメだ… 」


背を向けるその身体を、グイッと引っ張り俺の方に向かせると


無表情な先生の顔


その両側に手を付き先生を見降ろす


「 ナニがいいたいの、先生… 」


俺の睨むような視線を真っ向から受け留め


「 それができないなら… 終わりだ… 」


先生が、なんか小難しい事を又考えているのだろう事は分る


だけど、ナニがそんなに不安なんだろう


先生は、俺がどんな言葉を言えば どんな行動を取れば 安心するんだろう


どんな言葉でも、どんな態度でも 先生が望むなら


この身体でも、なんでもあげるのに…
  

でも、この人の過去や生い立ちを考えれば仕方の無い事なんだろうか


大丈夫、先生… 俺、そんな先生も皆引き受けるから


昔よりは、大人になったんだぜ


もう、先生の過去に酷く落ち込んだり 己の身を恨んだり 諦めたりはしない


嫉妬は… 未だにしちまうケド


この人の全部


全部を受け入れるって決めたんだ


大丈夫… 先生


「 分った… カカシ先生の言う通りにする… 」


おとなしく従う俺に、少し拍子抜けな様子だったケド


カカシ先生は、やんわりと笑った



それからの先生は、俺に抱かれる度


そのセリフを繰り返す


“今後、いつでも俺を捨てれる心の準備をしておけ…” 


俺はそれに対して、いつも


「 分ってる… 」「 好きだよ先生 」「 愛してる 」


そう繰り返し続けた


最近、分ってきた事がある


そのいつも俺に言うセリフは、多分俺にじゃ無くて


自分に言い聞かせているんだと… そう思えてきた


大切な人に、次々と逝かれたこの人らしい


一人その孤独と喪失感に堪えてきたこの人らしい


 ― 今後、いつでも俺を捨てれる心の準備をしておけ… ―


言葉だと思う



カカシ先生との関係が続いてから、半年後


俺は火影になった


他人に、俺達の関係が知れる事を嫌がる先生との関係は 極秘に水面下で続いている


俺としては、堂々と 


「 カカシ先生は俺のモノ!! 」と叫びたいくらいだが


先生は、決してそれを許してくれない


火影になってからは、尚更慎重で


おまえの立場を考えろ… とかよく言われるが


前にも言ったが、とやかく言わせないような仕事をすればいいだけの話しだろ?


先生は、気にし過ぎだと思う


相変わらずあのセリフを言い続ける先生も


好きだ 愛してる そう言いつづける自分も


先生の臆病に毒されているのかもしれない


それでも、俺の直球な言葉に 最初は悲しそうに笑うばかりだった先生が


最近では、徐々にだが 表情に変化が見られて


スンゲェ嬉しい




「 聞いてるのか!ナルト!! 」


八ッと我に変えると、その場は上役達との会議中で


やっべぇ…


適当に、聞いてる聞いてる なんて返せば


俺にその座を譲って引退し、相談役になった綱手のばぁちゃんが


以前のコハル大ばぁちゃんのようにクドクドと文句を言ってて


女って、みんなあんな風になるのかねぇ…


溜息を吐いたのを見逃さず


「 余裕だなナルト… じゃあ、この話し進めてもいいんだな!もうさっそく手は打ってある 」 


ばぁちゃんが、入れ!と声を掛けると


カカシ先生が現れた


最近お互い多忙を極めていたので、顔を見るのは久方振りだ


嬉しさにニヤニヤしないように、頬の筋肉を引き締める


すると、カカシ先生の後について 女性が4人程入って来た


見覚えのある顔や、全然知らない顔 色々だったが


ばぁちゃんは、カカシ先生に目配せし


その1人1人を紹介させた


暗部でも腕ききのくノ一 や 良家の一人娘 医療忍のエキスパート や 受付の可愛子ちゃん


そのどれもが、申し分ない経歴と容姿だったが


「 …以上、六代目火影様の 花嫁候補達でございます 」


と言うカカシ先生の締めの言葉で、イスから飛びあがらんばかりに驚いた


「 ハァ? 俺…? 」


「 なんだおまえ、やっぱりサッキの話し聞いて無かったんじゃないか!! 」


今にも、ゲンコツが飛んできそうなばぁちゃんの勢いに


「 あ、じゃあ… もっと近くで… 」


俺は、誤魔化すように立ち上がり


その女性達の傍まで近づき、1人1人繁々と眺める


興味深々な上役達の視線を前に


「 ばっちゃん、本当にこの中から選んでいいんだなっ 」


神妙な面持ちで、問い返すと


ばっちゃんは、大きく頷いた


それを見届けると


「 じゃ、この人で… 」


俺は、カカシ先生の腕を素早く掴むと


「 じゃ、後はよろしく〜 」


強引にその身体を引きづり、会議室から飛び出した


あまりの事に、対処できないでいる先生に


「 これで、もう逃げられないなっ! 先生… 」 


満面の笑みで、最後通告


「 もう諦めて、俺のもんだから… 」


どうする、先生。これで皆の周知の事実 もう逃げられないぜ 







end



続きます

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