09/22の日記

12:25
ずっとそばにいるから 〜シカ誕SS〜
---------------







「 ずっとそばにいるから 」


暗闇の深海からゆっくり浮上するが如く、意識が少しづつ覚醒してゆく


その途中、まだ薄ぼんやりした脳内に その言葉が響いた


 ―― ずっとそばにいるから 


『 … 誰 』




それから、俺がまた目覚めたのは


白い天井が広がる病室のベットで


心配そうに覗き込むチョウジと、泣き崩れているイノが視界に入る


その後方、少し離れた所に 傷だらけのアスマの姿が見えた


あぁ… そうか…




病院を出てから、早々に舞込んだ忍務


人使いの荒い五代目への報告を済ませ、安堵の溜息を吐いた俺の腕を
強引に引き寄せる手


強い力で、誰もいない資料室に押し込まれ


ドア脇の壁に押し付けられた


この煙草臭い匂いで、誰だかスグに分る


名前を呼ぼうとした時


後頭部に回ったデカイ手に引き寄せられ


強引に口づけられた


それは、感情むき出しで 怒りに任せるような口づけで


壁に抑えつけられた手首や、グイグイと圧しかかられる肩が痛い


俺は、意味が分らず 身動ぎし逃れようとするが


圧倒的な体格差で、ビクともしない


呼吸が苦しく意識が薄れそうな寸前で、やっと解放された 


荒い息のまま


「 …何、怒ってんだよっ 」


唇を拭ったその手で、アスマの胸を叩く


しかし、その手は易々と掴まれ 再度引き寄せられ


キツク抱きしめられる 


首筋にアスマの髭が当たりくすぐったい


何を怒っているんだか知らないが


デカイ図体の割に、時々俺より子供っぽい悪態をつくこの熊は


時折、俺の理解不能な行動をとる


でも、それは ヤツに言わせると 大人の事情なんだそうだが…


首筋にまとわりつくアスマの頭を撫でる


「 俺を助けに来てくれてたの… アスマなんだろ…  ありがとな 」


途端、アスマの動きが止まったが


俺は、別段気にせず


「 助けに来たのが、アンタで良かった… 」


そう言ったら、俺から離れ 煙草を口に銜えながら


「 …気にするな 」


呟くようにそう言った


今なら分る気がする


あれは、俺にじゃなくて 自分に言い聞かせていたのかもしれない


思えば、アスマはけして“ずっとそばにいるから”などとは言わない


 …できないからだ


そんな事は、分っていたはずなのに…


あの頃の俺には、


アスマしか見えていなかった




「 ずっとそばにいるから 」


目を覚ますと


銀髪が揺れていて、情っけない顔したカカシさんが映る


俺は、なぜかカカシさんに膝枕され 横たわっていた


「 大丈夫… シカマル 」


カカシさんの声が響く


あぁ… あれは


アンタだったのか…


思わず笑ったら


「 笑い事じゃないよ!シカマル死にかけたんだからね! 」


この人にしては珍しく感情を露で、イヤでも自身の危機的状況を知る


ここは、戦地でも 外れた場所


「 よくここが分ったな… アンタの所からじゃ、程遠かっただろうに 」


ボロボロのカカシさんを見れば、どんなに必死で大変だったかが分る


「 …また、 助けられたな 」


カカシさんは、少し驚いた顔をして


「 覚えてたの… 」


一度目(最初)に俺を助けた時は、もっと酷い状態で 正直助からないかもと思った事


「 後ね… 喉元に大きな傷があり 声も出ないはずなのに 唇が動いていて 耳を寄せると“アスマ”の名を呼んでいた… 」


その時、なぜだか カカシさんの中で色んな気持ちが溢れ出し あの言葉が口をついていた と話してくれた


「 そのスグ後に、アスマが来て おまえをサラっていっちゃってさぁ 」


子供のようにむくれるカカシさん


「 しかも、里に帰った後 アスマに呼び出されて
『おまえシカマルに気があるのか』と胸ぐらを掴まれ 
俺、なぜだか『ある』と即答していて… 
あの時はまだ“気になる存在”というくらいだったのに
自分でも、自分の口から出た言葉に驚いたし 
俺が、あんまり即答で答えるから アスマも驚いていたっけ… 」


そうか、それであんなに…  


何年も前の出来事の、空白が埋っていくような感覚に


ようやく、長い夢の答えが見つかった そう思えた


「 ずっとそばにいる、そんなのは俺達には難しいのに
あの時は、本気でそう思ってたんだ…
笑えるだろ 」


頬を掻きながら話すカカシさんの後頭部を自分に寄せて口づける


本当に… 


時々カカシさんから聞かされる 俺への想いには、驚かされる


しかも、本人自覚なく スゴイ告白をしてくるもんだから性質が悪い


その度に、くすぐったいような情けない苦笑いになるケド


「 俺も、ずっとそばにいたい… 」


たとえ叶わなくても 


願う事はできるから… 













end





シカマル Happy Birthday



☆コメント☆
[フミオ] 09-23 00:13 削除
アスマ先生とカカシ先生に愛されてるシカたんに萌える〜(#^.^#)素敵でした☆
本誌のシカさん無事でいてね

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ