幻想探偵 変態と吸血鬼

□消えた○○
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-探偵-

名、他サ変

ひそかに他人の行動や内情をさぐること。ひそかに犯罪事実や犯人を探り当てること。また、それを職業とする人。


-探偵小説-



多くの犯罪を題材とし、論理的な推理によって犯人や事件の真相を解明していく。過程に興味の主眼を置いた小説。ミステリー。現在は推理小説と呼ばれる。


・・・・・


薄暗い、カーテン締め切ったを部屋。カラカラと喉の渇きを覚えながらゆっくりと瞼を開ける。今日は寝床を変えたせいか、それともまた、その他の要因だろうか、普段よりも寝起きが悪い。しかし、早く、早く起きねばならヌ・・・。気がする。
頭の大部分を占拠している睡魔から、領地を取り返すべく戦をはじめようと試みるが、部下から「起きても特にすることはないのでは?」などという提言をされると、すぐに戦などどうでもよくなってしまう。犯された領土に背を向けて眠りへと退却する。
二秒ほど天井に視線をさまよわせた後に再び瞼を閉じ、普段よりやわらかいベットの中、近くにある抱き枕に顔を擦り付けるようしながら眠りやすい位置を探して意識を薄らげていく。アァ、これほど心地よい時が他にあルだろうカ。二度寝ノ眠る瞬間、神はなんて素晴らしイものをくれたのだろウ。この至福おいソれと手放せるだろうカ。手放さなければならないのだろうカ。シカシ、コノ恩恵を与れるのは普段忙しい者だけではないだロウか?二度寝の心地よサとは、まだ眠れる、ト言う感覚にアルと思う。考えてみテ欲しい、普段カラ眠り続けテイる者が、この感覚を味わエルダろうか。俺ハ、否と思ウ。普段から眠り続けてイル者の味わウ感覚ハ、まだ寝ている、動きたくない、トいった心地よサとは逆方向のベクトルの負の感覚でアルと思えル。つまり、二度寝トハ、普段の働きを労ウ神カラのプレゼントである、と言っても全く過言デハナイダロウ。ソウ、・・・全ク過言デハ・・・。
ろくに動いていない脳で脳内演説をしながら眠りの世界の入り口に差し掛かる。はっきり言うと最後のほうは何を言っているのか自分でも理解できていない。

「うっ。」

まさに、眠りに落ちようかという瞬間、首筋にチクリとした痛み感じた。痛みによって僅かに目を覚ました脳が、痛みの正体を推理し体にひっきりなしに信号を送る。--危険信号--。先ほど諦めていた睡魔を零コンマ一秒で殲滅、脳の支配権を完全に取り返した。再び喉の渇きを感じたところで、瞼を持ち上げ、顔を埋めていた抱き枕から体を離した。

??「ふにゃふにゃ」

抱き枕がいまだ幼さの残る少女の声を発する。その声を発した部分に目を向ける。やはり血がついていた。俺は、素敵抱き枕、もといフランに血を吸われていたようだ。
俺は、ふうと軽く息を吐くと隣で眠る少女を起こさないようにゆっくりとベットから出る。フランは、寝ぼけながらとは言え、血を吸ったためか、仄かに顔を赤らめ、小動物のようににこやかに顔をほころばせながらスースーと寝息を立てて眠っている。フランのあまりの愛くるしさからか、もう一度ベットに戻りたい衝動に襲われる。呼吸を整え、フランの寝顔を舐め回すように見ることによってその衝動に耐える。が、やはり口元に着いた血が気になる。幼女と血というギャップ的にありのような気もしたが、拭っておくことにする。さてはて、舌で拭うべきかか指で拭うべきかと迷ったが、ハンカチを発見したので、フランの口元をそっと舌で拭っておいた。
そして、俺は僅かにボサツいた髪を手櫛で直しながら昨晩のことを思い出した。
忘れていたが、寝る前に添い寝を要求されていた。そうだ、確かそうだった。うん、そうだったはずだ。そう思おうと、フランが眠った後決めたんだった。
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