聖銀の魔法使い

□第3話
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少しずつ春へと近づき暖かい気候になりつつある


友枝町では桃の花が美しく咲き誇ろんでいた――



―木之本家―


『…ん?桃矢、さくらは?』


「あぁ 今、買い物行ってる


それよりレイ、ちょっと頼みたいことがあるんだけどよ…」


『…?』




…………………


…………


「ただいま―!

買い物してきたよ――!」

さくらは買い物袋を抱えて家に帰ってきたが…


「お帰りなさい」


「雪兎さん!!

どっどして雪兎さんが…」


「桃矢は今立てないし、レイも手が離せなくて……


あ 庭にいるよ」


「ほえ?」



さくらは首を傾げ、雪兎と一緒に庭に向かった



「何やってるの?」


『…お帰り さくら』


「たっただいまです!レイさんっ!!」


「ごくろ―さん」


さくらの前には椅子に腰かけている桃矢とハサミを持っているレイの姿があった……


「レイに髪切ってもらってたんだ」


「僕も切ってもらったんだよ さくらちゃん」


「えぇ!?」


「すげぇ器用だからなこいつ」


「そうそう!だから僕も遊びに来たついでに切ってもらったんだよ」


『……もう少し下向け』

桃矢と雪兎がレイを褒めているが、本人は気にせず桃矢の髪を黙々と整えている


「(いいな いいな―――!レイさんに切ってもらって――!!


でも雪兎さんもだけど、レイさんも本当何でもできるのね


運動神経もいいし 冷静で頭もすんごくいいし)」

『……終わったぞ』


「さんきゅ」


「うわ―レイ本当上手だね」


『……揃えただけだ。
これくらいお前も出来るだろう』


「またまたそんなこと言って照れてるくせに」


『…誰がだ』


「顔赤ぇぞ」


レイをからかったあと雪兎と桃矢はお茶を入れに家の中に入っていった


『…さくら』


「へ!?は、はい!!」


『…お前も切るか?』

「えぇ!!?

いいんですか!?」


『……おれでよければだが…』


「じゃ…じゃあぜひ!!!

あ あの迷惑じゃなかったら!」


『…ここ座れ』


低く優しい声と穏やかな表情をするレイに、さくらは顔を真っ赤に染めながら、椅子に座る


『…揃えるくらいでいいか?』


「はっはい」


レイの華奢で長い指がさくらの髪に触れながら、少しずつハサミで整えていく


「(しあわせで死にそう〜〜〜〜〜!)」

「それおわったら大掃除だぞ」


「僕も手伝うよ」


「なんでもする――――

もうなんでもいい〜〜〜」


『…、』


桃矢達の会話を聞きながらさくらの髪を切っていたレイだが、視線を感じふと手が止まる


『…(女…?)』


「レイさん?」


『…いや…何でもない』


こちらを見つめていた女性の視線はいつの間にかなくなっていた―――…








………………


……………


―次の日―


さくらside


「おっはよ――!!」


「おはようございます

ご機嫌ですわね」


「もう昨日は幸せいっぱいだったの――!!」


「あの…さくらちゃん昨日繁華街のぬいぐるみ屋さんにいた?」


おずおずと聞いてくる千春にさくらは首を傾げる


「ううん 商店街にパン買いにいったけど」


「そっか やっぱり人違いだよね」


「どうしたの?」


「ううん ちょっとね
さくらちゃんによく似た子見ただけ」


安心したように言う千春にさくらは疑問を覚えるが納得する


「そういえば さくらちゃん 髪切ったんですの?」


「う うん」


「どうしたの?お顔がまっかよ」


「レイさんに……


切ってもらったの


それに雪兎さんも遊びに来てくれたし」



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