08/02の日記

23:25
コラボSS 〜サソリ夢〜
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 ― 仲良くさせていただいてる ゆなさん作のSSです お題は、『透けて見える未来』で出させていただき “サソリ”でお願いしました(^^ゞ ―






『透けて見える未来』




晴れてるのにいつも霞んで見える。
この国の空はいつだってくすんだ色をしてる・・・・
空の色が本当はどんな色なのか俺は知らない・・・・
そもそも、本当の空って・・・・何だ?


「んっ・・・ん・・・はぁ・・・愛して・・・る?ねぇ・・・?」
「・・・・っうっ・・・はぁ・・・」
「愛してるって・・・はぁっ・・・言って・・・」
作業部屋の隅のベッドでは、裸の男女が抱き合っていた・・・
女の体を貪る男・・・そして、愛情を求める女・・・
男は、こうした行為に欲情以外、何の感情も持たなかった。

行為が終わると男は早々にベッドから起き上がり、女に背を向けて言った。
「終わりだ・・・帰れ!」
「え?何?何言ってるの?冗談?」
女は予想もしない男の言葉に戸惑っていた。
「愛?ってなんだ?鬱陶しい・・・お前とはもう会わない。出て行けよ」
「サソリ?どうして?そんな・・・・・・今まで優しくしてくれたのはなんだったの?私、サソリの何だったの」
「俺が優しくした?お前の勘違いだ!お前は俺の何でもない!彼女にでもなったつもりか?笑わせるな!」
傷ついた女は急いで服を着ると男を睨みつけて部屋を出て行った。


・・・・・女は何故、愛を欲しがる?
・・・愛など、永遠に続くわけでもなく、しかも愛など実体のない極めて不確かで不安定なものじゃないか・・・・馬鹿馬鹿しい・・・・
それに比べて、傀儡はどうだ?
おれの手が作り出す永遠に朽ちることのない芸術じゃないか・・・・
・・・・愛なんて・・・・欲しくない・・・・・

サソリは戦争で父母を亡くしてから、祖母のチヨに育てられた。
父母は、サソリを愛していたそしてサソリもその愛を全身で感じていた。

・・・・幸せだったんだ・・・・・

「チヨばあさま、父さまと母さまは何故死んだのです?あれほど強い忍であったのに・・・約束したのです・・・必ず帰ってくると・・・・何故・・・」
「サソリ、父母は里を守るために戦った英雄じゃ。難しい任務になれば命を捨てる覚悟が必要・・・忍とはそんなもんだ・・・」
幾度となくチヨとの間に交わされた会話だった。
まだ、親に甘えたい年頃のサソリをチヨは不憫に思い、出来る限りの愛情を注いで育てた。

「チヨばあさま、僕はこの国を守るために・・・・一人前の傀儡使いになって父さまと母さまの敵をとりたい!」
そんな事を口にするようになってからほとんど自室にこもり傀儡作りに没頭する日々を送っていた。
部屋の中だけが自分らしく自分の思うままに生きることができる唯一の場所。
次第にサソリの心は砂漠の国の空のようにみるみる色を失っていった。
・・・国の未来?そんなのはどうでもいい・・・俺の・・・・・未来にあるのは・・・・復讐だけだ・・・・それさえあればいい・・・


コンコン・・
ドアをノックする音に作業を邪魔されたサソリは不機嫌だった。
「サソリ?チヨばあさまから預かってきたものがあるんだけど・・・・入るよ?」
「・・・ユキか・・・そこに置け。」
サソリはぶっきらぼうに言うと、すぐにまた作業をはじめた。ユキはチヨの知り合いの孫で、幼い頃よりサソリとは兄妹のように育った。
「入るよ?ここだと汚れるから・・・・」
ユキはそっと部屋のドアをあけると紅がかった髪に目をやって溜息をついた。
「・・・また、噂になってるよ・・・女ともめた?そうじゃないか・・・・また。捨てた?」
「うるさい!関係ない!」
「どうして、馬鹿なこと繰り返すわけ?あきれるよ・・・少しはチヨばあさまの気持ちも考えたら?」
「うるさいなぁ!おまえにもババアにも関係ないことだ!用事がすんだら出て行けよ!」
「・・・・ふぅ〜溜息しか出ないよ・・・何年繰り返すの?そんなこと・・・」
ユキは手に持った包みをテーブルに置くと、後ろ姿のサソリに話し続けた。
「・・・籠ってばかりいないでたまには外にでたら?・・・少しは気が晴れるかもしれないよ?・・・ってこんなの何回も言ってるよね・・・・私・・・」

「・・・・・」
「もう、いいや・・・全然進歩しない生き方の人に付き合ってるほど暇じゃないし・・・・」
「ユキ!しつこい!」
サソリは突然立ち上がるとユキの腕をつかんで壁にはりつけた。
「痛いっ!やめてよ!」
ユキはサソリの手を振り払おうとしたが、当然男の力には勝てなかった。
「・・・・おまえ・・・そんなにしつこく言うなら・・・こうして・・・」
サソリは無理やり自分の唇でユキの唇をふさいだ。
「やめ・・・っ・・・」
ユキはサソリの唇を噛んだ。
唇からは赤い血がにじんでいた。
「どうした?しつこく俺のところに来るってことは、俺に抱いて欲しいってことなんじゃないのか?」
「いい加減にして!!今のあなたになんか絶対に抱かれないわ!」
ユキはサソリの手を振りほどいて部屋を出て行った。

・・・・いらないんだよ・・・・何にも・・・・
ほっといてくれよ・・・・
サソリは血に染まった唇をぬぐいながら、ユキが出て行ったドアを見つめた。

テーブルには小さな包みがのっている。
・・・・ババアもユキもこれ以上俺をかまわないでくれよ・・・
サソリは包みをつかむと壁に投げつけた。
包みは破れ、中のものが床に散らばった。

・・・ババアの差し入れ、それから・・・筒?・・・手紙?・・・・
筒を手に取るとそれは万華鏡だった。
中を覗くとそこは色とりどりの美しい模様が筒を回すたびに現れた。
筒といっしょに入っていた手紙は見覚えのある筆跡で、すぐにユキのものとわかった。


《『・・・・サソリ、外の世界にはあなたの知らない美しいものがまだまだ沢山あるはず・・・
どうか、憎しみであなたの綺麗な瞳をくもらせないで・・・・・美しい未来があなたを待ってる・・・』
明日、私は任務でこの国を離れるの・・・・とっても難しい任務と聞かされた・・・私が死んだら・・・もう、サソリにうるさく言う人いなくなっちゃうね。だから・・・どうしても伝えたかったの・・・》

サソリは狼狽した。
今までの日々が頭の中をぐるぐると廻りはじめた。
・・・・ユキが・・・いなくなるかも知れない??
・・・・ユキが、いなくなったって・・・・そんなの俺には関係ない・・・んだよな・・・
・・・ユキもババアも、俺の邪魔ばかりして・・・・
・・・ユキ・・・・・が・・・いない・・・毎日?

サソリは走りだしていた。
いまさら、はっきりわかったユキへの想い・・・
賑やかな町をぬけて、何度も人にぶつかったり、つまづいたりしながら、ユキが住む忍専用宿舎に向かって走った。
息が苦しい・・・

宿舎につくとユキが部屋に入ろうとするところだった。
「ユキ!!任務、断れ!!」
サソリは呼吸を乱しながら叫んだ
「は?何言ってるの?私は忍なの!そんなことできるわけないでしょう?それに、サソリには関係ない!好き勝手にすればいいのよ!」
「いや・・・関係ある!俺は、おまえがいないと生きていることを実感できない!!」
サソリはユキを抱き寄せた。
「・・・おまえまで失ってしまったら・・・」
耳元で震える声が響く。
ユキはそっと顔をあげるとそこにはいつかの少年のままの潤んだ赤茶色の瞳があった。
「サソリ・・・私・・・絶対、死なないから・・・あなたをひとりにしない・・・から・・・」
ふたりの唇が重なった。お互いを確かめるように何度も口づけをかわした。

「ユキ・・・・愛してる・・・」

サソリの周囲を取り巻いていたくすんだ色が砕けて消えた。


・・・・ユキ・・・
おまえとなら・・・・・
本当の空の色を見つけられる・・・・
万華鏡のように幾通りもの美しさを探していける・・・
ふたりが歩く先には色鮮やかな未来が透けて見えている・・・・・
そんなふうに思うよ・・・・



あとがき


YUKIさん、雛さんのステキ物語を読んでからの投稿、すんごいプレッシャーが・・・しかも、駄文失礼しました。

サソリ原作ぞい妄想でっち上げ物語です。
ユキちゃんのような子がいたらサソリの未来は変っていたかな・・・っておもうんです。
あんな、わるーーーいオジさんにならずにすんだはず。
美しいサソリの旦那には美しい恋をしてほしかったから・・・
・・・って、YUKIさん、勝手にユキって名前にしてごめんなさい!!

久しぶりの文、楽しく書かせていただきました。
こんな機会をくださったYUKIさん、雛さんに感謝です!!



ゆなさん ありがとうございましたm(__)m

自分、最近サソリスキ―なので こんなラブイ旦那が見れて めっさ嬉しいです(^^)v

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