聖銀の魔法使い

□第7話
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「(きれい…)」


パジャマ姿のさくらの周りには蛍のようにふわふわと光るものが空間を包んでいた


「(…これ…ひょっとして…)」




………………………





「ひょっとして…」


にゅっ







「ほぇえええ!!!」


夢から醒めたさくらの視界にドアップでケルベロスの顔が映った


「この素敵に小粋なわいの顔みて、なんちゅう声出すんや!」

“日曜やからって寝坊してからに”と文句をいうケルベロスをよそに、さくらはまだ驚きに心臓をどきどきさせていた



「いきなりだったから…」


「で、“ひょっとして”なんや?」


「……






忘れちゃった」



ぽりぽりと頭を掻きながらぽけっと惚けたように言うさくらにケルベロスは思わず転けてしまう



「おいおい

夢は大事なもんなんで
特に力のあるもんの夢は予知夢である可能性も高い」


「?予知夢??」


「簡単にいうたら未来に起こることをさきに夢で見ることやな

さくらは前に《翔》捕まえるとき予知夢見とるやんか」


「あ―あれ…」


「ちゃんと覚えてかなあかんで」


「は―い」


「そういえば、レイ兄ちゃんはどこ行っとるんや?

朝早ぅからおらんみたいやけど」

「レイさん、今日は野球部の助っ人で学校に行ってるよ」

…………………



………





―星絛高校―



「「レイくーん!!頑張ってぇ!!」」



『…おい、安藤』


「ん?どうした?レイ」


『…なんだ、あの女子の軍団は』


ベンチに不機嫌そうに腰かけるレイは隣にいる野球部員の安藤に話す



「なんだ…ってお前のファンクラブの女子たちだぞ?」


『はぁ…?


あぁ…そういえば桃矢がそんなことを行っていた気がする』


「いいねぇ人気者は」


『…騒がしいだけだ』


「ほれっそろそろお前の出番だぞ?」


『…はぁ…』


心底嫌気がさしたようなため息に安藤は苦笑いしレイにバットを渡した




レイがベンチから出て、グランドに立つと甲高い声援はなおのこと勢いを増す



『…』


だが、そんな声援や雑音など耳にも入っておらず前を見据え、バットを構えるレイは凛としていた



すぐにバットにボールが勢いよく当たる音が気持ちよく響いたのは言うまでもないことだ







……………



………


「よっお疲れ!ありがとな」


『…あぁ』


練習試合は見事、星絛高校の勝利で終わった

タオルで汗を拭くレイに安藤が声をかける


「また頼むわ!」


『…はいはい』


レイが安藤に呆れたように返答したときだ



「レイ!!」


『…桃矢』


「おっ!木之本じゃん」


サッカー部の部活が終わったらしい桃矢が駆け寄ってきた


「よぉ、安藤

もう練習試合終わったか?」


「おう、うちの勝ちだ
レイくんのおかげでな」


「そか、よかったな

んなら、こいつはもう返してもらってもいいよな?」


「おう!どうぞどうぞ」


『…人を物みたいに扱うな』

そんな会話をした後、レイは安藤と別れ、桃矢と共に帰宅するため歩みを進めた








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