03/04の日記

01:26
カカシの戸惑い〜押してもダメなら引いてみな篇  カカシ×イルカ
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「 カカシ〜 」


通りの向うから、でっかい声で俺を呼ぶ悪友に シカトを決め込みながら


気持ち少し早目に歩を進めると


すぐさま駆け寄ってきたアスマに


「 なんだよ、逃げんなよ 」とガッシりと肩を組まれた


露骨に嫌な顔をする俺に構う事無く


「 聞いたぞ おまえ、アカデミーの教師に入れ込んでるらしいじゃねぇか 」


内心ビクリとしたが、聞き流す


「 で、イルカは 落とせたのかよ 」


呼び捨てが気になり


「 顔見知りなの? 」


ボソリと呟いた俺の言葉に、ニヤニヤしながら


「 あいつも戦争孤児だ 親父の所に、よく出入りしてたからな 」


俺の表情に変化が無いか、探っている


腕を振りほどき「 あっそっ 」短く答えたが、まだ諦める事無く


ニヤニヤしているアスマに


「 おまえ、そんなに暇なの? 」


シッシッと手で払いながら、嫌味で言うより早く


「 あ、イルカ〜 」


俺を呼び止めた時同様に、でかい声を張り上げた


その名に、そちらに視線をおくると


名を呼ばれた張本人が、アスマを見留 手を振ろうとして


隣に居た俺を見て、顔色を変えた


おいおい、仮にもアカデミーの教師が そんなに露骨な表情をしていいのか


ましてや、俺は上忍 中忍より立場上よ〜


溜息を吐くと


一部始終を凝視していたアスマが


「 なんかあったのか? 」


なんて、興味津々に聞いてくる


なんか…  ねぇ…


そう、あれは ついこの間の事


俺は、受付の花゛なんて言われ 噂になっていたあの人に ちょっと興味本意で近づいた


男で、こんなもっさりとした中忍が どうして受付の花゛なのか 納得いかなかったからだ


親しくなるには最初は、飯でも と思い誘ったのに


意図もあっさり断られた


何度も言うケド、俺上忍よ


上からの誘いを断るなんてアリなのか? 


しかも、誘われた事は数知れずあるが 自分から誘った事など 今まで一度も無い この俺の誘いを…


衝撃的だったが


ぐっと堪え、都合が悪かったのだろう と


また、別の日に誘ってみた


でも、結果は同じで


何回誘っても、答えは゛NOなのだ


「 イルカ先生は、アレですか… 
俺に気の無いフリをして気を引くタイプ?
よくいるんですよねぇ そういう風に、皆と違った手で 逆に気を引こうとする人… 」


早口で捲し立て、ここまで言ったら この人泣いちゃうかな


ちょっと大人気無かったか…?


心配になってイルカ先生の顔をチラ見したら


すんごい、ポカンとした顔の後 みるみる眉間に皺を寄せて


「 … はぁ?! 」と聞き返された


思い切り露骨な不機嫌に、怯んでいると


「 カカシ先生は、アレですか… 俺のものは俺のもの おまえのものも、当然俺のものだよねぇ 的なタイプ? よく居るんですよねぇ そおいう肩書にもの言わせる方 」


ちっとも笑ってない冷ややかな眼差しに 両の口角を強引に吊り上げて


もう近寄るなとばかりに、シッシッと手を振り払い


呆然とする俺を一瞥すると


スタスタと歩いて行ってしまった




「 カカシ? 」


アスマの呼び声を、適当にあしらい


そそくさと踵を返した イルカ先生を追う


いい加減距離を置いて後をつけたのに


「 カカシさん、どこまでついてくるつもりですか…? 」


これ見よがしな大きな溜息で振り返り


両手を腰に当て、ギロリと睨む


へぇ〜 感知の能力はなかなかなんだ…


ただの、ぼんくら中忍て訳じゃ無いのね〜


上から見下ろす俺が勘に触るらしく


眉間の皺が深くなる


「 あんたは、俺にどうしろと言うんですか 」


どうしろって…


「 俺は、ただ… 」


口にしてから、改めて考えていると


苛立つように


「 何がしたいんですか 」


強い口調


「 俺は、ただ… イルカ先生と 飯でも… と 」


モゴモゴと答える俺に


「 だから、なんで 」


興味本意で… なんて、言っていいのだろうか…


この人、凄く怒りそう


しかし、そもそも なんで俺は、こんなにこの人に執着しているのか


あんな噂を真に受けて


普段の俺なら、他人に固執する事も 興味を持つ事も無かった


なのに なぜ…


「 自分でも… 分からない… 」


呆れたイルカ先生が


「 じゃあ、結論がでてから 話しましょう 」


また、足早に去ってしまいそうなイルカ先生の腕を咄嗟に掴み


俺が、口走ったのは 


「 俺が、忍びでも なんでもなくなって… 」


咄嗟に出た言葉は、全くの予想外のもので


柄にもなく擦れた声も、震える手も


全然俺らしく無く、情けない


そんな無様な様子を、知ってか知らずか


俺の言葉など、聞く気も無く去ってしまうだろうと思っていたイルカ先生は


先ほどの不機嫌さなど微塵も無く


俺の言葉をちゃんと待っていてくれて


それは、まるで アカデミーの生徒に向けるそれと似たような感じがし


恥ずかしい気もするが


胸に込み上げる温かいものに


一度大きく息を吸い込むと、後押しされるように言葉が続いた


「 …持ってるものも、全部無くして… 朽ちた身一つになっても… 」


震える指先を、ポケットにしまい


「 それでも… 帰れる場所で あって欲しい… 」


何俺、こんな事言っちゃってんだかと恥ずかしくて 後悔しきりの俺に


イルカ先生は、ニッコリと笑って


「 いいですよ 」 と言った


俺には、そのイルカ先生が 天使に見え


急速に顔が紅くなるのを感じ、慌てて俯くと


見た目よりも全然大きなイルカ先生の手が


わしゃわしゃと俺の頭を撫でた


「 カカシさん、ゆっくりとやっていきましょう 」


俺は、情けなく どうする事もできず


「 よろしくお願いします… 」


小声で呟くのが、精一杯だった







end







このSSは、アニナルのカカシ暗部篇を見た友人(←カカイラー)が 「 イルカとの出会い篇もやらないかな〜 」と呟いたのを受け 


自分が、「 イルカ先生との出会い篇の後は → カカシの戸惑い〜押してもダメなら引いてみな〜篇に続き → バカップルイチャイチャ篇〜イルカ大ピンチ!〜 へと続くだろう〜 」とかって書き込みしたのがキッカケです(笑)


ついでに、このSSはその友人のカカイル サイト《猫だるま》鈴さんに
もらわれていきます(´▽`*)アハハッ

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