聖銀の魔法使い

□第5話
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―早朝―



『…』


「お〜いレイ〜
起きてるか?お前」


『…起きてる…』


早朝…起きたはいいが、未だ眠気の覚めないレイは半分寝かけながら階段を降り、リビングへ向かった


「おはよう レイくん」

『…おはよう…ござい、ます…』

藤隆の言葉になんとか挨拶を返すレイだが、目はトロンとしていて眠むたそうだ


「珍しいね レイくんが眠たそうにしてるなんて」


「そうだな お前昨日ちゃんと寝たのか?」


『…少し、寝付きが悪かっただけだ…

大したことない…』


少しずつ目が冴えてきたのか、返答する声もはっきりし出してきたようだ


桃矢から差し出されたご飯を受け取り、黙々と食べ始めた


……と言っても少食な為、あまり食べてはいない


「お前、もう少し食ったほうがいいんじゃねぇか?いつも思うけど少なすぎる」


「そうだね 僕もそう思うよ」



心配そうにレイを見つめる桃矢と藤隆だが…


『…あまり食いすぎると、逆に気分が悪くなる』


「「……」」


そう言われれば返す言葉が見つからず黙るしかない2人だった



…………………


…………


そんな会話をしていると……



「ほぇええええ!!!


遅刻だよぅ!!!」

どたばた どたばた






『…平和だな』


「そうだね」


「まったくあの怪獣は…」



二階からの叫び声と、どたばたという音がするのが聞こえてきたことで、レイはしみじみと…藤隆はにこやかに…桃矢は呆れてそれぞれ反応を見せた




……一方…



「わい何回も起こしたったのに…

あんだけ思いっきり頬っぺた引っ張っても起きんとは強者やで」


「ううぅ だって―

お布団気持ちよくて出られなかったんだもん!!!」



慌てて制服に着替えるさくらにケルベロスが呆れながら視線を向ける


「に―ちゃんとレイにいちゃん まだ出てってないさかい


急いで用意したらレイにいちゃんと〈ゆきうさぎ〉とか何とか言うんと一緒に行けるんちゃうか?」


「雪兎さん!!」


「!!」


怒鳴り言い直すさくらにケルベロスは驚き、部屋からどたばたと出ていく後ろ姿を見送った




………………


…………


どたばた


「はぅううう 寝坊した―!」


「“今日も寝坊した”だろーが」


「ギッ」


さくらは嫌みを言う桃矢を睨みつけるが…


「おはよう」


「おはよ」


藤隆にはころっと表情を変え、にこやかに挨拶を返す


そして……


『…おはよう さくら』


「!おっおはようございます!!」


静かに挨拶してきたレイにやはり、さくらいわく“はにゃ〜ん”になりながら返すさくらだった



「でも 本当にちょっといそがないと遅刻しちゃうね」


「こくこく」


藤隆の言葉に焦りながら食べるさくら…


「んじゃいってくる

レイ行くぞ」


『……あぁ
藤隆さん いってきます』



桃矢に促されレイも鞄を持ち、玄関へ向かう


「はい いってらっしゃい」


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