06/27の日記
00:20
四月馬鹿 〜シカマル〜
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四月馬鹿
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「 好きだ… 」
そう言って抱きしめられた
沈む夕日が綺麗に見える、観覧車のテッペンで
… … … ?
えっ! いや… お、おかしい…
そう、なぜか朝からずっとおかしいのだ
イヤイヤ、これがあの人気bPのサスケくんや ネジ先輩などのイケ面なら許そう
いや、多分2人だってこんなベタな事しないだろう
なのに、今私を抱きしめ髪を優しく撫でたりしているこの男は
なんと、あの「めんどくせぇ」が口癖で やる気ゼロの“奈良シカマル”なのだ
そして、もっと重要な事は 私達は昨日までは友達だったハズ
私はシカマルが好きだったが、悲しいかな当の本人のシカマルには全くその気が無く諦めていた
女扱いはされてナイが、他のどの女子よりも傍に居られるこのポジションを
手放す事は、なかなか勇気がいったから
自分の気持ちは抑えて、ひた隠しにしていた
なのに… なんだこの展開…
朝から、急に連絡が来て「出かけよう」と言うシカマル
Indoor派で面倒臭がりなヤツのその誘いだけでも凄く驚いたのに
なんと、遊園地に連れてこられ更に驚く
休日の遊園地なんて、シカマルがもっとも嫌がる場所
なのに、今は
「 ホラ、手え出せっ 」
なんて、私の手を握って歩いている
これは、傍から見たら ラブラブカップルなんだろう
あのシカマルが、人前で手を繋ぐとか たとえ彼女にでもしなさそうなのに
“ナニ?コレ… ゆ、夢?”
私自身は、気が気では無い
戸惑う私を他所に、シカマルはナニ喰わぬ顔で今度は
「 アイス食うか? 」なんて聞いてくる
おずおずと頷く私の頭を、クシャクシャと撫で
アイスを買いに走ってくれたりして…
普段なら、いつも一緒にツルんでるキバやナルト達と話てても
「おまえの分奢ってやるから、ジュース買ってこい」
とか言って、私をパシらせる癖に…
全く、今日はどう言う風の吹きまわしなんだか
チラチラとシカマルの横顔を盗み見るが、特に普段と変わった様子も無い
なのに 「 2人であれ撮るか 」 なんて、プリクラを指差したシカマルに
嫌な汗が背筋を流れる
いつも、カメラとか写メとか死ぬほど嫌がる癖に…
よいよ私も、疑心暗鬼と得体のしれない不安がMAXだ
シカマルのカメラ嫌いのおかげで、私のケータイのHolderには ピンボケの大あくびをしたシカマルや
ジャージの背をガシガシと掻きながらテンタラ歩くシカマルの後ろ姿とか
そんなんばっかりしかナイのに
プリクラ!?
私、死ぬんだ…
だからシカマルが優しくしてくれるんだ とマジで考えた程だ
夕日に照らされたシカマルの横顔が近づく
ギュッと目を瞑った私
暫くしても、予想した接触は無く 溜息が聞こえ
おそるおそる片目を開けてみると、シカマルがクスクス笑っていた
「 おまえ、今日何の日か知ってる? 」
今日…? … 4月 …1日 … … !!
「 …エープリールフール… 」
小声な私を、ニヤニヤと眺めてて
もう頭にくるやら 悲しくなるやら でも… なんだかホッとする自分もいて
グシャグシャな感情が入り混じり、泣けてきた
けど、なんだかそれも癪なので 歯を食いしばって耐える
それから、シカマルとは何も話さず帰路につく
ヤツは、ゴメン とか やり過ぎた とかなんか言っていたケド
なんの反応も示さない私に、諦めたようで
2人とも沈黙のまま地元の駅を降り歩いた
暫くすると、かん高いブレーキ音と共に キバが自転車で通りかかる
「 シカちゃ〜ん!今帰り?上手くコクれた? 」
回りを顧みず、大きな声で話すキバに慌てるシカマル
キバは、そんなのお構いなしで私の顔を覗き込み
「 あれ?上手くいかなかったの? まぁ、どうせシカちゃんがヘタレで、コクれなかったパターンか… 」
うんうんと頷きながら、隣のシカマルの肩をポンポンと叩く
「 キバっ! 」
眉間に皺を寄せ、キバの手を払いながら怒鳴るが
当人は全く素知らぬ顔
「 だから言っただろ〜 エープリールフールになんかコクんなって 」
キバは、今度は私の肩に腕を回し
「 なのに、こんな時じゃナイと言えないから とかなんとか言って… ヘタレだと思わないっ なっ! 」
言いながら、私をグイグイと自分に引き寄せ
耳打ちするみたいに
「 こいつ、俺達にまで嫉妬してたんだぜっ おまえと仲良く話してるのが気に入らなかったみてぇで… 」
そこで、私が泣いている事に気づいたらしく
慌てたキバの腕を、シカマルが押しやる
「 おまえは、もう黙ってろ! 」
キバから私を引き剥がすと、そのまま腕を掴み走りだした
なにかキバが叫んでいたが、私にはもう聞こえなくて
手近な公園に掛け込んだ時には
もうボロボロに泣き濡れ、公園の芝の上に座り込んだ
今日1日の戸惑いや、4月1日の告白 冗談だと言うシカマル 計画的だと言うキバ
もう、何がなんだか分らなくて 酷く混乱していた
それでも、シカマルは私が泣きやむまで待ってから
ゆっくり同じ目線の高さまでしゃがみ
「 ゴメン… 」
短く謝った後
「 今日を逃すと、言えねぇ気がしたんだ… 」
ガシガシと頭を掻きながら
「 なのに… ビビって逃げてたら、意味ねぇよな… 」
うな垂れるシカマル
暫く俯いて
「 やっぱ、ガラじゃねぇ事するもんじゃねぇなぁ 」
とかブツブツと言い
急に立ち上がると、私に手を伸ばした
「 おまえが好きだ… 」
差し出された指先が、密かに震えていたのと
いつもはつり上がった眉が下がったその顔に
私は、クスクスと笑ってしまった
「 笑ってんなよ 」
シカマルは、出した手を引込めそっぽを向く
そう言えば… シカマルは、エープリールフールなんかの為に
こんな手の込んだ悪戯をする訳が無かった
そんな事、ずっと傍に居た私が一番知っていたハズで
いつまでも笑ってる私に
「 なんか言えよ… 」
ボソリと呟いたシカマルの手を掴み立ち上がった
「 私も好き…
(シカマルは、勝算の無い賭けはしない そんな所もよく知っている)
…エープリールフールだけどね 」
― そう易々と騙されてあげない
end
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