01/16の日記

22:56
無防備な君と恋心
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助けに来たそいつの


自慢気の微笑んだその笑顔を見た時


ヤバイと思った


その女と会うのは、二度目で


怖ろしく強く おっかねぇ女


そんな認識しか無かった俺


なのに、その笑顔は 俺の心にズシリと響き


そう… 言うなら、心臓を射抜かれたような


そんな感覚だった


その頃の俺には、女を好きになるなんて感情は無く


男も女も一緒くたで 


可愛い女の子と子鹿が可愛い


鯖味噌が好きと美人が好き


そんなんが、イコールで  


その『ヤバイ』の理由も 心臓に刺さった矢の感覚も


イマイチ、よく分らないもので


俺の中で解決はつかなかったが


突き詰めるのもめんどくさく


過ぎていく日々に、そんな事は忘れかけていた


なのに、また顔を合せる事になり…


正直、勘弁して欲しかった


俺は、キバやナルト達みたいに 女にモテたいとか つき合いたいとかという願望は、薄い


平和に、のんべんだらりんと過ごせればそれでいい と思っているくらいだ


それなのに、木ノ葉での任務を終えたあいつを 大門まで送る道すがら


馬鹿ナルトに冷やかされたくらいで


あの、綺麗なのに愛そうの無い 鉄火面のようなその顔が


一瞬で、紅くなり 瞳に薄っすらと涙を浮かべて


俺の方を見上げてきて…


また、ヤバイと思った


その時には、流石の俺も少し意識しだしていたが


まだまだ、女性の中では ちょっと気になる存在…


そんなもんだった


三度目に遭遇したのは、木ノ葉の甘栗甘


俺は、イノに季節限定のスイーツとやらに付き合わされていて


あいつが、少しオドオドしながら1人で店に入ってきた時


思わず隠れてしまった


訝しがるイノを他所に、こんなコトしても 気配で気づかれるかと思ったが


よほど緊張しているのか、ぎこちなく席に座り


こちらに気づく事は無かった


なんだか、いつもの強気な物腰とは違うその態度に


気になって衝立の隙間から見ていると


運ばれて来たあんみつを、満面の笑みでホントうまそうに食べていて


女って、なんでこうも甘いもんが好きかねぇ


でも、おいいしそうに パクパクと食べる姿は 嫌いじゃねぇな


ものすごく嬉しそうなその笑顔に


そんな笑い方もするんだなぁ そう思っていたら


コソコソと、それでもワザと聞こえよがしに


「 あの人、木ノ葉崩しの時の砂の忍びよねぇ 」


などと言いだす輩がいて


もう、あれからだいぶ経ったというのに…


 … なんとなく分った


あいつの、態度が少しおかしかった理由が


多分ここに入る前、かなり躊躇して悩んだんだろう


もしかしたら、こんなコト … 初めてじゃねぇのか…


そう思ったら、咄嗟に身体が動いた 


あいつの座っていたテーブルに


「 ここに勘定置いておく、後 外の土産用の団子と甘栗貰ってくから 」


それだけ言うと、あいつの手を取り外に出る


イノが、こっちの金払えとかなんとか叫んでいたが気にする事無く


俺のお気に入りの昼寝場に連れていくと


さっき店から持ってきた団子と甘栗を差し出す


こいつは、一連の出来事にキョトンとしていたがスグに


「 あんな事、気にする事無かったのに… 」


と笑って見せた 


でも、その笑顔が… 泣きそうで


俺は、怒りや情けなさや悲しさや色んなモノが入り混じって


どうしたらいいか分らなかった


次に会ったのは、飲み屋で


アイツは、木ノ葉の女子連中と 女子会?に来ていた


俺は、コテツさんとイズモさんと飲みにきていて


襖を挟んだ、隣の個室で めんどくさい事にならない用に気配を消していた


そうそうに引き上げようとしていたが


隣の席の


「テマリさん、彼は いないんですか?」


なんて、質問されている声が聞こえて


俺は、なぜかドキドキしながら


聞き耳をたてる


「 私には、そういう感情は 分らない… 」


戸惑いながらも、そう言ったあいつの言葉など 気にする様子も無く矢継ぎ早に


「 男性の、目が離せなくなる仕草とか 気になる態度とか… なんか無いですか? 」


また無遠慮に質問して


俺は、いつもの調子だと あいつが怒りだす気がして
ヒヤヒヤしていたが


暫く考えたようで、隣の座敷から声が聞こえるまで 時間がかかった


「 … … … そういう事なら… 
ある男の、真剣に考えている時の目が… 
いいなぁ… と思う 」


回りの女子連中が、ヒューヒュー言いだして


「 凛々しい顔つきのハンサムな人なんですねっ 」


チャチャを入れたが


「 りっ、凛々しくは… 無い。どっちかと言うと、まぬけ面だ 」


皆は、驚いた様子だったが スグに


「 そうなんだ〜 他には、他には? 」


興味深々で、せかすように聞いていて


答えに苦心しているのか、また暫く間があって


「 そんな風に、全然見えないのに… 人の気持ちに敏感だったり… き、気遣ってもらったり… そういうのは… なんだか気恥ずかしくなる… 」


多分、隣の女子は 全員身を乗り出して あいつの話を聞いているだろ事が目に見えて


どうして女って、この手の話が好きかねぇ


なんて、酒を煽った時


「 あ、後… 将棋をしてる、横顔とかも… 気になってずっと見てしまうなぁ 」


場の空気が、静まりかえる


それは、こちらの席も一緒で


俺は、酒を吹き出しそうになったし


コテツさんなんか、喰ってたちくわが 口から落ちた


「 … … … あのー 」


多分、イノだと思うが 言いにくそうに口を挟もうとしていた傍からあいつが


「 あぁ… よく昼寝をしているんだが、その寝顔が 子供っぽくて ついつい見てしまう事もあるかなぁ… 」


「 あのぉ… それって… 」


俺は、確信を突かれる前に ニヤニヤ笑うコテツさんとイズモさんを残し


隣との襖を開け


「 あんた、取りあえず 外出て 」


あいつの腕を掴み、外に連れ出す


その場に居ためんどくさい連中が、全員ニヤニヤしていて


俺は、ハメられた事を確信する


おかしいと思ったんだ… 万年金欠病のコテツさん達が“奢るから”なんて


店の外で、1人紅くなり あ〜ッだのチクショウだの言ってる俺に


「 なんか用事があるのか? 」


なんて、スットンキョウな質問をするこいつに


「 あんたは、どんだけ俺に ドキドキさせるんだ? 」



無防備な君と恋心



「 はぁ!?知るかっ! 」


無防備で無自覚って どんだけだよ…


前途多難だ…







end







お酒は二十歳になってから…(笑)






 

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