07/02の日記
00:53
決心 ※閲覧注意
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※ 惨忍な表現や、怪我の描写アリ 閲覧注意
「 早く帰ろうぜっ 」
長くつづいた他里での任務から解放されるとあって
コテツさん達が急かしだす
一緒に居たアオバさんやライドウさんも そうだなと同意し
俺達は里の帰還を急いでいた
皆の浮き足だったテンションとは逆に俺の足取りは重い
任務中は任務をこなしてりゃあ余計な事を考えずに済んだが
戻ればそういう訳にはいかない
嫌でも色々な事を見聞きする
最近のカカシさんの行動は派手で、里内でも連日のように噂に上がる程 女性をとっかえひっかえしている
そんな状況に今の俺が焼きもちを妬けるはずも無く
もうその立場でも無いが
それでも、俺の背を撫でてくれていたあの手で 柔らかな女性に触れる…
それは、同性という非生産的で排他的なリスクを
目の前に突きつけられ、罪悪感たっぷりに思い知らされているようで
胸を抉られるような痛みを俺に与えていた
「 今更だよな… 」
カカシさんには、今の状況の方が良いんだ
優れたその血筋を絶やさずに済み あの人が欲してる温かい家庭や家族
そんなのが手に入る この方が…
込み上げる苦いものを吐き出すように、溜息を吐いた矢先
上空を鳥が舞う
それに最初に気づいたのはイズモさんで、呼び寄せた鳥の足に結わわれていた紙を解くと
「 援軍要請だ… 」
数分前までのリラックスしたフインキから瞬時に、その場の全員に緊張が走った
そのまま暗号を解読し読み上げる
『 霧ー東ゐ南四 至急援軍を要請 重傷者アリ 』
それを聞いたライドウさんが
「 霧ノ国の国境沿いか… 東って言えば、カカシの所じゃ無いか… 」
最後まで聞く前に俺の身体は勝手に走りだしていた
背後から呼び止めるような声が聞こえるが、聞く耳は無い
「 死なないでくれ、カカシさん… 」
必死に駆け抜けて駆け抜けて、足が縺れそうになりながらも 兎に角前へ前へ気ばかりが焦る
「 どうか、無事で… 」
願う事しかできない今の自分がはがゆい
やっと着いた先は、木々が薙倒され地形は歪み所々には火が燻って煙っていた
濃い血の匂いと肉が焼焦げる匂いに口元を押さえる
突如頭上から多量の水飛沫が降り注ぎ、一瞬で燻っていた火を消し去るが
今度はそれが霧のように視界を塞ぎ、周りが見えない
それでも俺は、それがカカシさんの水遁だと確信し
そちらの方に駆けていく
徐々に視界が晴れていくそこには、カカシさんが忍刀で敵を仕留めていた
一足遅れて着たライドウさん達援軍に、敵は撤退していく
俺は、至るところから血を流し酷い状態のカカシさんに歩み寄ろうとするが
今だ敵に向けるのと同様な鋭い気を放ち近寄る事ができない
それでもにじり寄る俺をギロリと睨み
躊躇する事無く瞬時に間合いを詰め
敵に向けていた怒りのまま、俺の首元に忍刀を突きつけ唸るカカシさん
その刃先からは、ビリビリとした殺気が伝わってくる
いつも隠されている紅い瞳は露わで
そこから幾筋もの血が流れ、まるで泣いているようだ
ダランと垂れ下がった指先からボタボタと滴る血は
その肩口に大きく開いた傷のせいで
俺が見たところ、多分腱が断ち切られている
不味い この人は血を流し過ぎている
すでに顔からは血の気が失せ
その指先同様酷く青白い
多分今立っているのもギリギリなはずだ
そんな状況なのに放つ殺気は増すばかりで、一歩も引かない
俺の首筋に徐々に刃先が喰い込み血が滲む
殺されるかもしれない
そう覚悟したが、“カカシさんを助けたい”その想いだけが俺を突き動かす
そっと腕を回し、ゆっくりとその背に触れる
「 カカシさん… 」
つづく
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