聖銀の魔法使い

□序章
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ふわり…



ふわり…


暖かい風とともに、桜の花びらが
舞う……





何もなかった空間に、ふわりと淡い光と共に現れた青年は


静かに瞼を開けた。

氷のような透き通った瞳に映るのは
立ち並ぶのは家や電柱など
ごく普通の町の風景だった。


『……ここは…』

普段、冷静な彼だが…
目が覚めてみると見知らぬ土地であったという摩訶不思議な出来事に思わずそう口にしていた。

ふと、彼の視界にひらりと舞う桜の花弁が映る


『……桜…』


彼は暫し、風に舞う桜の花弁を見つめていた

その時だった。


「遅刻しちゃうよぉ〜〜〜〜っ!!!」


『…、』


ローラーが回る音と声が聞こえ始め

そして…それは彼の方へもうスピードで向かって来ている


向かってくる人物は彼に気づいていないようだ



「ほぉえええ!!人ぉお!!?

避けて下さいぃ!!!」





青年にインラインスケートで向かってくる少女…


少女は彼を避けようと思い、
方向を変えるが…

方向を変えた先には電柱がある

「今度は電柱ぅう!!?」


彼女が電柱に激突しようとした時だ…


ふわっ……


「……ほぇ?」


痛みに耐えようとした少女は目を閉じたが…

こない痛みを不思議に思い、目を開けると……



『…』


少女を後ろから抱きとめた青年がいた


美しい銀髪に青い瞳…


少女の大きな瞳に彼の整いすぎた綺麗な顔と白銀の髪が間近に映った…




そう、これが青年にとって…
木ノ本さくらとの初めての出会いだった…









「(きっ…きれいな人…)」

『…大丈夫か…?』

形の良い唇から発せられたそれは、
低く艶のあるものだった。


「!!はっはい!!大丈夫です!
ありがとうございました!!」


『…いや、おれが避けるのが遅くなってしまったせいもある…

すまない』


「いっいえ!前をよく見てなかった私が悪いんです!ごめんなさい!」


『…とにかく、怪我がないならいい…。』


「……っは、はい…」


ふと、細められた瞳に、さくらは
惚けたように見惚れていたが慌てて同意するようにコクコクと頷いた。





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