01/08の日記

20:38
@ 5cmの攻防 (ナルト誕SS) 
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「 …ちょっと待てっ 」


慌てるカカシ先生を、意に介さず


どんどん壁際に追いつめる


尻もちを着き、おずおずと後ずさっていく姿は


とても、名の通った写輪眼のカカシとは程遠く


思わず笑っちまいそうになるケド


ここで気を緩めて、なし崩しになる訳にはいかねぇ


これは、約半月前のカカシ先生の誕生日からの約束であり


ホントは、前月に遂行されていた計画だったハズで


今日こそは、その大人の事情を都合よく語る口も


分身や瞬身の、小手先の術で逃げるその身体も


全部、離す気も逃がす気もサラサラ無い


「 約束だよ… カカシ先生… 」


俺の、いつもより少し低い声に 眉毛を下げ


あははっ なんて、力なく笑って


それでも、どう逃げようか そのキレる頭で考えているのだろう


が、今日の俺は一味違う


今日この日の為に、念密に練りに練った計画


時期火影候補を、なめてもらっちゃ困る


カカシ先生の下で、修行してたガキの頃とは 訳が違うつーの


この場面に至るまで、影分身を何体やり過ごし


あろうことか、雷切まで発動しようとするカカシ先生を


デカクなったこのガタイと 持って生まれたスタミナでやり過ごし


なんとかここまできたのだ


もう往生際が悪すぎる


俺の事好きな癖に 愛しちゃってる癖に、大人の都合だの世間体だのは聞き飽きた


カカシ先生も好き 俺も大好き それでいいじゃねぇか


カカシ先生は、難し事考え過ぎだ


確かに、俺の四代目の血筋や カカシ先生の血統を絶やす事になっちまうかもしれないが


こんだけ医療忍術が発達してるんだ


それもクリアーできると思うし


実は、もうサクラちゃんに それとなく依頼してある


なんて言ったら、ぜってぇ怒るから ナイショだけど


世間の目や、俺の対面なんて 屁でもねぇし


それでも、文句言わせねぇくらいの働きをすりゃあいいんだろ?


そりゃあ、“忘れられない人がいる”てのは… どうにもならねぇケド… 


そいつには、敵わないかもしれないが…


… … … 


アイタタっ


やべぇ、ちょっと凹んできた…


イヤイヤ!頑張れ俺!ここで引けるかってぇのっ


心配すんなって、カカシ先生


その不安も、あんたの揺れる気持ちも全部引き受ける


そいつより、俺が上回ればいいんだろ?


大丈夫!!俺、あの人よりカカシ先生を守れる自信あっから


根拠?…そうよく『おまえの訳の分らない自信には、根拠が無さ過ぎる…』て先生に言われるケド


根拠て言うか… なんかもう、初めからそうなってたみたいな 


そうそう運命みたいな


俺には、確信に近いコトなんだってば


そうカカシ先生の事になると、俺の自信はいつも確信に変わる


多分、俺とカカシ先生は こう運命の糸で結ばれてたんじゃないかと


イヤ、前世がハッピーエンドの 姫と王子だったみたいな…


あ、この場合 姫はカカシ先生ね




「 …ナルト? 」


大好きな声で名を呼ばれ、慌ててダダ洩れていた思考を本体に戻す 


「 確かに、おまえの誕生日に… とは言ったが… やっぱり…


「 カカシ先生、往生際が悪いってば… 」


そう、カカシ先生の誕生日に 俺は勝負にでた


しかし交わされ、得られたものは 一晩の添い寝のみ


酷く落ち込む俺に、カカシ先生は 俺の頭をワシャワシャと乱暴に撫で


「 おまえの誕生日にな… 」


そう言ったんだ


カカシ先生との間の、ほんの5cmの幅がまどろっこしい


「 約束だよ 」


先生の耳元まで顔を寄せる


それでもまだ、背後の壁にじりじりと手を這わせ 逃げようとするその身体を
グッと俺の体重事壁に押し付ける


 ― 4cm


「 俺は、先生の事諦められねぇし そんな気もサラサラねぇから… 」


俺の胸を、グイグイと押しやるその手を 頭上に拘束し


最終通告


「 カカシ先生が、諦めて 」


見降ろしたカカシ先生から、溜息が聞こえた後


「 諦めない… それがおまえだもんなぁ 」


なんて、クスクス笑いと共に


「 仕方無いから、俺をやるよ 」


真っ直ぐな先生の瞳に、俺が映る


 ― 3cm


仕方ないが少し引っ掛かったが


大人の面子もあるだろうし、今日の所はそれで上出来だ


キスしようとすると まるで初めてのようにキツク目を閉じる先生に 思わず吹き出した


途端、殺気バリバリでギロリと睨んでくる


でも、その耳まで赤い顔じゃ効果無いぜ 先生


カカシ先生が、抗議をしようとするその前に素早くその身体を押し倒す


 ― 2cm


急な出来事に、受け身も取れず 頭を打ちそうになる先生の後頭部を支えたが


それがかえって気に入らなかったようで


「 子供扱いしないでくれる 」


なんて拗ねだすから


その背を撫で


「 じゃあ、大人な先生と大人な夜を… 


唇を寄せた俺の頬を、グイッと明後日の方向に押し上げ


「 おまえ、最低… 」


そっぽを向かれてしまった


「 先生… カカシ先生…   カカシさん… 」


その名を、何度も呼びながら


背後から抱きしめる


 ― 1cm


「 俺、今日初めて…生まれてきて良かったと 誕生日がこんなに嬉しいもんだって 実感した… ありがと先生… 」


その首元に顔を埋めると、当たり前だか
先生の匂いがして、俺の胸を熱くする


諦めたのか、抵抗が緩んだ先生を 俺の方に向かせ


溢れそうな、これまでの想いをキスに籠めたら カカシ先生が囁いた


「 ナルト… 誕生日おめでとう… 」








end




Happy Birthday ナルト●●



☆コメント☆
[エリー] 10-09 06:49 削除

ナル君かわいい〜(笑)
ナル君の心情がホントにナルトらしく書けていて流石です
o(^-^)o♪

私の誕生日にもカカシを頂こう!!

と、思いましたマル

[ゆな] 10-09 18:17 削除
うふふ♪
くすぐったい.....
ふたりのかわいさになんだかニヤニヤしちゃってます ( ●≧艸≦) キャッ

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