05/01の日記

23:36
50000HIT企画  W (薄桜鬼〜山崎) 
---------------





3.つれない態度に、     





ずっと不思議に思っていた


なぜ、この人と接すると冷えた感触がするんだろうと…


それは、まるで回りとの空気が 他とは違い数度低く感じられる程で


誰からも感じない、独特のフインキだった


傍から見たら、私に当り障り無く接しているように見えるだろうけど


奥底の方で感じる、冷気にも似た感覚


それは、私を拒絶するようで 


なかなか、その人へは踏み込めなかった


ここに居る皆は、とても優しくて


こんな私にも、とても良くしてくれる


だからなのか… 彼の態度が、酷く際立って見え


私の心に引っかかっていた



そんな矢先、土方さんから


間者として潜入している山崎さんの
許嫁役をしてきてくれ


との話しがあり、気乗りはしなかったが 副長の命


私は、二つ返事で聞き入れた


当日、普段は 女っけの無い格好ばかりしていたが


その時ばかりは、綺麗な薄桃色の着物を着せられ


かんざしなども刺したりして


側を通りかかった平助くんが


「 か、可愛いなぁーっ!!」


なんて、私の手をギュウギュウと握りしめ


ブンブンと振り回した


私は、恥ずかしかったケド 正直嬉しかったが


沖田さんの


「 孫にも衣装だねぇ まぁ…山崎くんの許嫁にしちゃあ、ちょっと色気が足りないケドね 」


とクスクス笑う姿に 任務なのにはしゃいでいた自分を後悔した



間者として潜り込んだ屋敷の主に
たいそう気に入られた山崎さんは


その娘さんとの縁談を強く進められ 困り果て


私が、山崎さんの許嫁をするハメになった


その噂の娘さんは、美人で気だても良く 申し分無い女性だったが


山崎さんの立場としては、断るしか無いのだろうなぁ


私は、そのお屋敷の縁側から


仲睦ましく歩く2人を眺める


彼女が指差す方向を一緒に見つめ 何かを見つけたようで


2人顔を見合わせて笑い合う姿に


 … そんな顔もできるんだ


なぜかズキリと胸が痛んだ


お似合いだ… 私なんかよりも数倍


なんだか、許嫁なんて役が滑稽に思えて 溜息を吐いた


山崎さんは、役めじゃなかったら この縁談を受けていたのだろうか


間者なんて立場では無く 新撰組でもなく 普通の男の人だったら…



帰り道、私を送ってくれる山崎さん


橋の上で立ち止まり


「 三日後に又訪ねてきてくれ 」


短くそう言った後、まだ何か言いたげに立ち止まっていた


私は、了承の返事をしながら ぼんやりと水面に映る自分達の姿を見つめる


先ほどの彼女と山崎さんとは比べ物にもならない、不釣り合いな姿


「 沖田さんの言った通りだ… 」


思わず呟いた言葉に、山崎さんが反応して何か言っていたが


私は、「 三日後に… 」それだけ言い残し 足早に屯所に戻った


それから私は、三日に一度程度の割合で 山崎さんの元へ着替えやお弁当を差し入れに行く


山崎さんは、凄く彼女に優しかった


私に見せる表情や態度とは、全く真逆な姿に


なんだか酷く苛立つ


こんな役目はもうイヤだ 誰か他の人に…


そう、土方さんに訴えるも 


「 しょうがねぇだろう、他に適任がいねぇんだからよ 」


バッサリ切り捨てられてしまい


私は、なんとも暗い気持ちで 今日も山崎さんの居るお屋敷へと向かっていた


屋敷に着いても、山崎さんの姿が見当たらず 探していると


裏庭から、声が聞こえる


近づくと、泣いている彼女の背を 優しく撫でている山崎さんがいた


全身が震える


その時、ハッキリと自覚した


私は、山崎さんが嫌いでも苦手でも無い


 … 好きなんだ


思えば、他の人と違うように感じていたのも


山崎さんの態度だけが酷く際立って見えたのも


初めから… この人に囚われていたんだ


私は、思わず二人の前に飛び出し


「 すみませんっ、山崎さん!もう山崎さんの許嫁の役はできません! 」


それだけ言い残すと、逃げるように走り去った



その夜


土方さんに呼ばれた


怒られる事を覚悟で向かったその部屋には、幹部が勢ぞろいしており


なぜか山崎さんも居て…


私は、俯いたまま 顔を上げられないでいた


「 おまえのおかげで、潜入任務は失敗だ 」


土方さんのいつもより低い声色に、私は畳におでこを擦りつける


「 副長、あまり彼女を叱らないでやって下さい。他に好いた人が居たのに こんな役めを… 」 


他に好いた人…?


あまりにポカンとした私の様子に


「 君は… 沖田さんを、好いているのだろう…? 」


「 え、僕…? 」


名指しされた沖田さんが、意外そうな顔で


「 そうだったんだぁ… 知らなかったなぁ… 」


それでも、ニヤニヤ笑って


「 僕は、てっきり 君は、山崎くんが好きなんだと思ってたよ 」


途端、火を噴いた様に紅くなる顔に


なぜか、つられて紅くなる山崎さん


沖田さんは、ケラケラと笑って


「 良かったじゃない、山崎くん 
彼女を、どうしても“許嫁役”に、と指名して 」


膝上で、硬く握られた山崎さんの手が ワナワナと震えている


「 総司…みなまで言い過ぎだ 」


斎藤さんの冷やかなもの言いに


「 だって、なんだか めんどくさくなっちゃってさぁ 知らないの、当人達だけでしょ? 」


「 総司っ 」


土方さんの怒鳴り声に、耳を塞ぎながら


「 後は、当人どうしで どうぞ 」


なんて、ヒラヒラと手を振りながら 部屋を後にした


残された土方さん達も


「 まぁ、そう言うこった 」


もっともらしいようなよく分らないセリフと共に、ぞろぞろと皆を連れて部屋を後にしていった



2人きりになった室内


静かに蝋燭の灯が揺れるなか


山崎さんが、先に沈黙を破った


「 き、君は、沖田さんが 好きなんだと、思っていた… 」


「 どうしてですか…? 」


私の、真っ直ぐな疑問にたじろぎながらも


「 一番、仲が良さそうだった… 沖田さんも、君の事 なにかというと構うし… 」


「 それは、沖田さんが カラかっているだけですよ〜 」


思わず笑ってしまった私に、山崎さんは 先ほど同様紅くなった頬で


「 俺はっ! あ、諦めないといけないと…思って… 君に近づかないように 見ないように… 関わらないように… そうして… 今まで過してきた… 」





 ―― つれない態度に、






「 私は… そんなあなたの態度が、気になって… 仕方ありませんでした… 」







end





4話目は、『 薄桜鬼 』の山崎です


実は、銀魂のザキも好きです(笑)


なんでしょうねぇ あのベビーフェイスな感じとキレ長の目 硬派な感じと犬のような忠誠心


それらに弱い…


マジで、山崎ルートできないかなぁ


なんて真剣に考えたくらいで(笑)


薄桜鬼は、キャラ皆好きですが やっぱ山崎です(^^)v

























 

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ