聖銀の魔法使い

□第6話
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迷路から抜け出すため、色々な方法を考えるさくら達だが…



「おかしいですわ

こうやって片手を壁につけていけばいつかは出口か入口に出るはずなんですが…」



「なんか全然変わってないよぅ」


息を切らすさくらだが…


「あっ!李くん!


羅針盤 もってたよね!あれって方向を調べたりできるんだよね」


「ふぅ…」


さくらの言葉に小狼は呆れたようにため息をつき、羅針盤を取り出す



「あや?」


だが、羅針盤は何も映らず真っ白だ


「これはクロウカードを探すためのものなんだぞ」


「この迷路じたいがクロウカードならこうなりますわね」


「はぅ―そっかぁ」


「でも何か方法を考えないと、ここから出られなくなってしまいますわ

恐らく、離れてしまったレイさんも何か方法を考えていらっしゃると思いますが…」


「(レイさん…大丈夫かなぁ)


……あっ」



さくらはレイの心配をするが、何か閃いたようだ


「さくらちゃん?」


さくらは鞄をゴソゴソと探り、鍵を取り出す





「“封印解除”!」


さくらは魔法で《翔》を使い、上空から迷路の出口を探そうとするが…





「ほぇええ」


壁がさらに高く伸びる


「上空から探すのは駄目ってことか」


「《迷》のカードさんて厳しいんですね」






…………………………


…………………


さくら達とは少し離れた場所に歌帆とレイは無言で歩いていた



『…』


「…」



歌帆は前を歩くレイの後ろ姿をただ見つめる



「ねぇレイくん」


『…なんだ』


「……





あなたどうやってこの世界に来たの…?」


『…!』


歌帆のこの言葉に足を止め、振り向く




「……」


歌帆は真っ直ぐレイを見据える


そんな歌帆からの突然の問いに不覚にも動揺したレイ


…とは言ってもそれが表情に出てはいない





『…それはこちらが知りたい』


「え?」


『…気がついたらすでにこの世界に存在していた』

伏せられた瞳はどこか揺れている






『…(どうやってだと…それがわかっていれば苦労しない…)』


突如、知らない世界へ投げ出されたことに困惑しないわけがない


神のいたずらなのか、なんなのか…




『……』


別にこの世界が嫌な訳じゃない…


だが、できるなら自分の存在していた場所へ帰りたいと望む



『…おれはこの世界では異物な存在だ』


「…」


『……元いた世界には大切な者たちがいる』


浮かぶのは、麦わら帽子の少年とその仲間達


そして…



『…(アスカ…)』



自分とは正に対な存在である赤髪の少年…


お前なら、こんなときどうしただろうか






「ねぇレイくん
確かに貴方はここの人ではないけど…


でも…






あなたがこの世界に来たのは何か意味があるはずよ」


『…!』


「その意味はわからないけど…

貴方が突如この世界に現れたことも…


貴方が木之本さんと出会ったことも…


決して偶然ではないわ」



そう…それは必然…


すでに決まっていたこと




「貴方は怖いだけなのよ

この世界に存在するはずのない自分が存在することで元の世界の記憶が薄れてしまうことに…



存在しない自分がこの世界の人達に…否定されるのではないかと」



『…』



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