04/24の日記

20:57
猫だるま 鈴様よりの頂きもの
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【友情の底に隠れる何か】





今日も里は平和だ。

空は青空。 大門の外の森からはカッコウの声。

「コテツ…アクビすんなよ。どこで誰が見ているか分からないんだぞ。」

俺の横には良き相棒にして口うるさい神月イズモ。

「だってよ〜、あと二時間も大門の受付に座ってなきゃいけないと思うと…ふわぁ〜あ‥」
「弛んでるぞ馬鹿コテツ。」
「馬鹿って何だよ、馬鹿って……お?」

何やら人が集まってきた。

「そろそろカカシさんの隊が帰ってくるな。」

イズモが俺の横で そう言った。

そうか。予定通りの帰還だな。さすがカカシさんだ。

多分それぞれの家族に、帰還予定時刻でも送られてきたのだろう。
続々と里人が大門前にやってきた。

「父ちゃん帰ってくる?」
「もう少しで帰ってくるよ。」

そんな微笑ましい光景を見ていたら
隣でイズモの奴が他里の忍びが来訪した時に渡す通行証の束を立て
トントンと机に叩きつけて揃えると、ひとつ溜め息を吐きながら小言を言いやがった。

「コーテーツ。顔がニヤニヤしてるぞ。締まりのない顔すんな。」
「 あ?ニヤニヤじゃねーし。“微笑んでる”だけだし。」
「お前はさぁ……お?イルカだ。」

イズモの視線を追うと、確かにイルカの姿が有った。

「カカシさんを迎えに来たんだな。」
「妬けるねぇ。やるなぁイルカも。」

うちの里は他の里に比べると、こと恋愛に関しては男女の拘りがない。
しかしイルカがカカシさんと付き合っていると分かった時はビックリした。
どちらかと言うと イルカは女の子と結婚して、子供を持つ父親になるタイプだと思っていたから。
聞いた話では、カカシさんの方がイルカに御執心だとか…
エリート上忍の好みって よく分かんないや、と思わなくもないが
まあイルカは確かにいい奴だし、誰からも好かれる奴でもあるからな。

『カカシさんとイルカかぁ…』

カカシさんの帰りを待つイルカの姿を見てから、次になんとなく隣のイズモを見る。

俺が見ている事に気付いたイズモは「なんだよ。」と不愉快そうに顔を歪めやがった。
だから俺もムッとした顔を見せ「なんでもねーよっ。」と言ってやる。

「なんだよお前、気持ち悪い奴だなぁ。」

イズモは不貞腐れたような俺に そう言ったが…

実は あながちハズレてもいないのだ。

自分で言うのも何だけど最近の俺は少し変だ。

モテるイズモが、ここ二年近く彼女も作らず自由にしているせいか
それとも その自由な時間に俺と過ごす事が増えてきたせいか

俺はイズモを見ているとドキドキする事が有る

ガキの頃から ずっと一緒で
お互いの過去の悪い事も良かった事も
初体験の女の事もフられた女の数も(これは俺に限るが)

ガイさんじゃないけれど、熱き青春時代は二人で馬鹿ばっかやってたのに

それなのに

月日の流れと言うか、大人になったと言うか…
イズモには色気さえ感じる事が有るんだよなぁ…

『イズモに色気を感じる事態、変だって事だよなぁ?』

彼女居ない歴が三年は過ぎようとしている俺だからかな。
居ない歴っても、付き合って半年でフられたあとの居ない歴三年だしな。

『欲求不満になってんのかな俺。だから身近にいるイズモにトキメいちゃってんのかな。』

こいつ 顔だけは割と綺麗だし、黙って見ている分には その辺の女よりも…

「 ……何さっきから見てんだよコテツ。気持ちわりぃなぁ。」

眉間にシワ寄せてる顔にもゾクッと来ている俺は完璧に変だな。うん。

取りあえず言い返しておく

「イズモ最近彼女つくんねぇなあ‥とか思ってさ。心配してやってんのさ。」

俺も手元の書類の束を立てて、トントンと机で均(ナラ)してみる。

「 …お互い様だよ。ばーか。」

ちぇっ。そりゃそうだよな。

「 !コテツ、帰って来たようだぞ。」

つい俺達も椅子から立ち上がる

「父ちゃん!!」
「あんたっ!お帰り!」

大門の外からカカシさんが率いる大隊の忍び達が笑顔で入ってくる。
疲れきった顔も見せずに晴れやかな顔で戻って来ているので
死者は出なかったものと見て取れる。

「お〜…カカシさんが来たぞ〜。」

脇目もふらずにイルカの元へと進んだカカシさんは
イルカに近寄ると、何か一言二言話したかと思ったら
キュウッと自分の腕の中にイルカを抱き入れた。

「 …いいなぁイルカ。愛されてるなぁ…。」

そんな俺の言葉にイズモが反応した

「彼女でも欲しくなったか?それとも彼氏?」
「 は? 」
「“羨ましいオーラ”がダダ漏れだっつうの。」
「 むぅ… 」

クスクス笑いやがって

「そういうイズモだって二年近く彼女も居ねぇじゃん。早く作れよ。」
「 …余計な御世話だよ。 」

フッと苦笑いしながら、再び椅子に腰掛け
溜め息を吐いて手元の書類を何の気なしに見るイズモは
何も考えていないように見えるが、絶対何か秘め事が有ると俺は見た。

なんだよ今の苦笑い。なんだよ その…溜め息。


おかしいぞ。
いや、イズモも可笑しいが俺も可笑しい。

だって そんな態度のイズモを見ていると、胸の何処かが小さくギュウッと苦しくなるから

何か俺に話せないような、何処かの誰かに秘めた想いでも寄せているのでは…と思ってしまうからだ。

友達なのに そんなの悲しいじゃないか。
相談してくれないなんて寂しいじゃないか。

『て、いけね。 まだコイツが誰かを…って決まった訳じゃないんだ。』

目の前で繰り広げられていた隊の帰還と家族の出迎えは
一人、また一人と家路に付いて 人も疎(マバ)らになっていた。
イルカも仲良くカカシさんと肩を並べて帰って行く。

その後は また静かな大門の前で
俺はアクビを噛み殺し、イズモは何か考えているようでもあったが
交わす言葉も少ないまま交代の時間を迎えた。


「よお、どうする?俺んち来る?新しい漫画本買ったぜ。」

両腕を頭の後ろで組みながら、イズモに話しかけると

「この後は非番だからビールでも買って行くか?」

と、ナイスな提案をしてくれた。

二人でコンビニに寄ってビールと摘みの乾物を買う。

カサカサとビールの入った袋を鳴らしながら
仕事から解放された気楽さからか、二人で馬鹿な事言っては笑いながら歩いて
そうして いつもの“仲良しコンビ”と呼ばれる二人に戻り、俺のアパートへと辿り着く


「ほら、今週号。」
「 ん。 」

無造作に ポンッと雑誌を投げ渡すと
イズモはベッドにうつ伏せになり、本を読み出した。

「漫画は読んでも、袋とじは勝手に開けんなよ〜。まだ見てねぇんだから。」

ベッドの傍に小さなテーブルを近付け、ビールと摘みを乗せた。
ベッドの上のイズモも手が届く範囲だ。

「俺も単行本でも読み返すかな〜。」

ベッドを背もたれにして、足を伸ばして座ると
俺も本棚から持ってきた漫画を開いて読み出した。

ビール片手に漫画を読む二人。 いいんだ これで

いっときの間 忍者と言う過酷な生業で有ることを忘れていられるから

明日は生きているかさえ分からぬ生業だから

こいつと静かに時を過ごすのは嫌いではないんだ。 俺は。

「 ! 」

後ろからスゥスゥと寝息が聞こえてきたので、ちょいと振り向く

「なんでぇ寝ちまったのかよ。」

人に散々アクビするなとか言ってたくせに、先に寝るとは何事だ!!

いつの間にやら本を枕元に置き、仰向けで呑気な顔して寝ていやがる。
「ひひひ…。」少し悪戯してやろうと思い、腰を上げてイズモの顔を覗き込んだ。

「イーズモォ…。起きねぇとチュウしちゃうぞぉ。」

クスクスと笑いながら顔を更に近付ける

「おい、ホント寝ちまったのかよ。」

身を乗り出して、真上からイズモの顔を見下ろした。

『 ……ヤベェな。なんか…』

なんだかヤツの唇に吸い寄せられそうで マズい

『 馬鹿っ俺っ!!欲求不満もいいとこだ。』

そう思い、顔を離そうとした時
グイッと後頭部を押さえ込まれ俺の顔は逆にイズモに近付いた

当然 キスってやつをしてしまってる俺。
て!ちょっと待て!!相手はイズモだぞ!?え?どういう事…

でも嫌じゃない俺が居る。
イズモと唇を重ねて、舌まで入れられてるってのに
ちっとも嫌な気分には成らなかった


だーーっ!! やっぱり ちょっと待てっ!!

「んんん〜っ!!」

抵抗し始めると、頭を抑えていた手は やんわりと解かれ

「なんだよ。したかったんじゃないのか?キス。」

と、澄ました顔で言われたので
それが大正解と言うわけでもないが近いモノが有っただけに

「バッ、バーカッ!!何言ってんだお前!!俺は冗談でだなぁ…」

すぐさま そう言ってはみたものの
多分赤い顔して焦りながらの言い訳にしか聞こえなかっただろう。

イズモに変に思われて友情にヒビなんて入れたくないじゃないか。

なのに

「あっはっはっ!!コテツすげぇ真っ赤!!茹だってんぞオイッ!!」
「 う‥うるせえっ!!舌まで入れやがって!!」

あれ?なんだ!? 俺 泣きそう

「 う〜… イズモの馬鹿やろう。 」
「 コテツ… 」

ごめんごめんって言いながら、イズモが俺の頭をそうっと抱きしめてきた。

「泣くなよ馬鹿だなぁ。」
「うる‥せえっ。」

なんだよ この状況
なんだよ イズモのこの優しさ

「…コテツ…俺…」

イズモが何か言いかけたが、とにかくこの妙な雰囲気から脱出したくて
俺はイズモのアンダーシャツの胸元を引っ張ると

「 ずびーーーっ!!」
「 !!! 」

派手な音を立てて鼻をかんでやった!

「〜〜〜〜〜コーテーツッ!!この野郎!!」

潔癖イズモは青い顔してシャツを脱ぎ捨て
俺に素早く逆エビ固めを仕掛けて「あやまれっ!!」とカンカンだ。

なんだかこれぞ“ザ・俺達”って感じで痛いどころか嬉しくて

「いてーぞ!!イズモ!!手加減しろやっ!!」

どう反撃しようか笑いながら怒りながら考えている俺だった。

あれ?さっきイズモのやつ 何か言いかけてなかったか?

ま いっか。



…いいんだよな?イズモ







鈴様ありがとうございました<(_ _)>

UPが遅くなって、すみません(^^;

コテイズ好きなので、めっさ嬉しいです(^^)/



 

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