04/21の日記

12:15
50000HIT企画  V (BLEACH〜吉良イヅル) 
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2.出逢った瞬間、   




初めて、その人を見たのは 人気の無い公園で


そこは、木々が重なるように生え


日中でも薄暗く めったに人も通らないような


公園と言うのは名ばかりの、ただの森林だった


そんな所に女1人で居た自分も怪しいが


その人は、私より数倍・・イヤ数百倍怪しく


よく、剣道や弓道などで見る黒い袴姿に 揃いの色の上を着ていて


重ねてグルグルと巻かれた腰の紐の白が、その人の線の細さを強調していた


その出で立ち同様、綺麗な金色の髪にも驚いたが


脇に差していた、刀が目に入って


思わず後ずさった


ヤバイ…


ジャリッ という小石を踏む音が、静まり返った森に響き渡り


ハッとこちらを向いたその薄暗い瞳と視線が合う


その鋭い目つきで、マジマジと私を見据えた後


何か小声で呟いてから、こちらに歩み寄ってくる


私は、怖くなって その場にしゃがみ込んだ


ガタガタと震え、あの刀で切られるんだと思ったら


恐怖で声も出ない


しかし、いつまでたっても何も聞こえず何も起らない現状に


おそるおそる目を開くと


その金の髪が間近で、必死に何かを訴えてきている様子に驚きながらも


目が離せなかった


あ、この人… 薄暗い瞳の色なのかと思っていたら やっぱり薄くだけど…青いんだ…


なんて、まさしく現実逃避以外の何ものでも無い事を考えていた


その間も、その人は 一生懸命私に語りかけてきていて


凄く遅れた思考で


…あれ? なんで、この人の声…聞こえないんだ…?


なんて、やっと気づいた


そう、サッキっから この金色頭の目つきの悪いこの人は


口をパクパクさせているだけで


声が出ていないのだ


私の耳がおかしいのかとも思ったが


鳥の囀り、遠くで聞こえる学校のチャイムの音などがそれを否定する


流石に、彼もおかしいと思ったのか


動きを止め


私の耳を指差した


多分、聞こえないのか?みたいに問われているのだと思い


「 よく分らないケド… あなたの声だけ、聞こえないみたい… 」


そう口にしたら


驚いたような困ったような なんとも言えない顔で


まるで 仕方が無い…とでも言うように溜息を吐いた


私の声は、聞こえるんだ…


それでも、諦める様子も無く


必死な形相で、話してくるその姿を見ると


悪い人では、なさそうだケド


何かよっぽど、私に伝えたい事があるんだろうが


これではどうにもならないので


意を決して、私のアパートまで手招きし移動する


部屋に入ると直ぐ、筆記用具を取り出し 彼の目の前に差し出した


すると、流暢な字で


「 君を、助けたい… 」


そう書かれた文字と、真剣な表情に困惑する


どう言う意味なのか、何度も尋ねたが 


詳しい事は教えてもらえず


なぜか、それから居座るように一緒に暮らすようになってしまった


男と女でひとつ屋根の下なんて


まして、得たいの知れないよく分らない人と…


なんて一瞬考えもしたが


昼間殆ど彼は 部屋にはおらず


夜、私が寝てから 戻ってくる


そんな感じだったので 特に普段の生活と変わりはなかった


それでも一緒に居る事で、少しづつ彼の事が分り


名は、“吉良イヅル”と言う事


最初に見た、どことなく冷たい印象とは逆に 熱いところが多い事


時折見せる、影のあるその表情の理由は 聞いてもけして教えてくれない事


自分の正体を、鬼退治の桃太郎みたいなもの…と茶化して笑ったり


その頃の私は、彼に興味深々だった


だから… 最初に彼が私に一生懸命訴えていた事など


綺麗サッパリ、忘れてしまっていたんだ



深夜、寝ていたハズの私は なぜか公園に居た


そこは、イヅルと最初に会った公園で


暗闇の中を、何かに導かれるようにふらふらと歩いていた


そこに私の意志は無く 闇の一層濃い部分に引き寄せられていく


ふと、誰かに名を呼ばれた気がして振り向くと


上空でイヅルが、剣を振るって戦っていて


有りえない非現実な状況に戸惑う間も無く


何か大きな声で叫んで 私の方に手を伸ばすイヅル


その声が、段々と強くなっていき


名を呼ぶイヅルの声がハッキリと聞こえた時


思わず、その腕に手を伸ばした


捉えた私の手を、シッカリと握り 自分に引き寄せる


片手でも臨戦体制を崩さず 強い殺気を放ちながら
微塵の隙も見せ無い


イヅルの戦う姿は、その見た目とは違い


とても力強く荒々しいものだった


普段の柔らかい物腰と 丁寧な筆記の文字に


イヅルから時折漂う血の匂いやその生々しい傷などは


目隠しされるように、私にはハッキリとは見えてなくて


今思えば、それは イヅルなりの配慮だったのかもしれない


でも今、有り有りと戦う姿を目の当たりにすると


やっぱり、この人は 私なんかとは住む次元が違う人なんだ…


イヤでも思い知らされた


心がザワつく



そんな事件があった後


少し塞ぎがちな私を気遣って


イヅルはよく話しかけてくれた


副隊長と言うポジションのイヅルが、皆の尻拭いにどれだけ奔走しているかとか


同期の れんじさんと言う人が、ケンカっぱやくて
いつも巻き込まれていた話など


どれも楽しい話ばかりで


たくさん話す内に、それは時折筆記では無く


イヅルの声が、薄っすらと聞こえるようになっていくぐらいで


私は、それが凄く嬉しかった


イヅルの声は、想像していた通り


誠実で優しいものだった


だから私は、その時に垣間見せる 彼の悲しそうな笑顔に


気づかなかったんだ


私がそれに気づいたのは、再び闇にのみ込まれそうになった時で


もうその頃には、上空で戦うイヅルの声がハッキリ聞こえていて


前のように、私の名を呼ぶその声と


手を差し出すイヅル


その腕は、何かに阻まれるように


私には、届かないのに


それでも、必死で 必死で 手を伸ばし


「 生きろ… 」


それが、イヅルが私に言った最後の言葉だった



目が覚めると視界に白一面が広がる


そこが病院のベッドの上だと分るまでに


随分時間がかかった


私は、事故に遭い ずっと生死の境を彷徨っていて


目覚めたのは、奇跡だと


後から聞かされた



そうか…


やっと分った… イヅルの言葉の意味を…


涙が溢れる


「 イヅル… 」


あなたと出逢った瞬間から、私の路は決まっていたんだ…





今でも、時折空を見上げると


あの金色が、戦っているような気がする







end







3作品目は、BLEACH イヅル です。


実は、自分 BLEACH自体は余り詳しくなく(所々しか見てないので(^^ゞ((汗×2)


原作の設定とかが余り分って無いので


どこかおかしな所があるかも知れませんが…m(__)mスミマセン


そんな感じなのに、なぜか 好きキャラが多いアニメでもあります


ギンや恋次・喜助・花太郎 と 皆好きです\(^o^)/


中でもイヅルは、ギンとの絡みの切ない感じが凄く好きで(←腐女子視点か!?)


CVの櫻井さんも大好きなので、今 一押しです!(^^)!

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