聖銀の魔法使い

□第4話
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―中庭―



「レイくん
もしかして、甘いもの苦手?」


『いえ、そういう訳では』


中庭にある綺麗なテーブルの上には美味しそうなケーキと紅茶がある


レイのカップにだけ、ブラックの珈琲が入っている・・・


「ふふっ隠さなくていいのよ?
あなた、ケーキを食べたあとすぐに珈琲飲んでるもの

…優しいのね。
苦手でも一生懸命食べようとしてくれるのね」


『…』


「(あのレイさんが照れてる・・・)」


「(可愛らしいですわね。
カメラに撮りたいですわ〜)」


余談だが・・・バレンタインデーでさくらと小狼からもらったチョコレートも珈琲と一緒に食べたレイだった






・・・・・・・・・


「さくらちゃんは甘いもの好きなのよね?」


「はい!」


「撫子も甘いもの大好きだったわ∨」


『(撫子さん…
確かさくらの母親だったな・・・)』


「お父さんも言ってました

お母さん、よくこの位のケーキ全部ひとりで食べてたって」


『… (考えただけで胸焼けがする・・・)』


「ムッ」


園美はさくらの父の顔が思い浮かびすこし表情をしかめる






―木之本家―


「うまいね 車洗うの」


「ゆき」


桃矢が車を洗っているところに雪兎が訪れてきた


「やぁ月城くん」


「こんにちは

今日は朝から大掃除だって聞いたんで差し入れです」

「ありがとう」

藤隆は優しく微笑み、雪兎から受けとる



「さくらちゃんとレイは?」


辺りを見回す雪兎だが姿の見えないさくらとレイに首を傾げる


「さくらの友達んとこ」


「知世ちゃん?

レイも行ったの?」

「園美さんがどうしても会いたがってたらしくてね
一緒に出掛けたよ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「は――

ほんとうに撫子によく似てるわね」


園美はさくらをうっとりと見つめる



・・・・・・かと思えば


「ムッ」


『…』


何故か急に顔をしかめた


「どうかなさいましたの?」


「・・・ちょっとやな場面思い出しちゃったわ」


「?」


撫子が自分に笑いかけるのを思い出していた園美だが、最後の結婚するという嫌な場面まで思い出したようだ


「そういえば さくらちゃんはチアリーディング部なのよね」


「はっはい」


「レイくんは何か部活入ってるの?」


『…いや、おれは』

「レイさんは助っ人でよく頼まれるんですよね?」


『…誰から聞いたんだ』


「え?お兄ちゃんからですよ

レイさんが助っ人で試合とかに出るってなったときは、ファンがすごい押し寄せてくるって」


『…(桃矢のやつ)

…そうか』


レイはうんざりしたようにため息をつきながら返答した


「そうよね レイくんほどかっこいい子にファンが出来ない訳がないもの


きっと貴方を好きになった女の子は大変ね」


「……!」


園美の言葉に何故か顔を赤く染め、何かを考えているさくら・・・


「(微笑)」


知世はそんなさくらをみて微笑ましげに笑みを浮かべる


『…それで、撫子さんは』


レイは話を変え、自分の話題から遠ざけようとした


「撫子はさくらちゃんとは反対でね・・・


体育とかは本当に苦手だったの」


そういうと園美は再び、回想しだす



運動音痴な撫子が落ちた鳥の雛を木の上にある巣へ戻そうとしているときだ・・・

戻したはいいが、足が木からずり落ち・・・



《大丈夫ですか?》


《・・・はい》


《天使が空から落ちてきたのかと思いましたよ》






「だ――っ!!!

そうよ!あれが出会いだったのよ!!


何が天使よ!あ――!歯が浮く―――!!


そりゃ撫子は天使みたいにかわいかったけど――!!」




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