聖銀の魔法使い

□第5話
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「あぅ―まって―!」





『…』


さくらの声を耳に、レイは自転車に股がり進み出す桃矢に視線を向ける


『…』


「どうした?」


『…いや』


振り向かれ声を掛けられ、レイは桃矢の元へと向かった


バイクを買ったにも関わらず、自転車に乗る桃矢の心情を悟り優しく表情を緩めた


バイクだと、いつも追いかけてくる さくらが危ないからだと自転車にしている


遠回しな優しさにレイはそこがまぁ彼らしいと思うのだった





…………………………


………………



暫く進むと、雪兎といつも待ち合わせをしている場所へたどり着いた……



「おはよ 桃矢!レイ!」


「はよ」


『…おはよう雪兎…』



雪兎が桃矢の後ろに乗ると、自転車は進み始める

それと同時にレイも足を動かした



「いつも思うけど、すごいよねレイって…」


『…何が』


「だって自転車の早さに走ってついてきてるし、息一つ乱れてないよ」


『……普通だろう』

「「いや普通じゃないから」」



今更気にするなとレイは平然と返答するが、桃矢も雪兎も内心では不思議でならなかった



「そういえば今日はさくらちゃん先に行っちゃったの?」


「いや…いつもの寝坊だ」


『…もう来てるぞ』


「え…?」



レイの言葉に雪兎が後ろを向くと、一生懸命追い付こうとするさくらの姿があった


『…』


「本当だね


おはよ さくらちゃん!」


「おはようございます」

レイと同じく雪兎にもはにゃ〜んになりながら挨拶を返すさくら…



『…あまり急ぎすぎると怪我をするぞ さくら』


「大丈夫です!」


「お前が大丈夫でも 転んだ道路に穴があくだろ」


「なんですってぇ!!?」



桃矢のからかう言葉にさくらは怒り、思わず拳を握るが…


ぱちっ


『…どうした』


「……?」


「……えへへ」



レイと雪兎と目がバチリと合い、さくらは握っていた拳をときパタパタと振る

恥ずかしかったのか、顔を赤らめ照れ笑いをしてみせた





そんなやり取りがあり…暫く進んでいくと……



「あや?」



いつもの登校通路が工事中になっていて通れそうになかった



『…通れないな』


「うん 仕方ないね

回り道になっちゃうけど…」



雪兎が指差した方向は今まであまり通ることのなかった道……



その通りには“月峰神社”と書かれた大きな神社があった…




「おっきな神社だね―

知ってた?」



「いえ こっちあんまりこないから」



雪兎とさくらは神社に目を向けながら話をするが……



『…』


「……」



レイと桃矢は何か思うことがあるのか、無言だった



「ほぇ?レイさん?お兄ちゃん?」



さくらが疑問を浮かべる中、あっという間に友枝小学校に着いた………






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