聖銀の魔法使い

□第3話
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「なにぃ!?」


ガタンッ


さくらと知世の会話が聞こえ、小狼は勢いよく椅子から立ち上がる


「気合い負けしてはいけませんわ」


「う、うん」


「まぁまぁ 今日の体育バドミントンだって!
それで決着つけるっていうのは?」


「はなせ!!」


事情はよくわかっていないが 今にも掴みかかりそうな小狼を後ろから止める山崎……


「なんでそんなもんで決着つけなきゃならないんだ!」


「知らないの?バドミントンっていうのはね
古代ローマから伝わる由緒正しい決闘方法でね

負けたほうは もうそれはひどいめに……」


本当か嘘かは定かではないが、さくら達は山崎の言葉を聞いて様々な反応を見せる




…………………


…………


「基本的な打ち方はもうわかったな?

じゃ 今日は試合やってみようか


最初は……」


体育の時間となりバドミントンを教えていた寺田先生の言葉で試合をすることになった…


びしっ


「李 元気いいな

じゃ相手は……」


小狼は手を真っ直ぐに即座にあげ…


びしっ


「え、」



ラケットで隣にいるさくらを指す小狼…


「あ〜〜李君 信じちゃってる〜〜〜」


「あはは〜」


知世や他の生徒達が見守る中…さくらと小狼はコートの内へと入った


「前から気になってたが、なんでレイさんはお前ん家に住んでて、あの人はよく家に来るんだ」

「ふ…二人ともお兄ちゃんのお友達だもん

それにレイさんはこの町に来たばかりで住む場所もなくて困ってたから家に住んでるだけだよ」


小狼の睨みに圧されぎみなさくらも負けずに睨み返す


が……


隣のグランドで丁度授業でマラソンをしていた
桃矢の後ろを走る雪兎、レイはさくら達に気がついたようだ


「さくらちゃん達も体育の授業みたいだね」


『…そうだな』


「ちょっと行ってみようよ レイ!」


『……あぁ…』


雪兎とレイは走るのを中断し、すぐ間際にある柵へと近づく


「お〜〜〜い
二人とも頑張れ―――!」


『…』


「「!!」」


手を振る雪兎とその隣にいるレイの存在に気付き、さくらと小狼は顔を赤らめる


「雪兎さん!レイさん!」


「…!!」


「ほら!レイも何か言いなよ!」


『…怪我しないようにしろよ』


「「はいっ」」

いつもと変わらず声は大きくないが、二人にはちゃんと届いたようだ


そして雪兎とレイが見ているということで、より気合いが入り

白熱した試合が続く……



『…ただの授業で何故あそこまで本気になる』

「うわ〜すごい試合だねぇ」


そんな試合をレイは呆れながら、雪兎は感心しながら見つめていた



そして結局、勝負はつかず引き分けとなり…体育は終わってしまった







―図書室―


「レイ〜?」


『…なんだ…?』


「まだ帰らないの…?」


『…あぁ。もう少ししたら帰る…

先に帰っていい…』


雪兎にそう言うと再び書物に目を通す


「そんなに勉強しなくても…レイ頭すごくいいのに…」


『…勉強ではない…

…少し調べものをしているだけだ…』


「……そっか」


『…桃矢は…?』


「部活だよ レイは部活入んないの?」


『…面倒だ
頼まれた時だけでいい…』

「レイらしいね」


『…言ってろ』


「クスクス じゃあ僕は先に帰るよ」


『…あぁ』


静かに図書室から出ていった雪兎を見送ったあと再び本に視線を移すレイ


だが……暫くして



『…!』


ガタッ


『(これは

クロウカードの気配…?)』


読んでいた本を本棚に戻し、立ち上がるとすぐに鞄を持ち、図書室をあとにした



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