04/10の日記

02:52
20. この瞬間の精一杯  〜ゲンマ〜 
---------------






最初に、あの人を見た時 マズイ! と思った

絶対、見ないように! 考えないように! 視界に入れないように!

そう堅く誓った

ヤバイ! ヤバイ! 絶対ヤツはヤバイ!!

私の胸の中で、警告音がけたたましく鳴った



―――不知火ゲンマ



里内でも、トップクラスに入る端麗な容姿と 女子がもれなく大好きな、俺様系フェミニストな性格を合わせ持つモテ男だ  

里1の写輪眼の人よりも、取っつきやすく 社交性もあるので

女子からは、恋愛するならカカシ 結婚するならゲンマ とか
本人達そっちのけで 皆が口にしているくらいだ


音忍との戦闘で深手を負い、入院した際

女子がとっかえひっかえ入れ替わりにお見舞いと称して訪れ

花屋ができるほどの花が集まった、と聞いたこともある


そう、 とにかくモテるのだ… 

そんな人… 想いを寄せるだけムダだ…


私は、極力関わらないように 関わらないようにしていた


それでも、目にしてしまう 彼のスマートな物腰に 翻弄され

イケない!と自分を戒めたりしていた


今日も、書類を提出に行こうとした時

彼が中忍のくノ一を叱っていた 口調は厳しく容赦ないが
聞こえてくる彼の言っている事は正論だ

その子も、それを重々分かっているのだろう
俯いていたその肩が、震えだす寸前

「まっ、次からは気をつけろよっ 」なんて、俯く彼女の顔を覗き込みながら
頭を撫でたりするもんだから

あぁ… 彼女、目がハートだよ…


悲しいかな… こんな場面にばかり遭遇してしまう

てか、廊下でやんなよ〜  自分でも、無意識に溜息を吐いたら

事もあろうに、彼とバチッと目が合ってしまった

なんか反らすのも癪に障ったので そのままじっと見返した

彼は、一回視線を外し 中忍の子に一言二言声をかけると

そっとその背に手を添え 次の仕事へ促したようだった

私は、視線が外れた事で 用無しとばかりにその場から立ち去る

が、背後から彼が追いかけてくる気配がする…

え!?

慌てて歩を早める そうすると向こうも早まり なんだかもう全力で逃げている自分がいて

最後には、瞬身までつかってしまった


やっと逃げ切れたと思ったのに… 特別上忍の肩書は、ダテじゃ無かった

「よっ! なんで逃げんの?」

なんて、涼しい顔で目の前に現れた

「しっ、不知火さんこそ、なんで追ってくるんですか?」

顔色一つ変えない彼とは真逆に ゼイゼイと息が上がる私の背に手が伸びる

咄嗟に避けた身体 

「…それだ、俺 なんかしたか? ずっと、睨まれたり あからさまに避けられたりしてんのは どういう訳だ?」

嫌々!気にしなくていいでしょう そこらのくノ一の事なんて…

「…そんなつもりは、ありませんでした。すみません 気をつけま

言い終わらないうちに 笑われる

「なんだ、その棒読みなセリフは!?」

千本を咥えながらククッと笑う姿に目を奪われる

「またそんな顔して…おまえ、俺の事 好きなのか嫌いなのか、どっちだ?」

「はぁ?… なんでそんなこと…

「顔、紅いぞ!そんな顔で否定しても無駄だと思うが… 」

まだ笑ってる 余裕過ぎてムカつく 

「私、誰にでも優しい人なんて キライです!」

「そっか、そこか おまえが気に入らないところは でもそれ以外は好きなんだろ?」

なんだ?この自信過剰はどっから来るんだ?
これだから、俺様系フェミニストは…

私は、もう返す言葉も気力も無く 
とにかく、この場から立ち去ろう
そう思い

「失礼な態度でしたら謝ります 仕事が残っていますので 」


踵を返すと 腕を掴まれた

「おまえ、俺と最初に合った時 俺の事好きだっ て顔してたぞ 」

バレてた! 恥ずかしいっ… 絶対今、茹でタコ状態だ

身動きできない私を引き寄せ

「てっきりそうなのかと思ったら 睨むは 避けるは 随分な仕打ちだったから
気になってな 」

言われている内容も恥ずかしいが  
この抱きしめられている体制も恥ずかし

俯くしか無い私に

「耳まで紅いぞ… 」

私の耳に触れながら

「で、 どうなんだ…? 」

顔が近い 顔が近いって!!

「なぁ… 」

あぁ…最後の駄目押し


この瞬間の精一杯


「すっ、 好きです… 」


不知火ゲンマに陥落してしまった







end





読んでいただき、ありがとうございました<(_ _)>

20のお題 これにて終了でございます

いろんなキャラが書けて とても楽しかったです!(^^)!

また、意欲沸くお題にめぐりあったら 挑戦したいと思います

ありがとうございました\(^o^)/

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ