07/06の日記

00:04
動きだす 〜ナルト 現パラ〜
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「 おっはよ〜ございま〜す〜 」


朝から、のーてんきな大声に出迎えられ


私の頬は、密かに引きつった


娘の担当保育士は、金の髪に青い瞳という見た目にもチャライが


ノリも軽薄で、私は好きじゃ無かった


どうしてあんな奴が、保育士をやれているのか…


甚だ疑問だが


なぜか、その保育士“ うずまきナルト ”は


園児にも、お母さん方にも 人気があった


「 あ、今日のそのピアス すげぇ可愛いですねっ 」


無邪気に私の耳元に触れてこようとする指先を、笑顔で払い除ける


「 先生、コレ。 他のお子さんの洗濯物がウチのに混ざっていましたんで 」


畳んだ洗濯済みの洋服やタオルを、ヤツの目の前に突き出す


「 いつもすいません 」なんて、頭を掻いているが


コイツ、全然気をつける気が無い 


最近では、ほぼ毎日だ


まだ何か話しかけてこようとするのを無視し


「 じゃ、ママ 7時に迎えにくるからね 」


子供に手を振り、職場に急ぐ


自分の事を、完全無視なその態度に 情けなくハハハッなんて笑って


それでも懲りずに


「 いってらっしゃ〜い 」とちぎれんばかりに手を振る姿に


朝からゲンナリする…


今日は、忙しい月末 早く仕事を片づけないとお迎えが厳しくなる 足早に急いだ


文字通り、女で一つで子供を育てる私には 仕事と子育ての両立はカナリ厳しい


心機一転と引っ越してきたこの街では、友人もなく


親も随分前に他界しており、頼れる兄弟もいない


それでも子供には、不自由無くと心がけているし 愛情もたくさん注いでいるつもりだ


あそこの家は、片親だから… そんなことを言われないように、細心の注意を払いながら暮らしている


「 ねぇママ、今日ねぇナルト先生が高い高いしてくれたんだよ 」


最近よく娘から聞かれる、その名前… 


私は、それに酷く苛立っていた


母親役も、父親役も 両方頑張っているつもりだが


どうしても、叶わない部分がある


力や体力や大きな手(体格)


そんな、無意識に娘が父親に求める部分を ヤツは惜しみ無く与え、軽々とこなしている


それは、職業柄当り前の事だケド


娘の「 ナルト先生が… 」との話を聞く度に


私は、それが癇に障って仕方が無かった


その時はまだ、嫌いなタイプ… そんな感情だった




夕方のお迎え時


遅れてしまい、焦って保育園に駆けこんだ


ひっそりと静まった園に、娘のくつと荷物だけが残っていて


「 最後になっちゃったんだ… 」


泣いているだろう娘を想像し、胸が痛んだ


そんな私の目に


娘を肩車するヤツと、嬉しそうにはしゃぐ娘の笑顔が飛び込んでくる


安堵する気持ちもそこそこに、込み上げる怒りが上回り 


「 危ないので、止めて下さい!! 」


大声で怒鳴った


自分でも驚いたが、娘はもっとビックリしたようで 泣きだしてしまった


スグに後悔の波が押し寄せ、俯く事しかできない


「 大丈夫だよ、泣かなくても 」


娘を降ろし、その眼線までしゃがむと 泣きじゃくるその頭を優しく撫でながら


ニッコリと笑うその姿は、こんな心の狭い私とは大違いな純粋な笑顔で


益々罪悪感が込み上げる


私は、この人に嫉妬しているだけだ…


頑張ってる私の努力を、軽々と 当然のようにやってしまうあなたに 嫉妬していただけ


「 さて、次は お母さんの番 」


いつのまにか泣きやんだ娘の元から立ち上がると


私の頭を撫でる


「 泣いていいですよ… 」


いい歳して、そんな事を言われて泣ける程子供じゃない と思っていたのに


ボロボロと後から後から涙は溢れ出し


「 良かったら、俺のココ 空いてますよ 」


随分前に流行ったそんな陳腐なセリフで、自分の胸をポンポンと叩く姿に


“バカじゃないの”と思ったが


伸びてきたその腕を拒めず、私は彼の 見た目よりも広いその胸に、顔を埋め泣いた




暫くして「 ちょっと待ってて 」とどこかへ消えた彼


私は、放心状態で座り込み


娘の「 大丈夫? 」との呼びかけにも、曖昧にしか返答できなくて


やっとの思いで立ち上がった所に


「 おまたせ、帰ろう! 」彼が、今時の若者らしく小ぶりのショルダーを斜めに背負い現れた


私の荷物と娘の荷物を持ち、娘を抱き上げると 私の手を引く


私は、されるがままで ヨタヨタと歩きながら園を出て


途中何度か「 ここ右?左? 」なんて帰路を聞かれたが


私が答えるより早く、娘が答えてしまうので


本当に、空気の抜けた風船のように 彼の後をついて行くのがやっとで


手を繋いでいる事に気づいたのは、家の玄関に着いてからだった


慌てて、離そうとした私の手を握り締めブンブンと振ると


「 じゃあ、ここで 」と微笑んだ


娘が、帰らないでとせがんでいたが


やんわりと「 また来週な 」と娘の頭を撫でた後


今度はその手で私の頬に触れ


「 一人で泣かないで… 子供の為にも、俺の(為にも) 」


最後の方は、小声でよく聞こえなかったが


私は、また泣きそうになって 慌てて早口で再度お礼をいい扉を閉めた


それから、私の彼に対する印象は 不思議なものへと変わっていった







end






続く予定です(^^ゞ



☆コメント☆
[レイ] 08-09 22:26 削除
やばいです!続き気になりMAX(//゚Д゚//)←

[レイ] 11-17 18:47 削除
きゅんっ(´;ω;`)← 更新楽しみにしてました!ナルト惚れるわ〜〜 (*≧m≦*)

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