11/18の日記
16:33
ゲンマさんとシズネちゃん @
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「 ゲンマ… おまえ、 昨日から変だぞ… 」
そう言われたのは、もう 今日の日が暮れ
皆が、帰り支度を始めた頃だった
普段と、なんら変わり無いように 充分気をつけていたハズだ
なのに…
まぁ、そこを感じ取るのも 当日じゃ無く今頃言ってくるのも
長年のくされ縁なライドウらしかったが
俺は、その問いかけに どう答えたらいいか考えあぐねていた
黙ったままの俺に
「 飲みにでも行くかっ 」
背をバンバンと叩かれ、首にガッシリと絡まったライドウの腕に 引きずられるように馴染みの店に向かった
小上がりの座敷で、向かい合い飲み始める
暫くは、熱燗を煽りながら 他愛の無い話を繰り返していたが
三本目の燗がついた頃
「 おまえらしくないな… 」
ライドウがボソリと呟いた
そう、全くもって俺らしく無い…
俺自身、自分の気持ちを持て余していて
何をどうしてどう考えたらいいか、全く分らないのだ
「 女か…? 」
流石ライドウ、鋭いねぇ
ピクリとほんの少し動いた眉毛を見逃さず
「 とうとう身を固める決意でもしたか? 」
思わず、口に含んでいた酒を吐き出しそうになった
「 俺より先に、おまえの方だろっ! 」
あははッなんて豪快に笑ってから
真面目な顔で
「 俺にも言えない事か…? 」
切り返され、差し出された徳利から酒をうける
「 ちょっとな… めんどうな事になってきやがって 」
あからさまに怪訝そうな顔をしたライドウが
「 子供でもできたか? 」
深刻そうに聞いてくる
「 いや… そうじゃ無いが… 」
言い淀む俺に
「 コレ絡みじゃ無いのかよ? 」
自分の小指を立て、俺の目の前に突き出す
「 イヤ… そうなんだケドよ… 」
“だろ〜”みたいに深々と頷いてから
「 なんだ?イケ面ゲンマが、フラれたか? 」
ツマミの塩辛に手をつけながらニヤニヤと笑った
「 そうなのかもな… 」
俺の半疑問形な答えに
「 はぁ?マジか? 」
身体半分乗り出すような勢いで、詰め寄ってくる
「 イヤ… でも、そんな感じじゃねぇのか… イヤ… でもなぁ… 」
ライドウの眉間に皺が寄る
「 おまえの言ってる事、さっぱり分んねぇぞっ 」
言い捨てられたが
「 俺にだって分んねぇんだよっ! 」
俺も、同じように言い返す
「 … そもそも、その女とつき合ってるのか? 」
乗り出していた身体を戻し、溜息を吐くライドウに酒を注ぎ返す
「 つき合ってはねぇなぁ… 」
当然のように答える俺に
「 はぁ?じゃあ、おまえの片恋か? 」
ガクッと肩を落として、うな垂れた
「 イヤ… どっちかってぇと… 向こうの方が… 」
思い出す、あの日の彼女の言葉を
“ 好き ”消え入るような声だったが
確かに彼女はそう言ったハズだ… だが…
時間が経てば経つ程、あれは 俺の都合のよい捏造だったのではないか…
そう思えて仕方が無かった
「 … …益々分んねぇぞ 」
ライドウは、もう諦めたようで
「 おばちゃん、熱燗もう1本と茄子もみねぇ 」
大声で注文してから、焼き鳥の櫛を咥え
「 俺も、おまえみたに千本でも武器にすりゃあ モテるかねぇ 」
なんて、ユラユラと玩びながら
「 で、相手は誰なんだよ 」
急に確信を突かれ、酒が変なところに入って咽た
「 言えねぇのか いつものおまえなら、さっさと口割るのに 言えねぇ相手となると… 同業者か、 しかも俺の知ってるヤツ…
「 分った!分ったから、分析すんなっ 」
こいつの分析は鋭い
それを自分の色恋に生かせば良いのに と常々思っていたが
それをせずに ど直球ストレートなところが ライドウらしいのだと思う
俺は、持っていたお猪口を置くと
「 相手は、俺より上の立場の人だ 」
少し驚いて、何か考えむライドウに
「 酒の勢いっつうか… はずみで、っうか… そういう事になっちまってな 」
正直に話しだす
あの日は、確かに酒が入っていた
アンコ達とシコタマ飲んだ後
たまたま同じ方向な彼女と、帰路についた
彼女と飲む機会も多かったが
こんな風に、一緒に帰る事は初めてで
千鳥足でふらふらと歩くその傍を、彼女の歩調に合せゆっくりと歩く
今日の彼女は、珍しく深酒だ
いつもは、アンコ達を窘めながら少量を口にするだけなのに
今日は、アンコ達に負けずなスピードで飲んでいたっけな
時折転びそうになるその腕を支える
「 ごめん、ごめん… ちょっと飲み過ぎちゃったかなぁ 」
なんて、回らぬ口調で 少し小首を傾げたりして
普段、あの五代目を叱りとばしている おっかないイメージとのギャップに
今思うと、あの時から ヤラれていたのかもしれない…
「 そうかぁ… シズネ上忍 アンコ達と違って、酔うと甘えたになるもんなぁ 」
そうそう と頷きかけて、シマッタと舌打ちをした俺を嘲笑うように
「 当たりだな 」とニヤニヤするライドウ
そっから、シドロモドロの俺は ヤツの誘導尋問にのりまくりで
いつ どこで どこまで など 全部吐かされた
「 おまえ、シズネ上忍とヤッちまったのかよっ! 」
驚きの余り、デカイ声になるライドウの頭にゲンコツを落とした
「 おまえ、声がでけぇよっ! 」
すまんすまんと頭を抑えて謝りながらも
「 どうすんだよ… あれだけ“同業者には手はつけない”と豪語してたおまえが… 」
一番痛いところを突いてくる
「 だよなぁ… 」溜息を吐く俺に
「 おまえから、なんだろ? 」
聞かれて、考える
そう言えば、どちらから なのか…
確か、余りにも足元がおぼつかず 何度もコケそうになる彼女を
「 もう、あんためんどくさいんで 乗って下さい 」
そう言って、彼女の前にしゃがみ込み 自分の背を差し出す
最初は、“迷惑かけられない”だの“重いからいい”だの言っていたが
無言で背を向け続ける俺の圧力に、渋々背に乗った
もっと筋肉質で、ずっしりと重たいかと思っていたが、彼女は案外軽くて
その軽さに驚きながら「 以外だな… 」思わず口をついた言葉に
「 何が? 」シッカリと突っ込まれ
イヤ、とか言葉を濁したのに 酔っ払いはしつこい
「 何がよ〜 もう… どうせ、胸が無いとか 尻が大きいとか言いたいんでしょ 」
そのまま俺の背で、身体を起こし
そんなに胸無いかなぁ… なんて、自分の胸をマジマジと見て落ち込んでる様子に
「 胸が全てって訳じゃないでしょうが、女性の魅力は 他にもたくさんありますから 」
俺は、正直に言ったのに
「 気休め言わなくてもいいよ… 」
なんて、諦めたように溜息を吐いて
俺の背に身体を預けるように、隙間なくピッタリと密着して 背後から腕を首に絡ませる
後ろから、抱きしめられてるような体勢のまま
肩口に額を擦りつけ
「 ねぇ… ゲンマ… 帰らないで… 」
そう言われたのと、彼女の家に着いたのは 同じタイミングだった
つづく
なんだか、無駄に長くなってしまいました…(^_^;)
次は、エロ予定です(苦手な方は、飛ばして下さい)
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